看護師の過去問
第109回
午後 問230

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問題

看護師国家試験 第109回 午後 問230 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み以下の問いに答えよ。
Aさん( 22 歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。
入院翌日、母親が面会に来たが、Aさんに要求されるままお菓子を大量に持参した。Aさんは、面会室でお菓子をすべて食べた直後に、トイレにこもり、嘔吐していたところを看護師が発見した。Aさんは泣きながら「食べると止まらなくなる。太りたくない」と訴えた。主治医は、Aさんが右第 2 指を使って嘔吐していた痕跡を認めたこと、Aさんが「中学の時から過食と嘔吐を繰り返していた」と話したことから、神経性過食症( bulimia nervosa )と診断した。
入院時の身体所見:身長 155 cm、体重 48 kg。
入院時の検査所見:赤血球 400 万/μL、Hb 12.5 g /dL、白血球 6,300 /μL。Na 135 mEq /L、K 2.7 mEq /L、Cl 98 mEq/L、AST 30 U/L、ALT 35 U/L、γ − GTP 32 U/L。
Aさんの状態をアセスメントするために優先度が高い検査はどれか。
  • 心電図
  • 頭部CT
  • 腹部超音波
  • 上部消化管内視鏡

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この過去問の解説 (3件)

01

1.正解です。低カリウム血症を認めます。致死性
  不整脈を起こす場合があり、対応が必要です。

2.嘔吐の原因として脳気質的異常である可能は、 
 他の臨床初見と合わせてみても低いと思われます。

3.検査値からは肝機能に問題はないと言えます。

4.過食嘔吐による消化管出血のリスクはあります
 が、現時点で貧血や吐血などの症状はありません。

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02

正解:1. 心電図

Aさんは、K 2.7 mEq /L(正常値 3.5〜5.0mEq/L)と低カリウム血症がみられます。
嘔吐や下痢を繰り返すと、体外への排出が多くなり、電解質バランスが崩れます。

カリウム値が低下すると、筋力低下、筋肉のけいれんやひきつり、不整脈を起こすことがあります。
そのため、心電図で不整脈の有無を確認し、対応が必要です。

2. →低カリウム血症では、脳へのダメージは少ないため、頭部CT検査の必要はありません。

3. →AST、ALT、γ−GTPの数値は正常範囲であり、消化器機能は今のところ異常はみられません。

4. →嘔吐を繰り返しており、胃炎や消化管出血のリスクはありますが、内視鏡検査は負担が大きいため、貧血や吐血がみられた場合に検査が必要となります。

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03

正解1.心電図


低カリウム血症

様々な原因により血液中のカリウム濃度が低下して起こります。血液中 3.5mEq/L未満を低カリウム血症といいます。
嘔吐や下痢を繰り返すと、体外への排出が多くなります。

カリウムの低下は、筋肉と神経に影響を及ぼします。症状として筋肉痛、脱力感、動悸などがあります。悪化すると意識消失、不整脈を起こすこともあるので注意が必要です。心電図検査を行い、不整脈の有無を確認します。
心電図の変化として、U波やT波の平坦化、不整脈があります。特に心室性不整脈を起こす可能性や無脈性電気活動や心静止を、起こすこともあるので経過観察は重要です。



2.症状として脱力感や意識消失がありますが、血中カリウムの低下によるものであり、脳の器質的疾患によるものは考えにくいです。優先度は高くありません。


3.嘔吐や下痢を繰り返して起こることがあるので、消化器疾患の可能性はありますが肝機能は正常であり優先度は高くありません。


4.嘔吐を繰り返して神経性過食症と診断されています。嘔吐を繰り返しているので胃・食道に変化のある可能性はありますが、貧血の所見がないため優先度は高くありません。

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