一級建築士の過去問
平成27年(2015年)
学科4(構造) 問92

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問題

一級建築士試験 平成27年(2015年) 学科4(構造) 問92 (訂正依頼・報告はこちら)

プレストレストコンクリート構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 不静定架構の大梁にプレストレス力を導入する場合、曲げ変形と同時に軸方向変形を考慮した不静定二次応力を計算しなければならない。
  • プレストレストコンクリート構造の種別は、長期設計荷重時に梁断面に生じる引張縁の状態によって、Ⅰ種、Ⅱ種及びⅢ種とされている。
  • プレストレストコンクリート構造は、鉄筋コンクリート構造に比べて長スパンに適しているが、一般に、ひび割れが発生する可能性が高く、耐久性は鉄筋コンクリート構造より劣る。
  • ポストテンション方式によるプレストレストコンクリート構造の床版において、防錆材により被覆された緊張材を使用する場合、緊張材が配置されたシース内にグラウトを注入しなくてもよい。

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この過去問の解説 (3件)

01

1 〇
プレストレス導入による材長短縮によって生じる不静定力と材の曲げによって生じる不静定モーメントを考慮します。必要であれば乾燥収縮による不静定応用力も計算します。

2 〇
Ⅰ種のフルプレストレッシング(FPC)、Ⅱ種のパーシャルプレストレッシング(PPC)、Ⅲ種のプレストレスト鉄筋コンクリート(PRC)に分類できます。

3 ×
前もってPC鋼材で鉄筋コンクリート部材断面に圧縮力を導入しているので、コンクリートのひび割れも生じにくいです。

4 〇
シース管の空隙にグラウト注入、又はアンボンドPC鋼材のどちらかを用います。

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02

1.設問の通り。

2.設問の通り。
プレストレストコンクリート構造の種別は、長期設計荷重時に梁断面に生じる引張縁の状態によって、Ⅰ種、Ⅱ種及びⅢ種とされています。
Ⅰ種:最も不利な長期設計応力作用時にコンクリート断面には引張応力の発生を許さない設計
Ⅱ種:最も不利な長期設計応力作用時にコンクリート断面に許容値以内の引張応力の発生を許す設計
Ⅲ種:最も不利な長期設計応力作用時にコンクリート断面に曲げひび割れの発生を許すが、軽度のプレストレストの導入と引張側普通鉄筋によって、厳しいひび割れ幅制限を満足する設計

3.誤り。
鉄筋コンクリートに比べて大スパンの架構に適しています。さらに、ひび割れの発生可能性が低いので、鋼材の防食にも優れ、耐久性は鉄筋コンクリート造より優れた構造です。

4.設問の通り。
原則として、緊張材とシースとの間に、緊張材の防錆に有効で、かつ、緊張材とシースとの付着が良好なグラウトを注入する必要があります。ただし、耐力壁以外の壁、床又は小梁をプレストレストコンクリート造とする場合で、あらかじめ有効な防錆材で被覆された緊張材を配置し、コンクリートを打ち込む時は適用しません。

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03

1.設問の通りです。
不静定構造物においては、プレストレス導入による材長短縮によって生じる不静定力と材の曲げによって生じる不静定モーメントによる不静定二次応力を計算するとともに、必要に応じてコンクリートのクリープ及び乾燥収縮による不静定クリープ応力を計算しなければなりません。

2.設問の通りです。
プレストレストコンクリート構造は、長期設計荷重時に梁断面に生じる引張縁の状態に応じて、

Ⅰ種:フルプレストレッシング(FPC)
Ⅱ種:パーシャルプレストレッシング(PPC)
Ⅲ種:プレストレスト鉄筋コンクリート(PRC)

の3種に分類できます。

3.誤りです。
プレストレストコンクリート構造は、一般の鉄筋コンクリート構造に比べて大スパンの架構に適しています。またコンクリートに予め圧縮力を導入しておくので、曲げによる引張応力度が打ち消されます。ひび割れの発生可能性が低く鋼材の防食にも優れるため、耐久性は鉄筋コンクリート造より優れています。

4.設問の通りです。
一般にポストテンション法によるプレストレストコンクリート構造では、PC鋼材を通したシース菅を型枠内に設置した上でコンクリートを打設し、コンクリート硬化後、PC鋼材を緊張しシースとの隙間にグラウトを注入します。しかし、アンボンドPC鋼材の場合には、はじめからシースで包まれ隙間にグリース等の防錆材が充填されているため、グラウトを注入することはありません。

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