介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
総合問題 問3
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問題
介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 総合問題 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで問題に答えなさい。
〔事例〕
Aさん(80歳、女性)は、自宅で一人暮らしをしている。同じ県内に住む娘が、月に一度Aさんの自宅を訪れている。
最近、Aさんの物忘れが多くなってきたため、不安になった娘が、Aさんと一緒に病院を受診したところ、医師から、脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)であると診断された。Aさんはこのまま自宅で暮らすことを希望し、介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしを継続することになった。
ある日、娘からサービス提供責任者に、今年はAさんが一人で雪かきができるか不安であると相談があった。そこで、サービス提供責任者が、Aさんと一緒に地区の民生委員に相談したところ、近所の人たちが雪かきをしてくれることになった。
ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんの自宅を訪れ、一包化された薬の服薬状況を確認したところ、残薬があった。Aさんに服薬状況を確認すると、薬を飲んだかどうか、わからなくなることがあるという返答があった。訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんとの会話から、日時に関する見当識に問題はないことを確認した。
Aさんの薬の飲み忘れを防止するための対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(80歳、女性)は、自宅で一人暮らしをしている。同じ県内に住む娘が、月に一度Aさんの自宅を訪れている。
最近、Aさんの物忘れが多くなってきたため、不安になった娘が、Aさんと一緒に病院を受診したところ、医師から、脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)であると診断された。Aさんはこのまま自宅で暮らすことを希望し、介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしを継続することになった。
ある日、娘からサービス提供責任者に、今年はAさんが一人で雪かきができるか不安であると相談があった。そこで、サービス提供責任者が、Aさんと一緒に地区の民生委員に相談したところ、近所の人たちが雪かきをしてくれることになった。
ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんの自宅を訪れ、一包化された薬の服薬状況を確認したところ、残薬があった。Aさんに服薬状況を確認すると、薬を飲んだかどうか、わからなくなることがあるという返答があった。訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんとの会話から、日時に関する見当識に問題はないことを確認した。
Aさんの薬の飲み忘れを防止するための対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 一包化を中止する。
- インフォーマルな社会資源の活用は避ける。
- お薬カレンダーの使用を提案する。
- 一人では薬を服用しないように伝える。
- 薬の飲み忘れに気がついたとき、2回分を服用するように伝える。
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この過去問の解説 (3件)
01
アルツハイマー型認知症の事例検討問題です。
服薬管理に関する問題です。
各選択肢について、適切か不適切か見ていきましょう。
×:残薬があり、Aさんが「薬を飲んだかどうか、わからなくなることがある」ことが問題です。
一包化が問題ではないので、中止するという選択肢は不適切です。
×:今回の問題は、薬の飲み忘れを防止するための対応に関する問題です。
インフォーマルな社会資源の活用については、特に述べられていません。
〇:問題文には、Aさんは、薬を飲んだかどうか、わからなくなることがありますが、日時に関する見当識に問題はないと記載があります。
曜日や時間ごとにお薬をポケットに入れて管理できるお薬カレンダーの使用は有効と考えられます。
×:飲み忘れがあるものの、全く飲めていないわけはありません。
日時に関する見当識に問題がないAさんですから、お薬カレンダーなどの検討が優先されます。
選択肢は不適切です。
×:内服の方法の変更は、身体に影響を及ぼす可能性もありますので、
医師や薬剤師に相談が必要です。
2回分を内服するよう伝えることは、不適切です。
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02
アルツハイマー型認知症のAさんの状態に応じた対応を検討します。Aさんは、日時に関する見当識障害はないが、飲み忘れがあるという状態です。よって、飲み忘れを防ぐ対策を考えます。
不適切
一包化は、複数の錠剤などの薬剤を服用のタイミング別にまとめることです。飲み忘れ、飲み間違い、薬の紛失などのリスクを減らすことができます。
不適切
インフォーマルな社会資源とは、家族や近所の方などによる支援のことです。Aさんの服薬管理を考えた場合、家族(娘)による毎日の服薬確認は現実的には難しく、近所の方の支援については述べられていません。服薬のみならず、インフォーマルな社会資源があれば活用した方が望ましく、活用を避ける必要はありません。
適切
Aさんは、日時に関する見当識は保たれているため、お薬カレンダーの使用は対策の一つとして有効です。お薬カレンダーを使用した上で、娘や訪問介護員の訪問時に、きちんと服薬できているか確認をすると良いでしょう。
不適切
Aさんは、自宅で一人暮らしをされており、また現在もきちんと飲めていることもあります。よって、訪問介護員は毎日の内服を継続できるよう支援を検討すべきです。
不適切
薬の処方や変更は、医師が患者の病気や症状に応じて行います。その用法や用量は指示通りに行わなければなりません。訪問介護員が、薬の飲み方の変更について指示を出すことはあってはなりません。
アルツハイマー型認知症の進行を緩めるために、確実な服薬は大切です。しかし、短期記憶障害を来たし、飲み忘れや飲み過ぎなども予想されます。介護福祉職は、現状をきちんと把握し、利用者の状態に応じた服薬管理方法を検討することが必要です。
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03
介護福祉職の基本的な理念として『自立支援』が挙げられます。利用者がどこまでできるのかを見極め、持っている力を最大限発揮できるよう支援を行います。この問題では、Aさんが自分自身で行える薬の飲み忘れ対策が何であるかが問われています。
誤答です。薬の一包化とは、服用時間が同じ薬や、一回に複数個・複数種類の薬を飲む場合に、薬局でそれらを一袋にしてもらうことです。飲み間違いを防ぐのに有効です。一包化を中止すると、服薬行為がさらに複雑になるので適切ではありません。
誤答です。インフォーマルな社会資源とは、家族や近隣住民など、公的なサービス以外のものを指します。服薬確認を行うことができるインフォーマルな資源としては同居の家族などが挙げられます。実現可能なのであれば、インフォーマル資源の活用を避ける必要はありません。(Aさんの場合は一人暮らしなので現実的ではありません)
正答です。Aさんは、『薬を飲むことそのものを忘れている』訳ではなく『薬を飲んだかどうかがわからなくなってしまう』状態です。Aさんは日時に関する見当識には問題がないので、お薬カレンダーを使用すれば飲み忘れを防止できると考えます。
誤答です。残薬があったということは、薬を飲んでいる時と飲んでいない時があるということです。Aさんは薬を飲むこと自体はできるのですから、その力をうまく活用して薬を飲み忘れないよう支援するのが介護福祉職の役割です。
誤答です。薬はその症状により医師が用法・用量を見極め処方しています。介護福祉職が服用方法を勝手に変更してはいけません。
お薬カレンダーは、曜日や飲む時間(朝・昼・夕・寝る前など)に分かれたポケットがついており、そこに薬をセットすることでひと目で飲む薬がわかるようになっています。飲み忘れや飲み間違いを防ぐのに有効なグッズです。
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