看護師の過去問
第112回
午前 問103

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問題

看護師国家試験 第112回 午前 問103 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。
Aちゃん(2歳、男児)は両親、兄(5歳)の4人家族である。3日前から発熱が続くため、母親と一緒に外来を受診した。診察の結果、川崎病(Kawasaki disease)と診断され、個室に入院となり左手背に点滴静脈内留置針が挿入された。入院中は母親が希望し、Aちゃんに付き添っている。Aちゃんにγ−グロブリン療法とアスピリンの内服が開始されることになった。看護師がγ−グロブリン療法の開始のために訪室すると、Aちゃんは不機嫌にぐずって泣いている。

γ−グロブリン療法の開始に伴う看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
  • γ−グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝える。
  • 留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用する。
  • 心負荷の軽減のためにAちゃんの経口水分摂取を制限する。
  • 心電図モニターの装着を確認する。
  • 留置針の刺入部を観察する。

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この過去問の解説 (2件)

01

川崎病とは、

乳幼児に好発する全身の血管の炎症によって引き起こされる病気です。

川崎病では、ガンマグロブリン製剤の点滴アスピリンの内服が最初に行われます。

選択肢1. γ−グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝える。

γ−グロブリン製剤投与時は、

アレルギー反応によるアナフィラキシーショックの可能性があるため、

看護師の観察できる場所にいてもらう方が良いです。

選択肢2. 留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用する。

抑制帯の使用は、倫理の観点から必要最小限にする必要があります。

使用しないような工夫を試みることが大切です。

選択肢3. 心負荷の軽減のためにAちゃんの経口水分摂取を制限する。

川崎病の治療において、水分摂取を制限する必要はありません。

選択肢4. 心電図モニターの装着を確認する。

γ−グロブリン製剤投与時は、

アレルギー反応によるアナフィラキシーショックの可能性があるため、

心電図モニターの装着は適切であるといえます。

選択肢5. 留置針の刺入部を観察する。

左手背に点滴静脈内留置針が挿入されたので、

刺入部の観察は必要で、適切であるといえます。

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02

川崎病の急性期治療では、早期に炎症反応を抑えて、冠動脈瘤の形成を防ぐことが大切です。

その急性期治療として、「アスピリン療法」と「免疫ブログリン療法」が行われます。

この設問では、免疫グロブリン療法における、作用・副作用を知ることが大切です。

各選択肢については、以下のとおりです。

選択肢1. γ−グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝える。

γ‐グロブリン療法は、アナフィラキシーショック、肝臓障害、血小板減少、血栓塞栓症などの様々な副作用症状が出現するおそれがあります。

よって治療中は、それらの副作用症状が出現していないかを注意深く観察し、早期発見と対応をするために、基本的に安静が必要となります。

選択肢2. 留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用する。

留置針の自己抜去予防は大切なことですが、現在のAちゃんの様子はぐずっているのみであり、母親の付き添いもあるため、自己抜去のリスクは低いと言えます。

よって、積極的な抑制帯の使用は、現段階においては不必要であると考えます。

また、不必要な抑制は、Aちゃんや母親の不安を増強することにもつながるため、この選択肢が正解である可能性は低くなります。

選択肢3. 心負荷の軽減のためにAちゃんの経口水分摂取を制限する。

γ‐グロブリン療法の副作用として、心不全の発症があります。

しかし、現段階ではAちゃんは治療開始前であり、また心不全症状についての記載もないことから、現段階で水分摂取の制限は不必要であると考え、選択肢の優先順位としては低くなります。

選択肢4. 心電図モニターの装着を確認する。

川崎病の発病に伴い、全身の血管に強い炎症反応が起こることで、冠動脈瘤ができることがあります。

また、まれに心筋炎、心不全、不整脈、ショック、けいれんといった重症合併症が起こることもあるため、心電図モニターの装着をし、観察をする必要があります。

よって、この選択肢は正解となります。

選択肢5. 留置針の刺入部を観察する。

免疫グロブリン療法においては、血管外漏出を起こすことで、皮下硬結や難治性の皮膚潰瘍となるおそれがあります。

よって、留置針の刺入部の観察は十分に行う必要があるため、この選択肢は正解です。

まとめ

川崎病における免疫グロブリン療法の作用と副作用について、理解しておきましょう。

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