介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
総合問題 問1
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問題
介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 総合問題 問1 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで問題に答えなさい。
〔事例〕
Aさん(80歳、女性)は、自宅で一人暮らしをしている。同じ県内に住む娘が、月に一度Aさんの自宅を訪れている。
最近、Aさんの物忘れが多くなってきたため、不安になった娘が、Aさんと一緒に病院を受診したところ、医師から、脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)であると診断された。Aさんはこのまま自宅で暮らすことを希望し、介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしを継続することになった。
ある日、娘からサービス提供責任者に、今年はAさんが一人で雪かきができるか不安であると相談があった。そこで、サービス提供責任者が、Aさんと一緒に地区の民生委員に相談したところ、近所の人たちが雪かきをしてくれることになった。
図は脳を模式的に示したものである。
Aさんの脳に萎縮が顕著にみられる部位として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(80歳、女性)は、自宅で一人暮らしをしている。同じ県内に住む娘が、月に一度Aさんの自宅を訪れている。
最近、Aさんの物忘れが多くなってきたため、不安になった娘が、Aさんと一緒に病院を受診したところ、医師から、脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)であると診断された。Aさんはこのまま自宅で暮らすことを希望し、介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしを継続することになった。
ある日、娘からサービス提供責任者に、今年はAさんが一人で雪かきができるか不安であると相談があった。そこで、サービス提供責任者が、Aさんと一緒に地区の民生委員に相談したところ、近所の人たちが雪かきをしてくれることになった。
図は脳を模式的に示したものである。
Aさんの脳に萎縮が顕著にみられる部位として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- A
- B
- C
- D
- E
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この過去問の解説 (3件)
01
アルツハイマー型認知症の事例問題です。
アルツハイマー型認知症では、記憶の障害が特徴で、海馬と呼ばれる部位が関わっています。
脳の部位が出題されましたので、各選択肢をみていきましょう。
×:Aは前頭葉を指しています。
前頭葉は、注意や集中、やる気や運動に関わります。
×:Bは頭頂葉を指しています。
頭頂葉は、文字や計算、空間の把握に関わります。
×:Cは後頭葉を指しています。
後頭葉は、色や形などの見え方に関わります。
〇:Dは海馬を指しています。
アルツハイマー型認知症では、脳の萎縮がみられますが、
特に海馬の萎縮による記憶低下がみられます。
×:Eは小脳を表しています。
小脳は運動の制御を主な役割としており、運動をスムーズにする働きがあります。
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02
認知症を発症する人の中で、最も多くの割合を占めるのがアルツハイマー型認知症です。その原因や症状・特徴はしっかり覚えておくとよいでしょう。この問題では、脳の部位や役割が理解できているかが問われています。
誤答です。Aは前頭葉です。思考・判断・感情・理性のコントロールや、コミュニケーションなど、高度な分析や判断を司る部位です。
誤答です。Bは頭頂葉です。視覚・聴覚や体性感覚などを統合して認知することで、物体の認識や空間認知を司る部位です。
誤答です。Cは後頭葉です。視覚認知の中枢です。後頭葉を損傷すると、視覚を通して認識できたことが認識できなくなり、触れて初めて認識できるという、視覚失認を生じます。
正答です。Dは海馬です。記憶に関係する部位です。日常の出来事や学習した内容などの新しい情報を、短期記憶としてこの海馬に保存・整理し、長期記憶したい情報を大脳に送り込む役割をしています。
誤答です。Eは小脳です。運動機能の調整を行っています。小脳が損傷されると、バランスを保てなくなる、自分の意思通りに身体を動かせなくなるなどの症状が現れます。
側頭葉は、記憶・聴覚・嗅覚・言語理解などを司る部位です。右側頭葉を損傷すると音や形の記憶に障害が出ることがあります。左側頭葉を損傷すると、言葉の記憶や言語の理解に障害が現れることがあります。
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03
アルツハイマー型認知症は、長い時間をかけて脳にβアミロイドというたんぱく質がたまり、脳の神経細胞の働きが徐々に失われ、脳萎縮する病気です。特に、記憶をつかさどる「海馬」の萎縮が見られ、最終的には脳全体が萎縮していき症状も進行していきます。
一般的には、記憶障害、判断力などの認知能力の低下、感覚や論理的思考の障害、最終的には意思疎通困難、身体機能の低下など、常時介護が必要な状態となります。
不適切
Aは「前頭葉」で、大脳の前方に位置し、運動・言語・感情を司っています。
不適切
Bは「頭頂葉」で、後頭葉の上部、前頭葉の後部に位置し、物体認識や空間認識を司っています。
不適切
Cは「後頭葉」で、頭頂葉の後方に位置し、視覚を司っています。
適切
Dは「海馬」で、側頭葉の内側に位置し、記憶を司っています。ローマ神話に出てくる馬の上半身に魚の尾がついたヒポカンパスという空想動物に、形が似ていることが名前の由来です。記憶のメカニズムとして、「海馬」に一時的に短期記憶され、側頭葉に送られ保存され長期記憶となります。アルツハイマー型認知症では、初期に「海馬」が萎縮するため、記憶障害が顕著に現れます。
不適切
Eは「小脳」で、大脳の尾側に位置し、脳幹の後ろの方から小さなコブのように張り出しており、運動機能を司っています。
脳の部位別の機能について覚えておきましょう。併せて、アルツハイマー認知症や脳血管疾患など脳に関する病気について、欠損部位により現れる症状についても確認しておくと良いでしょう。
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