看護師の過去問
第112回
午後 問97

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問題

看護師国家試験 第112回 午後 問97 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。
Aさん(75歳、男性)は1人暮らしで、妻とは5年前に死別し、子どもはいない。57歳のときに慢性閉塞性肺疾患<COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)と診断された。他に既往はない。20歳から喫煙していたが、今は禁煙している。エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、家事動作時に息苦しさが出現することもあったが、日常生活動作<ADL>は自立していた。妻が亡くなってからは食事が不規則になり、インスタント食品ばかり食べていた。入浴はせず、週に1回シャワーを浴びていた。
1週前から日常生活動作<ADL>でも息苦しさが増強し、食欲がなく、ほとんど食事をしていなかったが、ジュースを500mL/日は飲んでいた。昨日の夕方に37.8℃の発熱があったため、本日かかりつけの病院を受診した。

受診時の身体所見:体温37.6℃、呼吸数24/分、脈拍94/分、整、血圧138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>82%(room air)。
         動脈血液ガス分析(room air):動脈血酸素分圧<PaO2>45Torr、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>58Torr。
検査所見:赤血球420万/μL、Hb10.3g/dL、白血球9,500/μL、総蛋白5.8g/dL、アルブミン3.4g/dL、空腹時血糖98mg/dL、CRP10.1mg/dL。
医師の診察の結果、Aさんは慢性閉塞性肺疾患<COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)の急性増悪と診断された。

このときのAさんの状態はどれか。
  • うつ熱
  • 高血圧
  • 呼気の延長
  • 皮膚の搔痒感

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この過去問の解説 (2件)

01

Aさんの身体所見や症状から、適切な選択肢を選びましょう。

選択肢1. うつ熱

×:誤り

うつ熱とは、発汗などの体温調節機能が低下することによって体温が上昇することで、熱中症症状です。

Aさんの体温は37.6℃で微熱ですが、うつ熱ではありません。

選択肢2. 高血圧

×:誤り

高血圧とは収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上のことを指します。

Aさんの血圧は138/88mmHgのため、高血圧ではありません。

選択肢3. 呼気の延長

○:正しい

呼気の延長は慢性閉塞性肺疾患(COPD)に特徴的な症状です。

Aさんの動脈血液ガス分析では、PaO2:45Torr、PaCO2:58Torrのため、COPDによる呼気延長が考えられます。

選択肢4. 皮膚の搔痒感

×:誤り

皮膚の掻痒感を示す主観的・客観的データはありません。

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02

この問題のポイントは、以下の通りです。

1週前から日常生活動作<ADL>でも息苦しさが増強していたことと、医師の診察の結果、Aさんは慢性閉塞性肺疾患<COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)の急性増悪と診断されたことです。

では、問題を見てみましょう。

選択肢1. うつ熱

うつ熱とは、外気温が高すぎたり、激しい運動をしたときに熱の産生と放散のバランスが崩れてしまい熱がこもってしまう状態です。

Aさんの場合、昨日の夕方から37℃台の発熱が続いており、熱がこもる環境にいたとは考えにくいです。

よって、うつ熱は考えにくいです。

選択肢2. 高血圧

Aさんの血圧は138/88mmHgであり、高値血圧ではありますが高血圧ではありません。

高血圧はⅠ度からⅢ度に分かれており、Ⅰ度高血圧は140~159mmHgかつ ⁄ または90~99mmHgとなっています

選択肢3. 呼気の延長
  • COPDの主要な症状の一つに、呼気の延長があります。これは肺が正常に収縮せず、空気が適切に排出されなくなるためです。
  • 呼気の延長により、肺から空気を排出するのが困難となり、患者は息切れや呼吸困難を感じます。
  • 呼吸数24/分と回数が多く、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>82%(room air)と低値です。
  • 動脈血酸素分圧<PaO2>45(基準値80 ~100)Torr、であることから、低酸素血症になっていることがわかります。よって、呼気の延長の状態であることが分かります。

選択肢4. 皮膚の搔痒感

皮膚の搔痒感に関しては、この問題分に関連していることは記載されていないため考えにくいです。

まとめ

慢性閉塞性肺疾患<COPD>は、気管支の狭窄と粘液の増加がみられます。また、肺胞壁の破壊と肺組織の弾力性の喪失が起こります。これにより、肺が正常に収縮・膨張せず肺機能が低下し、呼吸が効率的に行えなくなることを覚えておきましょう。

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