一級建築士の過去問
平成27年(2015年)
学科5(施工) 問106
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問題
一級建築士試験 平成27年(2015年) 学科5(施工) 問106 (訂正依頼・報告はこちら)
土工事及び山留め工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 親杭横矢板壁の施工において、矢板を設置し、その裏側に裏込め材を十分に充塡した後、親杭と矢板との間にくさびを打ち込んで裏込め材を締め付けて安定を図った。
- 砂質地盤の法付きオープンカット工法において、安全確保のため、地下水位を根切り底面以下に下げるとともに、法面勾配の角度は地盤の内部摩擦角より大きくした。
- ソイルセメント壁の施工において、掘削対象土がロームであったため、撹拌不良に注意し、入念に原位置土とセメント系懸濁液との混合撹拌を行った。
- ディープウェル工法を採用するに当たり、周辺の井戸枯れや粘性土地盤の圧密沈下等、地下水位の低下に伴う周辺への影響を検討した。
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この過去問の解説 (3件)
01
[親杭横矢板工法]
親杭(H形鋼)を80〜150cm間隔で打設し、親杭の間に木矢板をはめ込む土留め方法です。
地下水位の低い良質な地盤に適しており、崩れやすいシルト質地盤には不適です。
2.誤り
法面の勾配は地質、掘削高により決定しますが、内部摩擦角より小さくしておかなければ崩れやすくなります。
[法付きオープンカット工法]
掘削側面を法面(斜面)とする掘削工法で、法面の安定勾配を利用して土圧を安定させます。また、安全確保のため地下水位は根切り底面以下に下げておくようにします。
[内部摩擦角]
土粒子間のせん断抵抗を角度で現したものです。
内部摩擦角が大=N値大=土が硬い=崩れにくい(砂質土等)
内部摩擦角が小=N値小=土が柔らかい=崩れやすい(粘土質等)
3.設問の通り
[ソイルセメント柱列山留め壁工法]
多軸オーガーで掘孔と同時にセメント系注入液を吐出させ、原位置土と混合攪拌して連続壁を造成する山留め工法です。
ローム等の粘性土は、攪拌翼に付着しやすく攪拌不良の原因となるため注意が必要です。
4.設問の通り
[ディープウェル工法]
掘削部に深井戸を設置し、井戸に流入する水をポンプ等で排出する工法です。地下水位の低下による周辺の井戸枯れや圧密沈下を起こさないよう検討が必要です。
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02
2.誤りです。
山留設計指針により、砂質地盤での法付けオープンカット工法では、地下水位を根切りの底面以下、かつ法面勾配を35度以下で内部摩擦角より小さくすることで斜面の安定は確保されます。
3.設問通り、適当です。
4.設問通り、適当です。
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03
くさびは裏込め材を密実に充填し、裏込め材、横矢板の密着性を確保するために設置します。
2.[誤]
砂質地盤の法付きオープンカット工法は斜面の安定性確保のため地下水位を根切り底面以下にし、法面勾配を内部摩擦角度以下とします。
設問は内部摩擦角より大きくとあるため誤りです。
3.[正]
セメント系改良体は粘性土だと強度が十分に出ないことがあるため、混合、撹拌を十分に行う必要があります。
4.[正]
敷地外の地下水を排水すると、周辺の井戸枯れ、粘性土の圧密沈下、土砂流出による地盤沈下が起こる可能性があるため留意が必要です。
また、上記現象への対処法としてディープウェルによって汲み上げた水を再び地中に戻すリチャージ工法があります。
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