一級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科4(構造) 問14

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問題

一級建築士試験 令和5年(2023年) 学科4(構造) 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート構造の保有水平耐力計算における部材の靱性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 両端部が曲げ降伏する梁では、断面が同じ場合、一般に、内法スパン長さが小さいほど、靱性は低下する。
  • 太径の異形鉄筋を主筋に用いる柱では、曲げ降伏する場合、一般に、引張り鉄筋比が大きいほど、靱性は向上する。
  • 軸方向応力度が小さい柱では、断面が同じ場合、一般に、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が小さいほど、靱性は向上する。
  • 壁式構造の耐力壁では、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が同じ場合、一般に、壁板両端に柱があるラーメン構造の耐力壁に比べて、靱性は低下する。

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この過去問の解説 (2件)

01

部材の靱性とは、部材のねばり強さのことです。

文章だけを見ていると難しく思えるかもしれませんが、

文章を頭の中でイメージ化することで理解しやすくなります。

選択肢1. 両端部が曲げ降伏する梁では、断面が同じ場合、一般に、内法スパン長さが小さいほど、靱性は低下する。

正。

内法スパン長さが小さい(梁が短い)ほど変形能力が低下するため、靭性は低下します。

選択肢2. 太径の異形鉄筋を主筋に用いる柱では、曲げ降伏する場合、一般に、引張り鉄筋比が大きいほど、靱性は向上する。

誤。

引張鉄筋が多いと付着割裂破壊を起こしやすくなるため、靭性は低下します。

選択肢3. 軸方向応力度が小さい柱では、断面が同じ場合、一般に、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が小さいほど、靱性は向上する。

正。

軸方向応力度とは、単位面積当たりに生じる軸方向応力のことで、

せん断応力度とは単位断面積あたりに生じるせん断応力のことです。

柱においては、せん断応力度が小さい(かかる力が小さい)ほど、靭性は向上します。

選択肢4. 壁式構造の耐力壁では、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が同じ場合、一般に、壁板両端に柱があるラーメン構造の耐力壁に比べて、靱性は低下する。

正。

壁式構造は強度抵抗型の構造であり、

変形によって力を吸収するラーメン構造と比べると靭性は劣ります。

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02

この問題は鉄筋コンクリート造の靭性に関する問題です。靭性の特徴をしっかり理解しましょう。

選択肢1. 両端部が曲げ降伏する梁では、断面が同じ場合、一般に、内法スパン長さが小さいほど、靱性は低下する。

正しいです。

梁の長さが短くなるほど梁の変形能力は低下するため、靭性は低下します。

選択肢2. 太径の異形鉄筋を主筋に用いる柱では、曲げ降伏する場合、一般に、引張り鉄筋比が大きいほど、靱性は向上する。

誤りです。

柱の引張鉄筋比を大きくすると曲げ耐力が増加し、せん断破壊が先行するため、靭性は低下します。

選択肢3. 軸方向応力度が小さい柱では、断面が同じ場合、一般に、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が小さいほど、靱性は向上する。

正しいです。

軸方向応力度が小さい柱で曲げ降伏する時の平均せん断応力度が小さいと、せん断破壊するまでの変形能力が増大するため、靭性は向上します。

選択肢4. 壁式構造の耐力壁では、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が同じ場合、一般に、壁板両端に柱があるラーメン構造の耐力壁に比べて、靱性は低下する。

正しいです。

壁式構造は力に抵抗する構造であるため、力を吸収するラーメン構造に比べて靭性は低下します。

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