介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
総合問題 問6

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問題

介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 総合問題 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで問題に答えなさい。
〔事例〕
Bさん(75歳、男性、要介護3)は、1年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し、右片麻痺(みぎかたまひ)がある。自宅では、家具や手すりにつかまって、なんとか自力歩行し、外出時は車いすを使用していた。うまく話すことができないこともあるが、他者の話を聞き取って理解することは、問題なくできていて、介護保険サービスを利用しながら、一人で暮らしていた。数か月前から着替えや入浴に介助が必要になり、在宅生活が難しくなったため、1週間前にU介護老人福祉施設に入所した。
入所時の面談でBさんは、自分の力で歩きたいという意思を示した。U介護老人福祉施設では、C介護福祉士をBさんの担当者に選定した。C介護福祉士は、カンファレンス(conference)での意見に基づいて、Bさんが、四点杖(よんてんづえ)を使用して、安全に施設内を歩行できることを短期目標とした介護計画を立案した。

入所から3か月後、C介護福祉士は、Bさんの四点杖歩行(よんてんづえほこう)が安定してきたことを確認して介護計画を見直すことにした。C介護福祉士がBさんに、今後の生活について確認したところ、居室から食堂まで、四点杖(よんてんづえほこう)で一人で歩けるようになりたいと思っていることがわかった。
Bさんの現在の希望に沿って介護計画を見直すときに、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
  • 生活場面の中で歩行する機会を増やす。
  • 評価日は設定しない。
  • ほかの利用者と一緒に実施できる内容にする。
  • 他者との交流を目標にする。
  • 歩行練習を行う時間は、出勤している職員が決めるようにする。

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この過去問の解説 (3件)

01

介護計画に関する問題です。

介護計画は、利用者ごとにどのようなサービスを提供するか、

ケアプランに沿って目標を設定します。

各選択肢について、適切か不適切か考えて回答していきましょう。

選択肢1. 生活場面の中で歩行する機会を増やす。

〇:Bさんは四点杖を利用して、安全に姿勢内を歩行できることを短期目標とした介護計画が立案されています。

また、四点杖歩行が安定し、居室から食堂まで、四点杖(よんてんづえほこう)で一人で歩けるようになりたいと思っていると問題文に記載があります。

四点杖歩行が安定したのですから、介護計画の見直しにおいて、”生活場面の中で歩行する機会を増やす”ことは適切と考えます。

選択肢2. 評価日は設定しない。

×:厚生労働省の介護計画書の様式に評価日の記載欄が設けられており、介護計画の見直しにおいて評価日は必須です。選択肢は不適切です。

選択肢3. ほかの利用者と一緒に実施できる内容にする。

×:介護計画は利用者一人ひとりにあった計画を立案します。

選択肢は不適切です。

選択肢4. 他者との交流を目標にする。

×:他者の話を聞き取って理解することは、問題なくできているBさんです。

今回の問題では、四点杖歩行が安定してきたことについて介護計画の見直しが問われています。

選択肢は不適切です。

選択肢5. 歩行練習を行う時間は、出勤している職員が決めるようにする。

×:担当のC介護福祉士が立案した介護計画です。

C介護福祉士が歩行練習を行う時間を決めることが適切です。

そのため、選択肢は不適切です。

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02

介護計画の見直しは、目標(利用者の希望)を叶えるために行われます。この問題では、目標達成のために状態の変化に合わせた適切なサービス実施内容を考えられるかが問われています。

選択肢1. 生活場面の中で歩行する機会を増やす。

正答です。Bさんが施設内を安全に歩行できるためには、四点杖歩行の仕方を習得する→ふらつかず安全に歩けるようになる→距離を徐々に伸ばしていく、という段階を踏む必要があります。Bさんはすでに安定した歩行を獲得しているので、次は距離を徐々に伸ばしていくのが適切なステップとなります。なので、生活場面で歩行機会を確保するというのが最も適切です。

選択肢2. 評価日は設定しない。

誤答です。介護計画では、目標を達成するために、実施した内容が適切であるのか、サービスの提供によってどう状態が変化したかなどを確認(この過程が評価に当たります)そして、計画を修正し、また実施するという一連を繰り返します。よって評価日を設定しないということはありえません。

選択肢3. ほかの利用者と一緒に実施できる内容にする。

誤答です。この問題では、Bさんの現在の希望である『居室から食堂まで一人で歩けるようになりたい』という目標を叶えるために優先すべきことが問われています。他者との交流を深めることが目標ではありません。

選択肢4. 他者との交流を目標にする。

誤答です。この問題の主題は、安全な移動についてです。他者交流の話をしているわけではありません。

選択肢5. 歩行練習を行う時間は、出勤している職員が決めるようにする。

誤答です。介護計画にはケアの標準化という側面もあります。どの職員が行っても同じ質のケアが提供できなければなりません。よって介護計画は5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を具体的に記します。出勤している職員によって、歩行練習を行う時間がバラバラになってはいけません。

まとめ

介護計画の目標は、

個別的であること

・利用者の自己実現を目指すものであること

・利用者自身がその能力を最大限活かし、自分自身で取り組むことができるものであること

が求められます。

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03

介護計画の見直し・評価(モニタリング)においては、短期目標の達成状況に加え、本人の意向も確認した上で、新たな短期目標を設定します。

選択肢1. 生活場面の中で歩行する機会を増やす。

適切

Bさんの「居室から食堂まで、四点杖で一人で歩けるようになりたい」という意向(目標)に対し、歩行する機会を増やし、歩行能力の向上を図ることは適切です。

選択肢2. 評価日は設定しない。

不適切

介護計画は立案された目標の達成度や内容の実施状況を、定期的に見直しされなければなりません。よって、予め設定された評価日に評価(モニタリング)を実施します。

選択肢3. ほかの利用者と一緒に実施できる内容にする。

不適切

介護計画書は利用者一人一人のアセスメントによる個別性のある計画にすべきです。また、Bさんの「一人で歩ける」という意向にも反しています。

選択肢4. 他者との交流を目標にする。

不適切

Bさんの「居室から食堂まで、四点杖で一人で歩けるようになりたい」という意向(目標)について、他者との交流の有無は関係ありません。

選択肢5. 歩行練習を行う時間は、出勤している職員が決めるようにする。

不適切

介護計画を作成しているのは、C介護福祉士です。歩行練習の時間は、出勤している職員がその都度決めるのではなく、予めC介護福祉士により計画された時間に行います。

まとめ

介護計画は、利用者の意向や生活様式なども把握した上で作成します。また、目標を適切に評価し、計画を循環させることで、利用者への質の高い介護を提供に繋がります。

介護福祉職は、介護過程の全体構成と、各過程における視点を身につけておくと良いでしょう。

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