介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
総合問題 問9
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 総合問題 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで問題に答えなさい。
〔事例〕
Dさん(38歳、男性、障害支援区分3)は、1年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し左片麻痺(ひだりかたまひ)となった。後遺症として左同名半盲、失行もみられる。現在は週3回、居宅介護を利用しながら妻と二人で生活している。
ある日、上着の袖に頭を入れようとしているDさんに介護福祉職が声をかけると、「どうすればよいかわからない」と答えた。普段は妻がDさんの着替えを手伝っている。食事はスプーンを使用して自分で食べるが、左側にある食べ物を残すことがある。Dさんは、「左側が見づらい。動いているものにもすぐに反応ができない」と話した。
最近は、日常生活の中で、少しずつできることが増えてきた。Dさんは、「人と交流する機会を増やしたい。また、簡単な生産活動ができるようなところに行きたい」と介護福祉職に相談した。
介護福祉職は、Dさんに生産活動ができるサービスの利用を提案したいと考えている。
次のうち、Dさんの発言内容に合う障害福祉サービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Dさん(38歳、男性、障害支援区分3)は、1年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し左片麻痺(ひだりかたまひ)となった。後遺症として左同名半盲、失行もみられる。現在は週3回、居宅介護を利用しながら妻と二人で生活している。
ある日、上着の袖に頭を入れようとしているDさんに介護福祉職が声をかけると、「どうすればよいかわからない」と答えた。普段は妻がDさんの着替えを手伝っている。食事はスプーンを使用して自分で食べるが、左側にある食べ物を残すことがある。Dさんは、「左側が見づらい。動いているものにもすぐに反応ができない」と話した。
最近は、日常生活の中で、少しずつできることが増えてきた。Dさんは、「人と交流する機会を増やしたい。また、簡単な生産活動ができるようなところに行きたい」と介護福祉職に相談した。
介護福祉職は、Dさんに生産活動ができるサービスの利用を提案したいと考えている。
次のうち、Dさんの発言内容に合う障害福祉サービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 就労継続支援A型での活動
- 地域活動支援センターの利用
- 療養介護
- 就労定着支援
- 相談支援事業の利用
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
事例問題です。
情報を整理して、Dさんにあう障害福祉サービスを選択します。
各選択肢について、用語を解説します。
【就労継続支援A型】とは、一般企業などでの就職がむずかしい障がいや
難病を抱えている方に、雇用契約に基づく就労場所を提供する目的で定められた制度です。
身体障がいや知的障がい、発達障がいや精神障がい、難病を抱えている方を対象としています。
障害福祉サービスの一環として、雇用契約を結びながら作業(仕事)に従事することができ、その対価として給与をもらうことができます。
【地域活動支援センター】は、地域で生活している身体・精神・知的障がいを抱える人に、さまざまな活動を通じて地域交流の機会を提供する施設です。
手芸品の制作や販売、公園の掃除などの環境美化活動、レクリエーションやパソコン教室をはじめとした就労支援などさまざまな活動があります。
【療養介護】とは、病院に入院している方のうち、常に介護を必要とする方に対して、主に昼間に病院で行われる機能訓練、療育上の管理、看護、医学的管理の下における介護および日常生活上の相談や支援を提供する医療、福祉サービスです。
【就労定着支援】とは、障がい者が働く際に生じる生活面の問題を解決するためにおこなう指導や助言などの支援です。利用期間は3年で、就労定着支援事業所で利用できます。
【相談支援事業】とは、障がいのある方やその家族から相談を受けて、福祉サービスを受けるための手続きを行ったり、様々な福祉サービスの情報を提供したり、助言を行ったりする障がい福祉サービス事業です。
相談支援事業には、一般相談支援、特定相談支援、障がい児相談支援の3つの種類があります。
×:問題文では、Dさんは「人と交流する機会を増やしたい。また、簡単な生産活動ができるようなところに行きたい」と介護福祉職に相談しました。
就労継続支援A型は、雇用契約に基づく就労が可能な人に働き場所を提供する目的で定められた制度ですので、最も適切とは言えません。
〇:「人と交流する機会を増やしたい。また、簡単な生産活動ができるようなところに行きたい」というDさんの希望には、地域活動支援センターが適しています。
地域活動支援センターは、地域で生活している身体・精神・知的障がいを抱える人に、さまざまな活動を通じて地域交流の機会を提供する施設です。
×:療養介護は、病院に入院している方で、常に介護を必要とする方に対して、介護および日常生活上の相談や支援を提供する医療、福祉サービスです。
