介護福祉士の過去問
第25回(平成24年度)
発達と老化の理解 問71

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問題

介護福祉士国家試験 第25回(平成24年度) 発達と老化の理解 問71 (訂正依頼・報告はこちら)

Bさん(82歳、男性)は、大企業の営業部長を務めていたが、退職した後も会社のことをいつも気にしている。足が少し不自由なので長男が同居を勧めているが、世話になりたくないと拒否している。Bさんは、自分の庭で野菜を作っている。地域との交流はほとんどない。ライチャードの老年期における人格の5類型のうち、Bさんに相当するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
  • 円熟型
  • 安楽椅子(ロッキングチェアー)型
  • 装甲(自己防衛)型
  • 憤慨(外罰)型
  • 自責(内罰)型

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。
装甲型とは、老化について否定的な考えや不安感が強く、活動性を保持して若い時の生活水準を維持しようとするタイプをいいます。
同居を勧められて断るのも、老いに対し否定的だからだとわかります。
なんとなく、円熟・安楽椅子・自責というイメージとは設問から異なる事がわかりますね。

1→円熟型とは現状にも柔軟性があり、未来に希望をもち、積極的に社会参加を行うタイプです。Bさんは地域との交流を持っていない事から異なる事がわかります。
2→安楽椅子型は、現実を受け入れて満足するが、他者に依存しやすいタイプです。Bさんは同居を断っている事から異なる事がわかります。
4→憤慨型は、現実を受け入れられず、老いに対する不満が他者への攻撃となってあらわれるタイプです。設問ではBさんは攻撃態勢を出してはいません。
5→自責型は自分の人生について後悔や自責の念が強く、孤立しやすいタイプです。Bさんは元営業部長で今も仕事を気にかけている事から、仕事にプライドを持っていることがわかり、このタイプに当てはまらない事がわかります。

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02

正解は3の装甲(自己防衛)型です。

ライチャードの老年期における人格の5類型とは、適応性の観点から高齢者のパーソナリティ特性を以下の5つに分類したものです。

1.円熟型:この型は、日常の生活に対して思慮的、建設的に臨む。仕事に積極的に参加し、家庭や社会の人間関係に満足し、趣味などにも喜びをみい出す。自分自身を現実的に受容でき、過去を悔いたり、現実の喪失を嘆くことなく老いることができる。
2.安楽椅子(ロッキングチェアー)型:物理的にも情緒的にも他人のサポートを待つタイプである。社会人としての責任から自由になれたことを喜び、満足している。年老いることも、安楽な満足をもたらすものと感じている。
3.装甲(自己防衛)型:不安や防衛機制が強いが、それを円滑に表現する。自分の業績に対してこだわりをもち退職して怠惰な生活に陥ることを嫌う。仕事や活動を持続させることによって、身体的衰えや無力感から自己を防衛している。
4.憤慨(外罰)型:この型は、自己の不満や失敗を他者のせいにし、他者に敵意を向け非難攻撃しようとする。自分の業績に対する関心は高いが、仕事に対して情緒的困難を経験し、適応性は低い。年老いることと自分とを調和させることができない。
5.自責(内罰)型:過去を振り返り、失望と挫折感を感じる。その責任を自らに課し、自らを責め自らの不幸を嘆いている。仕事に対する適応性は、まっ
たくない。年老いるにつれ、不適応感と自分が無価値であるという思いが強まり、うつ的になっていく。

(以上、橋本泰子他 特別養護ホームにおける高齢者の心理特性の研究より引用)

このうち1~3は老化に対して適応的、4と5は不適応的といえます。

本問のBさんの態度を見てみると、まず「退職した後も会社のことをいつも気にしている。」という点からは仕事に対する強いこだわりを感じます。装甲型もしくは憤慨型を連想させます。
「長男が同居を勧めているが、世話になりたくないと拒否している。」という一文からは、他者に対する攻撃性や不幸を嘆くうつ的な感じは読み取れず、むしろ老いに対する不安を感じます。
そして「自分の庭で野菜を作っている。」という部分からは仕事・活動に対する積極性が見て取れます。この部分に当てはまるのは円熟型もしくは装甲型です。
最後の部分の「地域との交流はほとんどない。」という部分からは円熟型ではないとわかります。

以上をまとめると、すべての条件を満たすのは3の装甲型であるといえます。

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03

正解は3です。
設問中の「退職した後も会社のことをいつも気にしている」「(長男の)世話になりたくないと拒否している」「自分の庭で野菜を作っている」というところから、自己の業績に愛着し、活動性を維持しようとする装甲型(自己防衛)型と考えられます。書籍によっては、「武装型」と表現されているものもあります。

各選択肢については以下のとおりです。
1→円熟型とは、日常生活において思慮的、建設的、積極的で家庭や対人関係に満足し、過去に後悔することなく、将来に対する不安についてもあまり考えていないタイプです。
2→安楽椅子(ロッキングチェアー)型とは、現実を受け入れ、満足するものの他人に依存するタイプです。
4→憤慨(外罰)型とは、自己の不満や失敗に対して、他人に敵意を示し、攻撃するタイプのことです。
5→自責(内罰)型とは、自分の人生に劣等感を持ち、自責的となり、ふさぎ込むタイプです。時に自殺を考え、適応性のないタイプです。書籍によっては「自己嫌悪型」と表現されているものもあります。

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