介護福祉士の過去問
第27回(平成26年度)
こころとからだのしくみ 問108
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問題
介護福祉士国家試験 第27回(平成26年度) こころとからだのしくみ 問108 (訂正依頼・報告はこちら)
Fさん(72歳、男性)は数か月前から食欲不振があり、体重も減少した。市内の総合病院を受診したところ、末期の胃がん(gastric cancer)と診断され、緩和医療を受けることを勧められた。
Fさんの今の心情を、キューブラー・ロス(Kubler-Ross,E.)の提唱した心理過程の第一段階に当てはめた表現として、適切なものを1つ選びなさい。
Fさんの今の心情を、キューブラー・ロス(Kubler-Ross,E.)の提唱した心理過程の第一段階に当てはめた表現として、適切なものを1つ選びなさい。
- 「病気を治すためなら、財産を全部使ってもいい」
- 「なぜ私だけが病気になって、死ななければならないのか」
- 「診断は何かの間違いでとても信じられない」
- 「死は誰だれにでも訪れる自然なことだから、受け入れよう」
- 「末期がんなら、何をしてもどうせ無駄だ」
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この過去問の解説 (3件)
01
キューブラー・ロスの提唱した死の受容に関するプロセスは「すべての人にあてはまるものではない」とされつつも、多くの人にあてはまる内容となっています。
第一段階:否認
「何かの間違いだ」などと告知内容を受け入れられず否定する段階
第二段階:怒り
「家族がもっと早く異変に気付いていてくれれば」などと誰かに怒りを向ける段階
第三段階:取引
「もし病気が治るなら一生貧乏でもいい」などと成立しない取引を妄想する段階
第四段階:抑うつ
「何をやってももうだめだ」などと無力感を感じ、何もやる気が起こらなくなる段階
第五段階:受容
「運命はもう動かない」などと死を受け入れる段階
これにより選択肢は以下の通りとなります。
1:第三段階(取引)
2:第二段階(怒り)
3:第一段階(否認)
4:第五段階(受容)
5:第四段階(抑うつ)
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02
*参考*段階別解説
第一段階:「否認と孤立」
病などの理由で、自分の余命があと半年であるとか三か月であるなどと知り、それが事実であると分かっているが、あえて、死の運命の事実を拒否し否定する段階です。
それは冗談でしょうとか、何かの間違いだという風に反論し、死の事実を否定するが、否定しきれない事実であることが分かっているがゆえに、事実を拒否し否定し、事実を肯定している周囲から距離を置くようになります。
第二段階:「怒り」
拒否し否定しようとして、否定しきれない事実、宿命だと自覚できたとき、「なぜ私が死なねばならないのか」という「死の根拠」を自問自答します。
社会の役に立たない人が死ぬのは納得でき、でもなぜ自分が死なねばならないのか、その問いの答えに怒りを感じ表明します。
第三段階:「取り引き」
しかし、死の事実性・既定性は拒否も出来ないですし、根拠を尋ねて答えがないことに対し怒ったとしても、結局、「死に行く定め」は変化させることが出来ません。死の宿命はどうしようもない、と認識し、なお何かの救いがないかと模索します。
この時、自分は強欲であったから、財産を慈善事業に寄付するので、死をないことにして欲しいとか、長年会っていない娘がいる、彼女に会えたなら死ねるなど、条件を付けて死を回避の可能性を探ったり、死の受容を考え、取引を試みるようになります。
第四段階:「抑うつ」
条件を提示してそれが満たされても、なお死の定めが消えないことが分かると、どのようにしても自分はやがて死ぬのであるという事実が感情的にも理解し、閉塞感が訪れてきます。 何の希望もなく、何をすることもできない、何を試みても死の事実性は消えません。このようにして深い憂うつと抑うつ状態に落ち込んでいきます。
第五段階:「受容」
抑うつのなかで、死の事実を反芻している時、死は「無」であり「暗黒の虚無」だという今までの考えは、もしかして間違っているのかもしれないという考えに出会うことが出てきます。あるいはそのような明確な考えでなくとも、死を恐怖し、拒否し、回避しようと必死になっていましたが、しかし、死は何か別のことかも知れないという心境が訪れてきます。
人によって表現は異なりますが、死んで行くことは自然なことなのだという認識に達するとき、心にある安らぎが訪れ「死の受容」へと人は至ります。
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03
キューブラー・ロスは死の受容について否認→怒り→取引→抑うつ→受容の5段階の経過があると唱えました。第一段階は否認です。
各選択肢は以下のとおりです。
1→第三段階の取引です。
2→第二段階の怒りです。
4→第五段階の受容です。
5→第四段階の抑うつです。
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