介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
総合問題 問10

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問題

介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 総合問題 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
Eさん(35歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)があり、V障害者支援施設の生活介護と施設入所支援を利用している。Eさんは、毎日のスケジュールを決め、規則や時間を守ってプログラムに参加しているが、周りの人や物事に関心が向かず、予定外の行動や集団行動はとりづらい。コミュニケーションは、話すよりも絵や文字を示したほうが伝わりやすい。
Eさんが利用するV障害者支援施設では、就労継続支援事業も行っている。災害が起こったときに様々な配慮が必要な利用者がいるため、施設として防災対策に力を入れている。また、通所している利用者も多いので、V障害者支援施設は市の福祉避難所として指定を受けている。

Eさんのストレングス(strength)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 行動力があり、すぐに動く。
  • 自分で決めたことを継続する。
  • 新しいことを思いつく。
  • コミュニケーション力が高い。
  • いろいろなことに興味がもてる。

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この過去問の解説 (3件)

01

自閉症スペクトラムに関する問題です。

自閉症スペクトラムの特徴は、

対人関係社会性の障害言語コミュニケーションの障害強いこだわり

と言われています。

ストレングスとは、対人援助の視点の一つです。

できないことに着目するのではなく、

できることに強み(ストレングス)を見出す視点をいいます。

選択肢1. 行動力があり、すぐに動く。

×:問題文中にEさんは予定外の行動や集団行動はとりづらいと記載されています。

選択肢は不適切です。

選択肢2. 自分で決めたことを継続する。

〇:Eさんは毎日のスケジュールを決め、

規則や時間を守ってプログラムに参加していると問題文に記載があります。

視点をかえると、自分で決めたことは継続できると読み取れます。

選択肢は適切です。

選択肢3. 新しいことを思いつく。

×:Eさんは、予定外の行動や集団行動はとりづらいと記載があります。

選択肢は不適切です。

選択肢4. コミュニケーション力が高い。

×:Eさんは、周りの人や物事に関心が向かず、ミュニケーションは、話すよりも絵や文字を示したほうが伝わりやすいと問題文に記載があります。

コミュニケーション能力が高いとは言えません。

選択肢は不適切です。

選択肢5. いろいろなことに興味がもてる。

×:周りの人や物事に関心が向かず、予定外の行動や集団行動はとりづらいと記載があります。

いろいろなことに興味がもてるとは言えません。

選択肢は不適切です。

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02

ストレングスとは、『強み』や『長所』を意味します。その人が潜在的に持っている能力や意欲・積極性などを指します。身体面での治癒力や残存機能なども含まれます。この問題では、問題文の中からEさんの『強み』を読み解くことが求められています。

選択肢1. 行動力があり、すぐに動く。

誤答です。問題文では、Eさんの様子を『予定外の行動や集団行動はとりづらい』と記しています。よって、この選択肢はEさんのストレングスとはいえません。

選択肢2. 自分で決めたことを継続する。

正答です。問題文では、Eさんの様子を『毎日のスケジュールを決め、規則や時間を守ってプログラムに参加している』と記しています。自分で決めたことを忠実に継続するEさんの行動をストレングスとして着目するこの選択肢が適切です。

選択肢3. 新しいことを思いつく。

誤答です。問題文の中には、Eさんの創造性の高さをうかがわせる表現はありません。よってこの選択肢は適切ではありません。

選択肢4. コミュニケーション力が高い。

誤答です。問題文では、Eさんの様子を『周りの人や物事に関心が向かず』『コミュニケーションは、話すよりも絵や文字を示した方が伝わりやすい』と記しています。よって、この選択肢はEさんのストレングスとはいえません。

選択肢5. いろいろなことに興味がもてる。

誤答です。問題文では、Eさんの様子を『周りの人や物事に関心が向かず』と記しています。よって、この選択肢はEさんのストレングスとはいえません。

まとめ

自閉症スペクトラム障害とは、発達障害のひとつです。脳機能の障害によってもたらされ、通常低年齢の時に症状が現れます

・人に関する関心が弱い

・他者とのコミュニケーションや対人関係を築くことが苦手

・こだわりが強く、限定された反復行動・興味・活動を行う

などの特徴があります。

主な発達障害には他に、学習障害(LD)注意欠陥多動障害(ADHD)があります。合わせて覚えておくとよいでしょう。

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03

福祉領域での「ストレングス」とは、支援対象者自身が持っている能力・意欲・希望などの「強さ(強み)」のことを指します。

選択肢1. 行動力があり、すぐに動く。

不適切

Eさんは、予定外の行動は取りづらく、スケジュールに沿ったプログラムに参加をしている状態です。行動力があるとは言い難いです。

選択肢2. 自分で決めたことを継続する。

適切

規則や時間を守りプログラムに参加しています。自分で決めたこと、ルールに沿った行動を継続することは、Eさんのストレングスと言えます。

選択肢3. 新しいことを思いつく。

不適切

新しいことを思いつくことに関する記述はありません。

選択肢4. コミュニケーション力が高い。

不適切

記述内容より、言葉でのコミュニケーションが十分ではないことが読み取れます。よって、コミュニケ―ション力が高いとは言えません。

選択肢5. いろいろなことに興味がもてる。

不適切

周りの人や物事に関心がないとの記述があります。いろいろなことに興味が持てるとは言えません。

まとめ

障害や疾病により介護や支援が必要であっても、その人らしい人生を送れるよう、支援対象者自身の「ストレングス」に着目し、それを活かせるような関わりや支援が大切です。

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