介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
障害の理解 問7

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問題

介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 障害の理解 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん(60歳、男性)は、脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)のため、物をつかもうとすると手が震え、起立時や歩行時に身体がふらつき、ろれつが回らないため発語が不明瞭である。
次のうち、Aさんの現在の症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 運動麻痺(うんどうまひ)
  • 運動失調
  • 関節拘縮
  • 筋萎縮
  • 筋固縮

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この過去問の解説 (4件)

01

脊髄小脳変性症は、難病法(通称)に指定された難病のひとつです。小脳や脊髄に関連した神経回路に病変がみられることで起こります。原因不明の変性疾患の総称です。

選択肢1. 運動麻痺(うんどうまひ)

誤答です。運動麻痺とは、脳や脊髄・末梢神経などの障害で、意のままに筋肉を動かせなくなった状態のことをいいます。『運動麻痺』と『運動失調』の違いはきちんと把握しておくと良いでしょう。

選択肢2. 運動失調

正答です。設問に記された症状は脊髄小脳変性症の主症状です。運動に関わる筋肉を調整する機能が失われ、スムーズに体を動かすことができにくくなること運動失調と呼びます。

選択肢3. 関節拘縮

誤答です。関節拘縮とは、病気や怪我などで関節を動かす機会が減少したことが原因で、関節が硬くなりその動きが制限された状態のことをいいます。

選択肢4. 筋萎縮

誤答です。筋委縮とは、筋線維が細くなり、筋力の低下がみられる状態です。難病に指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の主症状で、運動神経の異常を原因とする病気です。

選択肢5. 筋固縮

誤答です。筋固縮とは、筋肉がこわばり固まっていくことで、力を抜くことができず、動作をスムーズに行うことが難しくなる状態です。難病に指定されているパーキンソン病の四大徴候のひとつです。

まとめ

難病については、他にも、潰瘍性大腸炎全身性エリテマトーデス多系統萎縮症などが挙げられます。その特徴や主症状と共に覚えておくと良いでしょう。

参考になった数40

02

脊髄小脳変性症とは、小脳性の運動失調症候や痙性対麻痺が主な症状です。小脳症状が目立つもの(純粋小脳型)と、小脳以外の病変、症状が目立つもの(多系統障害型)に分けられます。

選択肢1. 運動麻痺(うんどうまひ)

×:脳の大脳皮質からの指令が筋へ伝わる過程で障害されると、

随意運動が正しくできなくなります。

この状態を運動麻痺といいます。

選択肢2. 運動失調

〇:運動失調とは、運動麻痺がないにもかかわらず、筋を協調して動かせないために、

姿勢保持や動作、運動が円滑にできない状態です。小脳の障害でおこります。

選択肢3. 関節拘縮

×:関節拘縮とは、麻痺や廃用などで関節を動かす機会が減り、

関節自体が硬くなり、固まってしまうことで、運動が制限されることをいいます。

選択肢4. 筋萎縮

×:筋委縮とは、筋肉が痩せてだんだん力がなくなっていき、

今まで出来ていたことが出来にくくなるなることをいいます。

選択肢5. 筋固縮

×:筋固縮とは、腕や足などの筋肉が強張って固くなり、

力が抜けず、スムーズに動かすことが難しくなる症状です。

まとめ

運動麻痺と運動失調、筋委縮と筋固縮、拘縮など用語を整理して覚えておくとよいでしょう。

参考になった数12

03

脊髄小脳変性症は、小脳や脊髄の神経細胞が障害されることで生じる病気です。

歩行時のふらつき、手の震え、ろれつが回らないといった症状が現れます。

根本的な治療方法がなく、日本では難病指定を受けている疾患です。

選択肢1. 運動麻痺(うんどうまひ)

誤りです。運動麻痺が生じるのは主に大脳の障害です。

選択肢2. 運動失調

正解です。小脳や脊髄には、体幹や言葉の抑揚に関連する筋力のバランスや歩行の調整を保つ役割があります。小脳と脊髄の障害により、歩行時のふらつき、手の震えといった失調症状が見られます。

選択肢3. 関節拘縮

誤りです。関節拘縮は、関節を動かす機会が減ることで、関節のほか、構成要素である筋肉、靭帯、関節包が固くなり、運動が制限された状態です。脳血管障害、骨折などによる活動量の低下などで生じます。

選択肢4. 筋萎縮

誤りです。筋萎縮は筋肉の繊維が細くなる状態のことです。筋萎縮性側索硬化症(ALS)のほか、加齢や活動量の低下などにより生じることがあります。

選択肢5. 筋固縮

誤りです。筋固縮とは、安静にしている際に四肢・体幹の関節に他動的な運動を加えたときに筋肉の緊張が強くなった状態のことです。パーキンソン病では、歯車様固縮とう状態が起こります。

まとめ

各設問の状態がどのような疾患で起こりやすいのかを覚えておくと良いでしょう。

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04

脊髄小脳変性症の症状の理解に関する問題です。他の神経症状と比べると分かりづらいですが、代表的な症状を覚えると良いでしょう。

選択肢1. 運動麻痺(うんどうまひ)

×:運動麻痺は、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、脳腫瘍、外傷性脳損傷、神経筋疾患など様々な症状で起こり得ます。しかし、脊髄小脳変性症の症状の1つである運動失調とは区別されています。

選択肢2. 運動失調

〇:脊髄小脳変性症では、小脳の神経細胞が徐々に減少することにより、運動失調と呼ばれる症状が現れます。運動失調とは、複数の筋肉をバランスよく協調させて動かすことができなくなることを言います。

選択肢3. 関節拘縮

×:関節拘縮とは、関節を動かす機会が減ることで関節が硬くなり、運動が制限される状態を言います。高齢による筋肉量減少、パーキンソン病に代表される神経疾患などで起こりやすくなります。若い方でも関節を動かさない事で拘縮は起こります。

選択肢4. 筋萎縮

×:筋萎縮とは、筋肉がやせ細ることです。筋萎縮が起こると筋力も低下する事で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経疾患などで起こります。

選択肢5. 筋固縮

×:筋固縮とは、筋肉がこわばり、スムーズに動かすことが難しくなる症状です。パーキンソン病に代表されるドーパミンの欠乏が原因とされています。

まとめ

脊髄小脳変性症は、遺伝性のものと遺伝性でないものに分けられます。脊髄小脳変性症の約1/3の方が遺伝性で、2/3が非遺伝性です。脊髄小脳変性症とは歩行時のふらつきや、手の震え、ろれつが回らない等を症状とする神経の病気です。

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