一級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科2(環境・設備) 問13

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問題

一級建築士試験 令和5年(2023年) 学科2(環境・設備) 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

換気設備の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 喫煙室において、非喫煙場所との境界の開口部における気流の風速は、喫煙室に向かって0.2m/s以上とした。
  • 事務所ビルにおいて、執務室の中央南面に縦シャフトを通し、その頂部を延長したソーラーチムニー方式を採用することで温度差換気を積極的に活用した。
  • 火気使用室において、排気フードⅠ型を設けた換気扇の有効換気量Ⅴは、V=30KQ(K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量、Q:火を使用する設備又は器具の実状に応じた燃料消費量)により算出した。
  • ボイラー室において、燃料の燃焼に伴う発熱を制御するため、第3種換気方式とした。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は換気設備の計画に関する問題です。

室ごとの換気の目的をしっかり理解することがポイントとなります。

選択肢1. 喫煙室において、非喫煙場所との境界の開口部における気流の風速は、喫煙室に向かって0.2m/s以上とした。

正しいです。

喫煙室と非喫煙室との境界の開口部において、気流の風速は喫煙室に向かって0.2m/s以上を確保し、たばこの臭いや煙が非喫煙室へ流入することを防止する必要があります。

選択肢2. 事務所ビルにおいて、執務室の中央南面に縦シャフトを通し、その頂部を延長したソーラーチムニー方式を採用することで温度差換気を積極的に活用した。

正しいです。

ソーラーチムニーの換気方式とは建物の中に煙突のような通り道を作り、煙突内に溜まっている空気を太陽光にて温め、温度上昇を利用する温度差換気システムのことです。

空気がこもりやすい場所の自然換気が促進され、省エネルギー性が向上します。

選択肢3. 火気使用室において、排気フードⅠ型を設けた換気扇の有効換気量Ⅴは、V=30KQ(K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量、Q:火を使用する設備又は器具の実状に応じた燃料消費量)により算出した。

正しいです。

火を使用する室における有効換気量は V = NKQ [㎥/h] で求めます。

  N:フード形状等による掛率

  K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量

  Q:火を使用する設備又は器具の実状に応じた燃料消費量

排気フードⅠ型を設けた場合、フード形状等による掛率Nは30となり、有効換気量は V = 30KQ で求めることができます。

選択肢4. ボイラー室において、燃料の燃焼に伴う発熱を制御するため、第3種換気方式とした。

誤りです。

ボイラー室は酸素の確実な供給と室内の温度上昇を防ぐために、第1種換気システム又は第2種換気システムを採用する必要があります。

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02

この問題は空気調和・換気設備に関する問題です。

選択肢1. 喫煙室において、非喫煙場所との境界の開口部における気流の風速は、喫煙室に向かって0.2m/s以上とした。

正解です。

喫煙室の出入口などの開口部における気流の風速は、喫煙室に向かって0.2m/s以上とし、たばこの煙の漏れを防止することが求められます。

選択肢2. 事務所ビルにおいて、執務室の中央南面に縦シャフトを通し、その頂部を延長したソーラーチムニー方式を採用することで温度差換気を積極的に活用した。

正解です。

ソーラーチムニーとは、チムニー(煙突)に日射を当てて内部の空気を暖め、温度差による換気で室内の通風、換気を促進させる装置です。太陽光の当たる南面に設けることで高い効果が得られます。

選択肢3. 火気使用室において、排気フードⅠ型を設けた換気扇の有効換気量Ⅴは、V=30KQ(K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量、Q:火を使用する設備又は器具の実状に応じた燃料消費量)により算出した。

正解です。

火気使用室における必要有効換気量は、

V=定数×KQ

定数:フードの形状・寸法等により定められた数値

K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量 m3/(kW・h)

Q:火を使用する設備又は器具の実状に応じた燃料消費量kW

 

排気フードが無い換気扇:40

排気フードⅠ型:30

排気フードⅡ型:20

 

選択肢4. ボイラー室において、燃料の燃焼に伴う発熱を制御するため、第3種換気方式とした。

誤りです。

ボイラー室等の燃焼機器を使用する機械室の換気方式は、換気量が多く、安定した換気が必要なため、第1種換気方式(機械給気+機械排気)とするべきです。

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03

換気設備の計画に関する問題です。

選択肢1. 喫煙室において、非喫煙場所との境界の開口部における気流の風速は、喫煙室に向かって0.2m/s以上とした。

正しいです。

喫煙室と非喫煙室との境界の開口部において

たばこの臭いや煙が非喫煙室へ流入することを防止するために、気流の風速は喫煙室に向かって0.2m/s以上を確保することが望ましいです。

選択肢2. 事務所ビルにおいて、執務室の中央南面に縦シャフトを通し、その頂部を延長したソーラーチムニー方式を採用することで温度差換気を積極的に活用した。

正しいです。

ソーラーチムニー方式の換気方法とは

建物の中に煙突のような通り道を作り、煙突内に溜まっている空気を太陽光を用いて温めることで温度上昇する性質を利用した温度差換気システムのことです。

空気がこもりやすい場所の自然換気が促進され、省エネルギー性が向上します。

選択肢3. 火気使用室において、排気フードⅠ型を設けた換気扇の有効換気量Ⅴは、V=30KQ(K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量、Q:火を使用する設備又は器具の実状に応じた燃料消費量)により算出した。

正しいです。

火を使用する室における有効換気量は以下の式から求めます。

 V = NKQ [m3/h]

  N:フード形状等による掛率

  K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量

  Q:火を使用する設備又は器具の実状に応じた燃料消費量

排気フードⅠ型を設けた場合

フード形状等による掛率Nは30となるため、有効換気量は V = 30KQ で求めることができます。

選択肢4. ボイラー室において、燃料の燃焼に伴う発熱を制御するため、第3種換気方式とした。

誤りです。

ボイラー室は、酸素の確実な供給と室内の温度上昇を防ぐため、以下のいずれかを採用する必要があります。

第1種換気システム(機械給気・機械排気)

第2種換気システム(機械給気・自然排気)

まとめ

室ごとの換気の目的について学習しましょう。

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