看護師の過去問
第110回
午前 問44

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問題

看護師国家試験 第110回 午前 問44 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん( 64歳、男性)は、肺炎( pneumonia )のため抗菌薬の投与目的で入院となった。治療開始後3日に全身の皮膚、眼瞼結膜および口腔粘膜に紅斑と水疱が出現した。バイタルサインは、体温38.5℃、呼吸数24/分、脈拍80/分、血圧124/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>96%( room air )であった。
Aさんに出現している症状から考えられる病態はどれか。
  • 後天性表皮水疱症( acquired epidermolysis bullosa )
  • Sjögren<シェーグレン>症侯群( Sjögrenʼs syndrome )
  • 全身性エリテマトーデス( systemic lupus erythematosus )
  • Stevens-Johnson<スティーブンス・ジョンソン>症候群( Stevens-Johnson syndrome )

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

1.後天性表皮水泡症は膝や肘、掌蹠など外力のかかる部位を好発部位としたびらんや緊満性水疱を形成する疾患です。紅斑を伴うこともあり、水泡性類天疱症と類似しています。

2.シェーグレン症候群は涙腺や唾液腺など全身の外分泌腺に慢性的な炎症がおこることにより、外分泌腺が破壊されドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が出現する疾患です。

3。全身性エリテマトーデスは免疫が自分自身の皮膚や関節、腎臓や心臓などの全身の組織や臓器を攻撃してしまう膠原病といわれる疾患のひとつです。

発熱、倦怠感、食欲不振などの全身症状とともに頬にできる赤い皮疹で蝶が羽を広げている様な形の蝶形紅斑や円盤状の赤い皮疹が顔面や耳、上腕、体幹にできることがあります。

4.スティーブンス・ジョンソン症候群は皮膚粘膜眼症候群とも言われ、口唇や口腔、目や鼻、外陰部の粘膜にびらんや水疱、全身の皮膚に紅斑が多発する疾患です。

発熱や全身倦怠感などの全身症状も出現します。

感染症や薬剤がきっかけとなることが多く、マイコプラズマ感染やウイルス感染が契機になると考えられています。

薬剤では消炎鎮痛薬や抗菌薬、抗けいれん薬などです。

問題のAさんは抗菌薬を投与後に皮膚や粘膜に紅斑や水疱が出現しています。このことから考えられるのはスティーブンス・ジョンソン症候群であると考えられるため正解は「4」です。

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02

 1.後天性表皮水疱症

 後天性表皮水疱症は、虫刺されや感染症などの明らかな原因がないにもかかわらず、皮膚に水ぶくれが生じる病気です。表皮と真皮の間の基底膜という蛋白質で出来た部分に、自己抗体が産生され皮膚が脆弱になります。外圧がかかった部位に水疱ができやすいという特徴があります。

 2.シェーグレン症候群

 シェーグレン症候群とは、免疫バランスの崩れにより涙や唾液を産生する涙腺・唾液腺などの臓器を攻撃し、ドライアイや口腔乾燥を引き起こす自己免疫疾患です。

 

 3.全身性エリテマトーデス

 全身性エリテマトーデス(SLE)とは、自分の免疫システムが誤って正常な細胞や組織を攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつです。

 皮膚や関節、腎臓や心臓など様々な臓器に症状が出現します。頬にできるちょうちょ型の赤い皮疹(蝶形紅斑)が出現することがあります。

 発症には女性ホルモンが関係していると考えられ、発症者の9割が妊娠可能な年齢の女性です。

 

 4.スティーブンス・ジョンソン症候群

 スティーブンス・ジョンソン症候群とは、薬剤を内服・注射することで生じる薬疹が重症化することにより発症します。

 38度以上の発熱に加え、水ぶくれを伴う発疹、発赤などの症状が全身の皮膚や粘膜(眼球や口、外陰部)に現れます。薬に伴う副作用としては非常に重く、失明のリスクや、命に関わるケースもあります。

 一部の抗生物質や解熱鎮痛薬、抗てんかん薬を契機として発症するほか、マイコプラズマ肺炎やウイルス感染などもきっかけとなります。

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03

正解は4です。

1 .後天性表皮水疱症( acquired epidermolysis bullosa )は、皮膚の表皮と真皮の境にある基底膜部のタンパクに対する自己抗体の炎症により、皮膚や粘膜に水疱や糜爛、紅斑などが生じる自己免疫疾患です。


2 .Sjögren<シェーグレン>症侯群( Sjögrenʼs syndrome ) は、ドライアイ、ドライマウス、鼻腔の乾燥やレイノー現象、日光過敏などの症状を呈します。

3 .全身性エリテマトーデス( systemic lupus erythematosus )は、発熱や倦怠感、手指の関節炎や蝶形紅斑など多様な症状があります。


4 .Stevens-Johnson<スティーブンス・ジョンソン>症候群( Stevens-Johnson syndrome )は発熱、咽頭通や全身倦怠感、口唇や口腔粘膜などへの糜爛や出血を伴います。目の充血や目脂といった目の症状もあります。

今回の問題では発熱、全身の皮膚、眼瞼結膜および口腔粘膜に紅斑と水疱ができていることが、スティーブンス・ジョンソン症候群の症状と合致します。

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