介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
介護の基本 問4
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問題
介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 介護の基本 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん(85歳、女性、要介護1)は夫と二人暮らしで、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。Aさんは認知症(dementia)の進行によって、理解力の低下がみられる。ある日、Aさんが訪問介護員(ホームヘルパー)に、「受けているサービスをほかのものに変更したい」「夫とは仲が悪いので話したくない」と、不安な様子で話した。
意思決定支援を意識した訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
意思決定支援を意識した訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- Aさんとの話し合いの場に初めから夫に同席してもらった。
- Aさんにサービス変更の決断を急ぐように伝えた。
- Aさんと話す前に相談内容を夫に話した。
- サービスを変更したい理由についてAさんに確認した。
- 訪問介護員(ホームヘルパー)がサービス変更をすることを判断した。
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この過去問の解説 (4件)
01
利用者が自らの意思で自らの方向性を決めるという自己決定は個別援助の原則です。その際に介護福祉職としては『本人の気持ちに寄り添う』そして『現状を客観的に把握する』という二つの視点を持つことが大切です。
誤答です。文中に、夫との不仲を訴えたりそれを不安げな様子で話したりする姿が記されています。まずは、Aさんに安心して真意を話してもらう環境を作ることが大切です。なので、この選択肢は適切ではありません。
誤答です。問題文の内容だけでは、具体的にどのようにサービスを変更したいのか、なぜ変更したいのかといった詳しい内容が不明です。認知症の進行によって、理解力が低下しているという側面もあるので、文中の発言だけで決断を急ぐよう伝えるのは適切ではありません。
誤答です。夫のADLや認知症の有無については、問題では明記されていません。二人暮らしであり、妻に認知症がある以上、サービスの利用やその変更を夫の意向を無視して行うことはできないでしょう。しかし、この状況で最優先すべきは、妻の発言の真意の確認です。
正答です。まずは、Aさんがそのような発言をするのに至った経緯や理由を確認することが必要です。認知症による理解力の低下という状況を踏まえて、それがどのくらい現状に即したものなのかという視点を持ちながらも、Aさんの話をじっくり聞くことから始めるのが良いでしょう。
誤答です。サービス内容の変更は、訪問介護員の一存で決まるものではありません。訪問介護員はチームケアの一員として、利用者の発言内容やその理由をサービス提供責任者に報告し、ケアマネジャーへの報告や担当者会議を経て、サービス内容の変更が行われていきます。
自己決定の原則のひとつに『自己決定能力の有無』が挙げられます。自らの意思で自らの方向性を決めることが自己決定であっても、それが、自身や周囲の人の生命や安全を脅かしたり、不利益をもたらしたりするものであってはいけません。よって、介護福祉職は利用者の発言の真意をよく確認する必要があります。
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02
意思決定支援とは、
判断能力に課題のある人が、自らの価値観や選定に基づいた生活が送れるよう、
その人に関わる支援者から受ける、必要な情報の提供や、本人の意思や考えを引き出すなどの支援をいいます。
×:Aさんは「夫とは仲が悪いので話したくない」と話していますので、
話し合いの場に夫を同席させることは、Aさんの意思に反しています。
選択肢は不適切です。
×:Aさんの意見を聞き、現状のサービスについてどんな不満があるかを聞き出し、
必要であれば他のサービスについての情報を提供し、
Aさんの意思決定を支援することが大切です。
サービス変更の決定を急がせることは不適切です。
×:Aさんは「夫とは仲が悪いので話したくない」と話しています。
Aさんと話す前に夫に相談することは、Aさんの意思に反しています。
選択肢は不適切です。
〇:Aさんがどんな気持ち(考え)で「受けているサービスをほかのものに変更したい」と
言われたのか、傾聴しながら理由を確認することが大切です。
×:サービスの変更は、訪問介護員が判断できるものではありません。
ご本人やご家族の意見を踏まえた上で、ケアマネージャーをはじめ、
ご本人の介護に関わる多職種が参加する担当者会議で決定します。
選択肢は不適切です。
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03
Aさんがなぜ介護サービスを変更したいのか、配慮しながら関わる事を問う内容になっています。実際支援の場面でも、介護職は利用者に対して細かい配慮を心がける必要があります。
×:Aさんが夫とは仲が悪いと言っているくらいのなので、夫が最初から同席すると本心が引き出せない可能性があります。最初、夫は同席しないでAさんだけの思いを聞き取りましょう。
×:サービス変更は本人の同意をもって初めて行います。介護員の一存でサービス変更を急かすのは良くありません。
×:Aさんの思いを飛び越えて、いきなり夫と相談するのは良くありません。Aさんの悩みなので、まずは本人の思いを聞き取りましょう。
〇:まずは、Aさんがなぜサービスを変えたいのか確認します。Aさん自身の思いをしっかり確認しましょう。
×:利用者本位ではないので、訪問介護員がサービスを変更するのを決めるのは良くありません。
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04
認知症の方に対する意思決定支援者の態度としては以下のものを意識することが求められます。
・本人の意思を尊重する態度で接していることが必要
・本人が自らの意思を表明しやすいよう、本人が安心できるような態度で接することが必要
・本人のこれまでの生活史を家族関係を含めて理解することが必要
・支援の際は、丁寧に本人の意思を都度確認する
誤りです。Aさんは「夫とは仲が悪いので話したくない」と不安を示しています。事実関係を確認する必要はあり、初めから同席してしまうとAさんが不安を強く感じたたり、支援者に不信感を抱いてしまったりする可能性も考えられます。生活史や家族関係を理解することが必要です。
誤りです。Aさんが何故サービスの変更を求めているのかを確認してからサービスを変更することが望ましいと考えます。決断を急ぐ必要はありません。本人の意思をしっかりと確認しましょう。
誤りです。Aさんの意思決定を尊重する態度で接することが求められます。Aさんの意思を確認する前に相談内容を夫に話してしまうと、Aさんの意思決定が尊重できなくなることも考えられます。
正解です。まずはAさんが何故サービスを変更したいのかを確認する必要があります。支援の際は本人の意思を丁寧に確認しましよう。
誤りです。サービスの利用に関してはAさんの意思が尊重される必要があります。訪問介護員がサービス変更を決定することは不適切です。
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