介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
障害の理解 問4

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 障害の理解 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

上田敏の障害受容のモデルにおける受容期の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 受傷直後である。
  • 障害の状態を否認する。
  • リハビリテーションによって機能回復に取り組む。
  • 障害のため何もできないと捉える。
  • 障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (4件)

01

障害受容のプロセスは、一般的には、ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期→受容期の段階をたどります。それぞれの過程がどのような心理状態であるかを理解できているかが問われています。

選択肢1. 受傷直後である。

誤答です。これはショック期の説明です。受傷してすぐの段階で、ショックを受けてはいるが『回復するだろう』と、障害が残る可能性を十分に認識できていない最初の段階です。

選択肢2. 障害の状態を否認する。

誤答です。これは否認期の説明です。自身の身体状況に目を向け始め、障害が残るのではと不安になっているが、『自分に障害が残るはずはない』と否認している段階です。

選択肢3. リハビリテーションによって機能回復に取り組む。

誤答です。これは解決への努力期の説明です。前段階の混乱期を経て、『障害があってもできることはある』と前向きな努力をし始める段階です。

選択肢4. 障害のため何もできないと捉える。

誤答です。これは混乱期の説明です。『なぜ自分が』と周囲に攻撃的になったり、悲観したり、抑うつ状態になったり、場合によっては自殺を考えたりすることもあります。障害を告知されたものの受け入れることができずに最も混乱している段階です。

選択肢5. 障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。

正答です。これが受容期の説明です。『障害も自分の一部』と認められるようになり、残された機能の活用も考えていけるようになるなど、障害に適応した最終段階になります。

まとめ

障害受容のプロセスは受容期に向かって一方向に前進していくのではなく、一進一退を繰り返しながら障害に適応していくとされています。

参考になった数30

02

上田久氏は障害の受容の定義について以下のように考えています

「障害の受容とはあきらめでも居直りでもなく、障害に対する価値観(感)の転換であり、障害をもつことが自己の全体としての人間的価値を低下させるものではないことの認識と体得を通じて、恥の意識や劣等感を克服し,積極的な生活態度に転ずることである」

障害受容5段階を以下のように定義しています

1. ショック期 障害を負ったことによるショックはあっても、実感が持てず心は平穏な状態です。

2. 否認期 回復する可能性に過度な期待を寄せ、健常者に対し羨望や嫉妬の目を向ける時期です。

3. 混乱期 障害が治らないことを実感し、自暴自棄になる時期です。

4. 解決への努力期 自分で努力しなければならないことを自覚し、リハビリや治療に前向きになる時期です。

5. 受容期「障害も含めて自分である」ことを認められるようになる時期で、自分の新たな役割や価値観を見出せるようになる事です。

選択肢1. 受傷直後である。

×:受傷直後はショック期の段階に該当します。

選択肢2. 障害の状態を否認する。

×:障がいの状態を否認する事は否認期に該当します。

選択肢3. リハビリテーションによって機能回復に取り組む。

×:リハビリテーションによって機能回復に取り組む時期は、解決への努力期です。

選択肢4. 障害のため何もできないと捉える。

×:障害のため何もできないと捉えるのは、混乱期です。

選択肢5. 障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。

〇:受容期の説明になります。

まとめ

上田敏氏の障害受容のモデル ショック期⇒否認期⇒混乱期⇒解決への努力期⇒受容期

を正確に記憶していれば回答できます。

覚えられなければ「上田 氏(ショック)は 非(否認)婚(混乱)で開(解決)示(受容)した」→上田氏は非婚で開示した

と言い換えの記憶法を使うなど工夫する事で定着しやすいです。参考にしてみてください。

参考になった数9

03

上田敏の障害受容とは、

あきらめでも居直りでもなく、障害に対する価値観の転換であり、

障害をもつことが自己の全体としての人間的に価値を低下させるものではない

ことの認識と体得を通じて、恥の意識や劣等感を克服し、

積極的な生活態度に転じることとしています。

上田敏の障害受容のモデルには、以下の5つの段階があります。

ショック期障害が発生したばかりで、自分自身に何が起こったか、十分に認識できていない段階です。

否認期障害があることを受け入れられず、認めようとしない段階です。

混乱期回復が見込めないことに混乱し、周囲に感情をぶつけることもある段階です。

怒り・抑うつ・悲しみなどが現れます

解決への努力期障害によって生じる生活上の問題を解決するために、自分が努力しなければならないと感じる段階です。

受容期障害を受け入れることが出来、自分の障害を前向きに捉えるようになる段階です。

選択肢1. 受傷直後である。

×:受傷直後は、自分自身に何がおこったか認識できていないショック期です。

選択肢2. 障害の状態を否認する。

×:障害の状態を否認するのは、否認期です。

選択肢3. リハビリテーションによって機能回復に取り組む。

×:リハビリテーションによって機能回復に取り組む段階は、解決への努力期です。

選択肢4. 障害のため何もできないと捉える。

×:障害の為に何もできないと捉える段階は混乱期に該当します。

選択肢5. 障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。

〇:障害を受け入れており、障害に対する価値観を転換し、積極的になるのは受容期です。

正解です。

参考になった数6

04

障害受容には5つの段階があります。

①ショック期→自分自身に何が起こったのか理解できない状態

②否認期→自分の障害から、目を背けて認めようとしない時期

③混乱期→怒り、悲しみ、抑うつなどが現れる時期

④解決への努力期→様々な事をきっかけに、病気や障害に負けずに生きようと努力する時期

⑤受容期→自分の障害を前向きに捉えられるようになる時期

設問の中から受容期に該当するものを選択します。

選択肢1. 受傷直後である。

誤りです。受傷直後の時期は「ショック期」にあたり、自分自身に何が起こったのか理解できない状態です。

選択肢2. 障害の状態を否認する。

誤りです。これは「否認期」に該当します。

選択肢3. リハビリテーションによって機能回復に取り組む。

誤りです。リハビリテーションによって機能回復に取り組むということで、病気や障害に負けずに生きようと努力する時期である「解決への努力期」に該当します。

選択肢4. 障害のため何もできないと捉える。

誤りです。障害のため何もできないと捉えるということで、抑うつ状態にあると考えられます。そのため「混乱期」に該当します。

選択肢5. 障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。

正答です。自分の障害を前向きに捉えられるようになる時期になっており、「受容期」の内容に該当します。

まとめ

障害受容は、障害を直視し、障害に立ち向かい、障害とともに生きることも自己の生き方の一つと受け止め、生活していくことです。

厳密に5つの過程を経験していく訳ではありませんが、心境の変化に気づくことは大切なことです。

参考になった数5