Dさんは、入院していませんので、不適切です。
×:就労定着支援とは、障がい者が働く際に生じる生活面の問題を解決するためにおこなう指導や助言などの支援です。
設問は、Dさんに生産活動ができるサービスの利用を提案したいとありますので、不適切です。
×:相談支援事業とは、障がいのある方やその家族から相談を受けて、福祉サービスを受けるための手続きを行ったり、様々な福祉サービスの情報を提供したり、助言を行ったりする障がい福祉サービス事業です。
設問は、Dさんに生産活動ができるサービスの利用を提案したいとありますので、不適切です。
参考になった数33
この解説の修正を提案する
02
この問題では、各障害福祉サービスの内容を理解しているか、また、それらのサービスを利用者に合わせ適切に選択できるかが問われています。Dさんの希望は『人と交流する機会を増やしたい』『簡単な生産活動ができるところに行きたい』という2点です。
誤答です。就労継続支援A型とは、通常の企業などに雇用されるのが困難な障害を持つ人を対象とし、生産活動機会の提供や、就労に必要な知識や能力向上のための訓練などを行う障害福祉サービスです。Dさんは雇用契約を結んでの就労や、就労のための訓練を希望しているわけではないので、この選択肢は適切ではありません。
正答です。地域活動支援センターとは、市町村地域生活支援事業の一つで、障害者などを対象とした、創作活動や生産活動の機会の提供、社会との交流を促進するための施設です。よって、Dさんの2点の希望を叶えるためのサービスとして最も適切です。
誤答です。療養介護とは、医療を必要とする障害者で常時介護が必要とする人を対象とした障害福祉サービスです。病院などの医療機関に入院している人に対し、機能訓練・療養上の管理、日常生活上の介助などを行います。Dさんの希望には合致しません。
誤答です。就労定着支援とは、通常の事業所に新たに就職した障害者を対象とした、就職後のサポートを目的とする障害福祉サービスです。対象者が継続して働き続けるために雇用主や障害福祉サービス事業所などと連絡調整を行ったり、アドバイスなどを行います。Dさんの状況には合致しません。
誤答です。相談支援事業とは、市町村地域生活支援事業の一つで、障害を持つ人の置かれている状況や悩みに応じて、情報提供や助言・障害福祉サービス利用への支援、各機関との連絡調整などを行います。居宅介護を利用しているDさんはすでに相談支援事業を利用してるので、適切ではありません。
障害者総合支援法において、障害福祉サービスとは、介護給付と訓練等給付を合わせたものをいいます。
(介護給付)
訪問系…居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援
日中活動系…短期入所・療養介護・生活介護
施設系…施設入所支援
(訓練等給付)
居住支援系…自立生活援助・共同生活援助
訓練系・就労系…自立支援(機能訓練・生活訓練)・就労移行支援・就労継支援(A型・B型)・就労定着支援
似たような言葉を混同してしまったり、介護保険下の介護給付サービスの名称や内容と間違えて覚えてしまったりしやすいので、そのサービス内容も含めてよく覚えておくとよいでしょう。
参考になった数7
この解説の修正を提案する
03
障害支援区分を受けている場合に利用できるサービス内容についての知識を問われています。
不適切
就労継続支援A型とは、雇用契約を結び、一定の支援がある職場で、4時間~6時間程度就労する障害福祉サービスです。障害をもち一般企業での就労困難な方が対象となります。Dさんの希望は「他者との交流」と「簡単な生産活動」であり、就労希望ではありません。
適切
地域活動支援センターには、支援内容は様々で、基本的には障害のある方のサポートをしている施設のことを言います。 地域交流や創作活動の場の提供、各種相談受付などを提供しています。Dさんの希望は「他者との交流」と「簡単な生産活動」であり、Dさんの希望に合致します。
不適切
療養介護とは、病院への長期入院による医療的ケアに加え、常時介護を必要とする障害者に対する障害福祉サービスです。
療養介護の対象者は以下のように定められています。
① 筋萎縮性側索硬化症(ALS)等により、気管切開を伴う人工呼吸器による呼吸管理を行っている者であって、障害支援区分が区分6
② 筋ジストロフィー患者又は重症心身障害者※であって、障害支援区分が区分5以上
③重症心身障害者(肢体不自由1・2級の身体障害者手帳及びA判定の療育手帳を所持している者)
Dさんは障害支援区分3、状態としても対象外です。
不適切
就労定着支援とは、一般企業で働いている又は働く予定のある障害のある方が、長く働き続けられるようにサポートする障害福祉サービスです。就労定着支援員が、就労先でのトラブルなどを、障害者本人と企業の間に入り、相談や助言などを行います。
不適切
相談支援事業とは、障がいのある方やその家族からの相談を受け、障害福祉サービスを利用するための調整を行います。また、関連する必要な情報を提供したり、助言もサービスに含まれています。必要時には、行政や、障がい福祉サービス事業所、病院などとも連携を図り、障害者を支援します。
障害者総合支援法における障害福祉サービスについては、種類とそれぞれの対象者や提供されるサービスの内容について整理して覚えておきましょう。
参考になった数5
この解説の修正を提案する
前の問題(問8)へ
第35回(令和4年度)問題一覧
次の問題(問10)へ