看護師の過去問
第111回
午後 問43
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問題
看護師国家試験 第111回 午後 問43 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん(63歳、男性)は3年前から肺気腫(pulmonary emphysema)で定期受診を続けていた。最近、歩行時の息切れが強くなってきたことを自覚し、心配になったため受診した。受診時、呼吸数は34/分で、口唇のチアノーゼがみられた。
Aさんについて正しいのはどれか。
Aさんについて正しいのはどれか。
- 1回換気量が増加している。
- 呼気よりも吸気を促すと効果的である。
- 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は上昇している。
- 病状が進行すると動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉が上昇する。
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この過去問の解説 (3件)
01
肺気腫とは、肺や気管支に炎症が起こり、気管支が細くなる疾患です。進行すると肺胞が壊れ、肺のガス交換の効率が低下し、最終的には呼吸不全に陥ります。
×:誤り
Aさんの呼吸数は34/分で頻呼吸となっていることから、1回換気量が増加しているとは考えられません。
×:誤り
肺気腫で効果的な呼吸法は、口をすぼめて息を吐きだす口すぼめ呼吸です。
気道内圧が高まることで気管支が広げられ、肺に溜まった空気が外に出やすくなるため、呼吸が楽になります。
×:誤り
口唇チアノーゼがみられるため、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は上昇しているとは考えられません。
○:正しい
肺気腫の病状が進行すると息が吐きづらくなり、二酸化炭素が体内から排出されないため、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉は上昇します。
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02
今回は「肺気腫」に関連した問題です。
肺気腫では、主に喫煙により長期間有害物質を吸引することで肺の組織が破壊され、肺胞の弾性収縮力は低下し、息を吐きにくくなります(口すぼめ呼吸になりやすい)。
また一度破壊された肺の組織は元に戻ることはないため、この疾患はゆっくりと進行していきます。主な症状としては、慢性の咳嗽や喀痰の排出、労作時の息切れがあります。
成人の呼吸回数の正常値は12~20回/分であるため、設問の患者の呼吸数34回/分はかなりの頻呼吸(呼吸数25回/分以上)となります。
人間が頻呼吸になる原因はいくつかありますが、この設問の患者では1回の呼吸での換気量が少ないため、呼吸回数を増やすことで補っている身体的状況と考えられます。
よって、正しくは「1回換気量は減少している」になり、選択肢の記述は不正解です。
ちなみに、肺気腫では肺の組織が破壊され、肺の弾性収縮力が低下するため、疾患から考えても1回換気量は減少している状態となりやすく、1回換気量が増加することはあまり考えられません。
肺気腫は、呼気(息をはく)がしにくくなる疾患です。
そのため、吸気を促すことは適切な対応とはいえず、不正解です。
設問の患者の症状には口唇のチアノーゼ(チアノーゼは血液中の酸素不足を示す身体症状)があります。また呼吸数は34回/分と頻呼吸(呼吸数25回/分以上)になっています。
その状態での身体の経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は低下していることが考えられます。
よって、選択肢の記述は不正解です。
肺気腫は息が吐きにくい状態であるため、進行すると二酸化炭素が放出されず貯留していくことで、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉は上昇します。
よって、選択肢の記述は正解です。
今回は「肺気腫」に関連した問題でした。
肺気腫と関連して、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった肺疾患の患者数は年々増加傾向です。
つまり、国家試験でも問われやすい疾患の内容といえます。
この問題を契機にしっかり学習しておくと良いと思います。
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03
正解は4です。
肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一種で、肺の細胞の壁が徐々に壊れていく疾患です。COPDの特徴として、FEV1(1秒量)=吐き出す力が低下します。
各選択肢については以下の通りです。
1:肺機能の低下があるため、1回換気量は減少します。
2:閉塞性肺疾患は呼気性の呼吸障害がみられるため、口すぼめ呼吸などで呼気を促すと効果的です。
3:チアノーゼが出現していることから、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は低下します。
4:病状が進行すると肺胞のガス交換が十分にできないため、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉が上昇し、動脈血酸素分圧〈PaO2〉は低下します。
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