介護福祉士の過去問
第28回(平成27年度)
発達と老化の理解 問71

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問題

介護福祉士国家試験 第28回(平成27年度) 発達と老化の理解 問71 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん(70歳、男性)は、65歳で定年退職した後、学生時代の旧友のほか、地域のボランティアサークルで知り合った新しい仲間と親交を深めてきた。しかし、サークルでトラブルが起きるようになって、1、2年前からはサークルへの参加が徐々に減り、安心できる旧友とばかり頻繁につきあうようになった。Aさん自身はこの生活に満足している。Aさんの生活への適応状況を説明する理論として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 活動理論
  • 離脱理論
  • 社会情動的選択理論
  • 愛着理論
  • 心の理論

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は3です。

1.活動理論というのは、社会的活動を行なうことが老化に対してよい影響を及ぼすという理論です。
わかりやすく言えば、自宅にひきこもっているよりも、人と話したり社会との交流を持ったほうが老化しにくいという理論です。

2.離脱理論とは、老化によって社会的な活動が縮小するのは仕方がなく、受容することでうまく社会に適応することが出来るという理論です。

3.社会情動的選択理論というのは、高齢者は情動的な満足を重視する行動をとりやすく、心理的に安心できる親しい人との関係に時間を費やすことが多いという理論です。

4.愛着理論というのは、母と子の間に見られるような触れあいや愛情の事を言います。

5.心の理論というのは、他者の心を類推し、理解する能力のことを言います。

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02

正解は3です。
高齢者にとっての生きがいや老い方を研究領域とした分野に「サクセスフル・エイジング」というものがあります。また、この分野の中にも細かな理論が分類されています。

1(×)活動理論とは、老化や人生のサイクルによって減少する活動量に伴って、幸福度も低下することから、趣味やこれまでの仕事の経験を生かした活動・参加の機会を持ち、低下した部分を補おうとする考えです。

2(×)離脱理論とは、年齢と共に活動の場が減少することは自然なことであるため、無理に参加・活動の機会を設ける必要はないという考えです。

3(○)社会情動的選択理論は、高齢期に社会への参加・活動を行っている人が、安心できる環境で多くの時間を過ごしたり、親しい人との関係を重視するようになるというもの。老化と共に、情動的な満足を重視するようになるという考えです。

4(×)愛着理論とは、特定の他者との強い結びつきを形成することについて考えられているもので、乳児期や幼児期の子どもと育児者との関係の形成の過程で出てくる理論です。

5(×)心の理論とは、人との関わりの中で自然と身に付く心の読み取り(今これを言うと相手はこう思うだろう。といったこと)のことを言います。発達障害やコミュニケーション障害などで出てくることの多い理論です。

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03

1.誤り。活動理論とは、高齢になっても、ある程度の活動性を持ち、実際に活動を続けることによって、心身に良い影響がもたらされるとする考え方です。

2.誤り。離脱理論とは、高齢になると、若い頃とは異なり、社会からの離脱を避けて通ることができないものの、それを受け止めることは良いことであるとする考え方です。

3.正しい。人間は高齢になると交友関係を選択的に縮め、安心できる人たちとのかかわりに時間を割くことが多くなる傾向があることを指しています。

4.誤り。愛着理論とは、ボウルビィにより確立された理論です。「愛着」は、子どもと母親の間に形成されることが多いものです。子どもは普通、自分に気が付いてもらいたいために、泣いたり笑ったりして母親の気を引く行動を取り、その結果、母親との間に絆を築いていきます。愛着行動は、発言行動・定位行動・能動的身体行動の3つに分けられます。

5.誤り。心の理論については、「サリーとアン」という課題が有名です。他者の感情や欲求を推測するための課題です。

以上により、選択肢3が正解となります。

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04

≪正解は3:社会情動的選択理論≫
1:活動理論…老年期であっても現役であった中年期と変わらず人間関係や社会的関係にうまく適応でき高齢者自身も活動的であることを願いその状況に満足している事です。
他者とのコミュニケーションを深めることができ、社交的であるという点から脳が活性化され刺激となるため老化に対しても良い効果があるとされています。
2:離脱理論…老化に伴い社会からの離脱した方が良いとする考え方の事です。
老化により、高齢者自身も人間関係や社会的関係を避け社会からの離脱を望んでいる為としてされ、これは発達的に避けられない事とされています。
3:社会情動的選択理論…老年期は社会活動が低下する事が多いとされ、その中で高齢者自身が肯定的な感情を得やすい人間関係を選択する事を好むとする考え方です。また、肯定的感情を得にくいとされる(この問の場合は地域ボランティアサークルでのトラブル)人間関係を避ける傾向にあるとされています。
こうした人間関係の選択により高齢者自身も満足感・幸福感を得られるとされています。
4:愛着理論…主に子供が1人の養育者・親に対し愛情を求め、触れたりぐずるなどの気を引く行動をとりまたそれに養育者・親も応える相互関係の事とされています。
アタッチメント(理論)と呼ばれています。
5:心の理論…人が他者の心の状態、目的、意図、知識、信念などを推測する心の機能のことです。

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