看護師の過去問
第111回
午後 問66

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問題

看護師国家試験 第111回 午後 問66 (訂正依頼・報告はこちら)

長期に大量飲酒をした後で、急に断酒した際にみられるのはどれか。
  • 病的酩酊(pathological intoxication)
  • 振戦せん妄(delirium tremens)
  • アルコール性認知症(alcohol-related dementia)
  • Korsakoff〈コルサコフ〉症候群(Korsakoff syndrome)

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この過去問の解説 (3件)

01

アルコール離脱は、長期にわたって大量飲酒をしている人が突然断酒したり、量を減らした時に現れる不快な症状の総称です。

選択肢1. 病的酩酊(pathological intoxication)

×:誤り

病的酩酊とは、飲酒により意識障害や幻覚、理解不能な言動を繰り返すなどの異常な酔い方であり、重大な犯罪に及ぶこともあります。

飲酒量がそれほど大量でなくても起こるのが特徴です。

選択肢2. 振戦せん妄(delirium tremens)

○:正しい

振戦せん妄は通常、アルコール離脱の48~72時間後にみられる離脱症状です。手足の震え(振戦)に加えて、錯乱、幻覚、見当識障害などのせん妄がみられる状態です。

選択肢3. アルコール性認知症(alcohol-related dementia)

×:誤り

アルコール性認知症とは、アルコールの大量摂取が原因で発症する認知症のことです。

選択肢4. Korsakoff〈コルサコフ〉症候群(Korsakoff syndrome)

×:誤り

Korsakoff〈コルサコフ〉症候群とは、主にアルコールの大量摂取に伴うビタミンB1欠乏によって生じるウェルニッケ脳症の後遺症として発症する認知症です。

記銘力障害、見当識障害、作話などの症状がみられます。

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02

今回は長期に大量飲酒をした後で、急に断酒した際の症状に関する問題です。

あえて問題文では回りくどい表現になっていますが、これはつまり、アルコール依存症の患者が急に断酒した際に合わられるアルコール離脱症状に関する問題だと理解すれば、解答しやすいと思います。

離脱症状とは?

離脱症状は一般的に連用しているアルコール摂取や薬物服用を急激に断つことで出現する症状をいいます。

アルコール離脱症状は早期離脱症状と後期離脱症状があります。

早期離脱症状では、最後の飲酒から数時間で始まるとされ、1~2日の間にピークを迎えます。

具体的には下記のような症状が現れます。

身体的症状

・自律神経症状:発汗、頻脈、血圧上昇

・消化器症状:嘔気、食欲不振、下痢

・アルコール振戦:手指や身体の振戦

・けいれん発作 など

精神的症状

・不安、抑うつ、不眠、幻覚、錯覚 など

後期離脱症状では早期離脱症候群に次いで起こり、最後の飲酒から2~3日で出現し、4~5日でピークを迎えます。具体的には下記のような症状が現れます。

身体的症状

・自律神経症状:発汗、頻脈、血圧上昇 など

精神的症状

・幻覚、振戦せん妄 など

早期離脱症状時とは異なり、後期に振戦せん妄が現れる時期では脱水、低栄養状態、電解質異常、低血糖などが起こりやすく、最悪の場合には生命の危機に至る危険があります。

選択肢1. 病的酩酊(pathological intoxication)

病的酩酊とは飲酒による異常な酔い方のことをいいます。

強い意識障害や見当識障害、幻覚が症状としてはあります。

また飲酒中に突然、周囲からは理解不可能な激しい興奮や粗暴な行動を起こして、翌日にそのことを本人が覚えていない(健忘状態)ことが特徴としてあります。

病的酩酊はアルコール離脱症状ではないため、不正解です。

選択肢2. 振戦せん妄(delirium tremens)

振戦せん妄は急に断酒した際に起こるアルコール離脱症状になり、上下肢の振戦や意識障害や不安などの症状もみられます。

早期離脱症状時とは異なり、後期に振戦せん妄が現れる時期では脱水、低栄養状態、電解質異常、低血糖などが起こりやすく、最悪の場合には生命の危機に至る危険があります。

よって、正解です。

選択肢3. アルコール性認知症(alcohol-related dementia)

アルコール性認知症はアルコールの多量摂取により、脳血管障害やビタミンB1欠乏が原因により起こります。

アルコール離脱症状ではないので、不正解です。

選択肢4. Korsakoff〈コルサコフ〉症候群(Korsakoff syndrome)

コルサコフ症候群はアルコール使用障害によるものが多く、直近の記憶障害や見当識障害、作話などの障害がみられます。

またコルサコフ症候群はウェルニッケ脳症からの移行が多く、ウェルニッケ脳症はアルコール多飲によるビタミンB1欠乏により起こるとされています。

アルコール離脱症状ではないので、不正解です。

まとめ

今回はアルコール依存症の患者が急に断酒した際に合わられるアルコール離脱症状に関する問題でした。

今回の問題を契機にアルコールや薬物に関連する疾患や症状、障害について押さえておくことをオススメします。

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03

正解はです。

 長期間の飲酒歴のある重度のアルコール依存症者が、飲酒を中断または減量した際にアルコールの離脱症状が出現します。

 早期の離脱症状として、手の振戦、悪寒、寝汗、イライラ、不安、焦燥感、睡眠障害などが出現し、2~4日目頃に後期の離脱症状(=振戦せん妄)として頻脈や発熱、発汗などの著明な自律神経機能亢進、全身性の粗大な振戦、意識変容、精神運動興奮、失見当識、幻覚や幻視などが出現します。

 各選択肢については以下の通りです。

1 .病的酩酊

酩酊状態のなかでも、幻覚が生じることや見当識が失われることがあり、周囲の状況を認識することはほとんど不可能な状態で、飲酒中に突然、周囲からは理解不可能な激しい興奮や粗暴な行動を起こし、本人は翌日にそのことを覚えていない(健忘状態)のが特徴です。病的酩酊は飲酒量がそれほど大量でなくても起こることも特徴です。

2 .振戦せん妄

上記説明参照。

3 .アルコール性認知症

アルコールの大量摂取が原因と考えられる認知症のことです。断酒を引き金に発症するものではありません。

4 .Korsakoff〈コルサコフ〉症候群

ビタミンB1(チアミン)の不足によって起こるウェルニッケ脳症の後遺症のことです。

ウェルニッケ脳症の原因としてはアルコール依存症が半分を占めますが、悪性腫瘍、消化管手術後、重症のつわり等のチアミン不足を生じるすべての病気でウェルニッケ脳症が起こる可能性があります。56~84%が記銘力障害や失見当識、作話を特徴とするコルサコフ症候群へ移行していきます。

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