公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問13 (午前 問13)

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 問13(午前 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

摂食行動を制御する分子について、正しいものを1つ選べ。
  • グレリンは、食欲を抑制する。
  • レプチンは、食欲を促進する。
  • オレキシンは、食欲を抑制する。
  • 肥満症では、血液中のグレリン濃度が上昇する。
  • 肥満症では、血液中のレプチン濃度が上昇する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は5です。

1 グレリンとは、食欲を増進するホルモンであり、空腹時に胃から分泌されます。食欲を、抑制ではなく「促進」するため、記述は誤りとなります。

2 レプチンとは、食欲を抑制するホルモンであり、食後に脂肪細胞から分泌されます。食欲を、促進ではなく「抑制」するため、記述は誤りとなります。

3 オレキシンとは、脳の視床下部で作られ、食欲を増進する働きを持っています。食欲を、抑制ではなく「促進」するため、記述は誤りとなります。

その他に、睡眠と覚醒のコントロールなどの働きがあります。

4 グレリンは、空腹時に分泌される、食欲を増進するホルモンであり、摂食することによって血中濃度は低下します。一般的に肥満症は、摂食回数あるいは食物摂取量が多い傾向にあり、グレリンの血中濃度は低いと考えられます。したがって、記述は誤りとなります。

5 記述の通りです。一般的に肥満症は、レプチン濃度が高いとされています。肥満症においては、レプチンが効きにくい状態が生じており、実際はレプチンが多く分泌されているものの、作用しにくいため摂食の抑制が起こらなくなっていると考えられます。

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02

正解は5です。

グレリンは主に胃から分泌され、脳の視床下部に働きかけるペプチドホルモンで、食欲を増進させ成長ホルモンの分泌を促します。

レプチンは、脂肪細胞から分泌され、脳の視床下部に作用し、満腹であるというサインを出して食欲を抑制します。交感神経にも働きかけ、脂肪の蓄積を抑制してエネルギー消費を亢進する作用もあります。

各選択肢については以下の通りです。

1.上記にあるように、グレリンは食欲を増進させます。よって選択肢は誤りです。

2.上記にあるように、レプチンは食欲を抑制します。よって選択肢は誤りです。

3.オレキシンは食欲を促進させます。よって選択肢は誤りです。

4.血中グレリン濃度は、肥満症では低下し、やせ型では上昇します。よって選択肢は誤りです。

5.レプチンは脂肪細胞から分泌されるので、血液中のレプチン濃度は上がります。よって選択肢は正解です。

※体脂肪の多い人は、レプチンを受け取る受容体が反応しにくくなります。これを「レプチン抵抗性」と言います。

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03

摂食行動は、さまざまな分子が関与して制御されています。

主要な分子には、食欲を促進する作用を持つグレリンオレキシン

食欲を抑制する作用を持つレプチンなどがあります。

肥満症のような病態では、これらの分子が異常な分泌パターンを示すことがあります。

本問題では、摂食行動の調節に関与する分子の作用や肥満症における変化についての理解が求められます。

選択肢1. グレリンは、食欲を抑制する。

グレリンは胃から分泌されるホルモンで、

食欲を促進する作用を持ちます。

また、エネルギー摂取を増加させるとともに、

成長ホルモンの分泌を促進します。

この選択肢は、グレリンの作用を誤って説明しているため、不適切です。

選択肢2. レプチンは、食欲を促進する。

レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、

視床下部に作用して食欲を抑制します。

また、エネルギー消費を増加させる働きもあります。

この選択肢は、レプチンの作用を逆に説明しているため、不適切です。

選択肢3. オレキシンは、食欲を抑制する。

オレキシンは視床下部で産生される神経ペプチドで、覚醒状態を維持し、

食欲を促進する作用を持ちます。

この選択肢は、オレキシンの作用を誤って説明しているため、不適切です。

選択肢4. 肥満症では、血液中のグレリン濃度が上昇する。

肥満症では、血液中のグレリン濃度はむしろ低下することが多いとされています。これは、エネルギー摂取が過剰な状態では、食欲をさらに促進する必要がないためです。この選択肢は不適切です。

選択肢5. 肥満症では、血液中のレプチン濃度が上昇する。

肥満症では、脂肪細胞が増加しているため、脂肪細胞から分泌されるレプチンの濃度も上昇します。ただし、肥満症の患者では、レプチンに対する感受性が低下しており(レプチン抵抗性)、結果として食欲抑制効果が十分に発揮されなくなることが特徴です。この選択肢は正しいです。

まとめ

摂食行動の制御において、グレリンは食欲を促進し、

レプチンは食欲を抑制します。肥満症では脂肪細胞が増加するため、

レプチン濃度が上昇しますが、レプチン抵抗性により食欲抑制効果が低下します。

この点を正しく述べているのは、「 肥満症では、血液中のレプチン濃度が上昇する」です。

他の選択肢は、各分子の作用や病態について誤った記述を含んでいるため不適切です。

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