介護福祉士の過去問
第34回(令和3年度)
人間関係とコミュニケーション 問3

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問題

介護福祉士国家試験 第34回(令和3年度) 人間関係とコミュニケーション 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

介護福祉職はBさんから、「認知症(dementia)の母の介護がなぜかうまくいかない。深夜に徘徊(はいかい)するので、心身共に疲れてきた」と相談された。介護福祉職は、「落ち込んでいてはダメですよ。元気を出して頑張ってください」とBさんに言った。後日、介護福祉職はBさんに対する自身の発言を振り返り、不適切だったと反省した。
介護福祉職はBさんに対してどのような返答をすればよかったのか、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 「お母さんに施設へ入所してもらうことを検討してはどうですか」
  • 「私も疲れているので、よくわかります」
  • 「認知症(dementia)の方を介護しているご家族は、皆さん疲れていますよ」
  • 「近所の人に助けてもらえるように、私から言っておきます」
  • 「お母さんのために頑張ってきたんですね」

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は5です。

利用者やその家族とのコミュニケーションをする際は傾聴することが必要不可欠です。

傾聴とは、相手を受け入れる(受容)

真摯に話を聞く

相手の立場に立って理解する

この3つが基本の姿勢です。

相手を批判、否定したりせずありのままの気持ちを受け止め

同調することで、信頼関係が生まれ、利用者の尊厳を守り

心身ともに快適に過ごすことができ、スムーズな仕事が行えます。

1→利用者家族の行動を批判され、突き放された気持ちとなり

介護福祉職に対して不信感が生まれ、信頼関係の破綻に繋がるため不適切です。

2、3→相手の立場に立って、悩みを理解し受け入れるという傾聴の基本である

同調がなく、否定的な返答となるため不適切です。

4→近所の人へ協力を求めることで、利用者家族の心身的負担が増えたり

プライバシーの観点から不適切な回答です。

参考になった数29

02

介護福祉職は、被介護者本人だけでなく家族とも良好な関係を形成する必要があります。この問題では、家族とラポールを形成するための適した返答について問われています。

選択肢1. 「お母さんに施設へ入所してもらうことを検討してはどうですか」

施設への入所の検討は話が飛躍しており適切ではありません。今はBさんの「疲れてきた」という言葉を受け止め、ねぎらいの言葉をかけることが大切です。

選択肢2. 「私も疲れているので、よくわかります」

一見すると自己開示し共感的な態度で接しているように見えますが、この返答は適切ではありません。主題が自分の話に置き換わってしまっているため、Bさんは「自分の気持ちをわかってもらえた」とは思えないでしょう。

選択肢3. 「認知症(dementia)の方を介護しているご家族は、皆さん疲れていますよ」

 この返答ではBさんは気持ちを拒絶されたように感じてしまう恐れがあります。Bさんの感情に寄り添う共感的態度をとれていないので、この返答は適切ではありません。

選択肢4. 「近所の人に助けてもらえるように、私から言っておきます」

問題文からは、Bさんやお母さんと近隣住民との関係が助け合える関係かどうかは推測することはできないため、この返答は適切ではありません。助けを求める人物についてはBさんの意向を確認する必要があります。

選択肢5. 「お母さんのために頑張ってきたんですね」

良好な関係を築くには、共感受容の態度で接することが大切です。Bさんのこれまでの介護にかけてきた気持ちを肯定する言葉かけを行い、「なぜかうまくいかない」理由を一緒に解決していこうという姿勢を示すのがよいでしょう。

まとめ

問題文の声かけは励ますつもりで「〜はダメですよ」「〜頑張ってください」という否定と指示・命令になっているのが不適切である要因と考えられます。

対人援助を行う際に信頼関係を形成する効果的な方法として『バイスティックの7原則』があります。これも覚えておくとよいでしょう。

参考になった数16

03

回答5

1. 誤り。BさんとBさんの母の望みがこの時点でははっきりとわかりません。安易に入所を勧めることは適切な言動とは言えないでしょう。また、介護福祉職の立場で入所を勧めるのは望ましくなく、ケアマネジャーにBさんの情報提供し、相談援助の機会につなげる方法がより良い選択肢だと考えます。

2. 誤り。Bさんの気持ちに共感を示したつもりであったかもしれませんが、安易に「気持ちがわかる」という趣旨の発言を行うことは不適切だと考えます。

3. 誤り。Bさんの家族と他の家族の状況が必ずしも同じではなく、「認知症の方を介護している家族」と一括りで考えてしまうのは不適切です。

4. 誤り。Bさん家族の状況を安易に近所の人に状況を話すことは、個人情報保護の観点から考え不適切な行動です。

5. 正答。Bさんの現状を受け入れる態度であり、傾聴の手段として適切だと考えます。

このような状況ではBさんの悩みについて「解決してあげなければ」という思いから助言をしてしまうことが考えられます。安易に解決方法を示唆するのではなく、Bさんの思いを傾聴し、相談援助の専門職へ情報を繋げていくことが望ましい対応だと考えます。

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