看護師の過去問
第110回
午前 問89

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問題

看護師国家試験 第110回 午前 問89 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん( 38歳、女性)は、大腸癌( colon cancer )の終末期である。癌性腹膜炎( cancerous peritonitis )による症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。
退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 薬剤師
  • 言語聴覚士
  • 臨床検査技師
  • 介護支援専門員
  • ソーシャルワーカー

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1「薬剤師」5「ソーシャルワーカー」です。

退院支援カンファレンスとは、退院時に支援が必要になると予測される患者について、入院の目的や治療方針の確認を行った上で、退院する際の状態像を共有し、どのような支援が必要かチームで話し合うことをいいます。

Aさんは終末期患者です。38歳と若く、問題文にも介護が必要な状況は記載がないためADLは自立していると考えられます。Aさんにとって一番必要なケアは癌性腹膜炎からくる痛みのコントロールであることが予測できます。Aさんは退院後も鎮痛薬による症状コントロールが必要であることから、そのコントロールができているのか、訪問看護師などの介入が必要であることが想定されます。

1.癌性疼痛のコントロールは個別的なケアや指導が必要になります。薬剤師の介入は必須であると考えられます。

2.言語聴覚士は言語や嚥下などに関わる専門家です。Aさんは嚥下障害や言語障害はみられません。言語聴覚士の介入は必要ありません。

3.臨床検査技師は血液などの検体の検査に関わる専門家です。Aさんの退院カンファレンスには必要ないと考えられます。

4.介護支援専門員は要介護者、要支援者が必要なサービスを受けられるようケアプランを作成する専門家です。Aさんは現在ADL自立であり、介護士の介入は今のところ必要ないので、介護支援専門員の介入も優先度は低いと考えられます。

5.ソーシャルワーカーとは病気などによって生活に問題を抱える人やその家族に対して適切な助言や支援を行う専門家です。Aさんが退院するにあたり症状コントロールが適切か、療養環境が適切かなど見守る訪問看護を利用する可能性が高いと考えられます。病院から訪問看護ステーションへ依頼をしたり情報共有したりする仲介をしてくれるのがソーシャルワーカーなので、退院カンファレンスには参加が必須であると考えられます。

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02

正解は1.5です。

退院支援カンファレンスとは入院目的や治療方針、治療経過などの情報を各職種で共有し、患者本人や家族の希望や状況に応じた退院計画を話し合う場です。

退院に対しての問題点を明確にし解決を目指す場でもあります。

1.薬剤師は退院後の薬剤指導のために不可欠です。

Aさんは入院中、鎮痛薬と高カロリー輸液を行っていました。症状緩和をしながらの自宅退院であれば、自宅でも鎮痛剤を使用することが考えられます。本人や家族に対し薬剤指導が必要になってきます。

2.言語聴覚士は言語障害や嚥下障害のある患者に訓練や検査、指導を行います。

Aさんは現在、言語障害などは出ていません。そのため、言語聴覚士の介入は積極的にはおこなっていないと考えられます。そのため今回の退院支援カンファレンスの参加者には適していません。

3.臨床検査技師は採血や尿などの生理検査や放射線検査を行います。

検査結果は医師や看護師が把握し情報提供を行うため、臨床検査技師が直接カンファレンスに参加することはありません。

4.介護支援専門員は要介護、要支援者に対しその状況にあったサービスが受けられるように調整したり、ケアプランを作成します。

Aさんの場合、現時点では介護認定を受けていないため、介護支援専門員のカンファレンスへの参加はできません。

5.医療ソーシャルワーカーとは患者や家族を社会福祉の立場から経済的、精神的、社会的な問題解決や支援を行います。

Aさんは退院後も様々な支援が必要になってきます。その支援の調整や連絡をソーシャルワーカーは担います。Aさんやその家族の希望を聞き、退院後の生活の支援をおこなうためにカンファレンスに参加し情報共有する必要があります。

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03

正解: 1. 薬剤師  5. ソーシャルワーカー

退院支援カンファレンスとは、患者さんや家族が在宅での生活にスムーズに移行できるよう、患者・家族・医師・看護師・薬剤師・栄養士・ソーシャルワーカーなどの他職種で相談する場です。

1. →Aさんは癌性腹膜炎などにより食事摂取がうまく行えず、栄養状態も低下していることが本文から読み取れます。在宅でも高カロリー輸液を使用する場合、薬剤師による栄養アセスメントや管理が必要となりますので、カンファレンスへの参加者に適切です。

2. →言語聴覚士は、言語障害、嚥下障害、聴覚障害のある患者の場合に関わりますが、Aさんへの介入は必要ありません。

3. →臨床検査技師は、血液や尿などの検体や、脳をはじめとした身体の検査を行います。退院支援カンファレンスへの参加は必要ありません。

4. →介護支援専門員は、要介護認定を受けている利用者に対して、ケアプランを立案し介護サービスを調整支援します。Aさんは38歳のため、訪問看護などのサービスを利用する際には介護保険ではなく医療保険の適用になります。そのため、介護支援専門員は介入することは出来ません。

5. →ソーシャルワーカーは、患者や家族の経済的・心理的・社会的な問題に対して、社会福祉の立場から支援・他職種との連携調整を行います。Aさんが安心して在宅での生活を送れるように、生活環境の調整などを行うためにカンファレンスへの参加が適切です。

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