介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
総合問題 問11

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問題

介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 総合問題 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
Eさん(35歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)があり、V障害者支援施設の生活介護と施設入所支援を利用している。Eさんは、毎日のスケジュールを決め、規則や時間を守ってプログラムに参加しているが、周りの人や物事に関心が向かず、予定外の行動や集団行動はとりづらい。コミュニケーションは、話すよりも絵や文字を示したほうが伝わりやすい。
Eさんが利用するV障害者支援施設では、就労継続支援事業も行っている。災害が起こったときに様々な配慮が必要な利用者がいるため、施設として防災対策に力を入れている。また、通所している利用者も多いので、V障害者支援施設は市の福祉避難所として指定を受けている。

V障害者支援施設では定期的に災害に備えた避難訓練を行っている。
Eさんの特性を考慮して実施する避難訓練に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 災害時に使用する意思伝達のイラストを用意する。
  • 避難生活を想定して、食事等の日課を集団で行えるようにする。
  • 予告せずに避難訓練を行う。
  • Eさんの避難訓練は単独で行う。
  • 避難を援助する人によってEさんへの対応を変える。

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この過去問の解説 (3件)

01

自閉症スペクトラム障害の事例検討問題です。

問題文からEさんの特徴を整理します。

毎日のスケジュールを決め、規則や時間を守ってプログラムに参加している

周りの人や物事に関心が向かず、予定外の行動や集団行動はとりづらい

コミュニケーションは、話すよりも絵や文字を示したほうが伝わりやすい

上記、Eさんの特徴と選択肢を照らし合わせて回答していきます。

選択肢1. 災害時に使用する意思伝達のイラストを用意する。

〇:Eさんはコミュニケーションは、話すよりも絵や文字を示したほうが伝わりやすいと記載

があります。

選択肢の通り、災害時などの非常時の意思伝達にはイラストが適切と考えられます。

選択肢2. 避難生活を想定して、食事等の日課を集団で行えるようにする。

×:問題文にEさんは集団行動はとりづらいという記載があります。

そのため、選択肢は不適切です。

選択肢3. 予告せずに避難訓練を行う。

×:Eさんは予定外の行動はとりづらいという特徴があります。

予告せずに避難訓練行うことは不適切です。

選択肢4. Eさんの避難訓練は単独で行う。

×:V障害者支援施設は、通所している利用者も多く、

市の福祉避難所として指定を受けていると問題文に記載があります。

単独で避難していては、有事の時に対応できないことが予想されます。

そのため、選択肢は不適切です。

選択肢5. 避難を援助する人によってEさんへの対応を変える。

×:Eさんは規則や時間を守ってプログラムに参加しており、

予定外の行動や集団行動はとりづらい特徴があります。

避難を援助する人によってEさんへの対応を変えることは不適切です。

援助する人は、決まった対応をとることが適切です。

参考になった数8

02

Eさんは自閉症スペクトラム障害であり、さまざまな特性を持ち合わせています。問題文の中からその特性を把握し、Eさんに適した避難訓練の工夫を選ぶ問題です。

選択肢1. 災害時に使用する意思伝達のイラストを用意する。

正答です。普段から話すよりも絵や文字を示した方が伝わりやすいEさんには、予定外の行動をとらなくてはならない災害時にも意思伝達しやすいよう、イラストを用意するのが最も適切です。

選択肢2. 避難生活を想定して、食事等の日課を集団で行えるようにする。

誤答です。問題文には、Eさんは集団行動をとりづらいと記されています。よってこの選択肢は適切ではありません。

選択肢3. 予告せずに避難訓練を行う。

誤答です。予定外の行動はとりづらいEさんに、予告せずに避難訓練を実施すると、混乱させてしまう恐れがあります。この選択肢は適切ではありません。

選択肢4. Eさんの避難訓練は単独で行う。

誤答です。Eさんには、集団行動がとりにくいという特性があります。しかし、さまざまな配慮を必要とする多くの利用者の安全を確保するためには、単独での避難訓練では命を守れないでしょう。よってこの選択肢は適切ではありません。

選択肢5. 避難を援助する人によってEさんへの対応を変える。

誤答です。援助者によって態度を変えてしまうと、予定外の行動が苦手なEさんは余計に混乱してしまうでしょう。よってこの選択肢は適切ではありません。

まとめ

障害者支援施設とは、介護や援助が必要で、自宅で生活することが難しい障害者を対象とした入所施設です。日常生活の介護や生活に関する相談助言などの他に、社会経済活動への参加を促進するための就労移行支援事業や就労継続支援事業なども行います。

参考になった数4

03

自閉症スペクトラム障害は、発達障害の一つで、「対人関係が苦手」「強いこだわりを持つ」という特性があります。生まれつき脳機能に異常が見られることが原因と考えられています。

選択肢1. 災害時に使用する意思伝達のイラストを用意する。

適切

Eさんは「コミュニケーションは、話すよりも絵や文字を示した方が伝わりやすい」と記述があります。イラストで意思伝達を取りやすくすることは適切な対応です。

選択肢2. 避難生活を想定して、食事等の日課を集団で行えるようにする。

不適切

Eさんは「集団行動はとりづらい」と記述があります。自閉症スペクトラム障害の特性に、対人関係を調整することが苦手であることが挙げられます。

選択肢3. 予告せずに避難訓練を行う。

不適切

Eさんは「予定外の行動をとりづらい」と記述があります。自閉症スペクトラム障害の特性に、臨機応変な対応が難しいことが挙げられます。

選択肢4. Eさんの避難訓練は単独で行う。

不適切

障害者支援施設とは、介護や援助が必要で、在宅生活が難しい障害者を対象とした入所施設です。日中は、施設内や関連施設で、生活介護や自立訓練を行います。施設での災害に遭うことを想定しての避難訓練であり、単独訓練することは誤りです。

選択肢5. 避難を援助する人によってEさんへの対応を変える。

不適切

Eさんは「予定外の行動や集団行動はとりづらい」と記述があります。対応をその都度変えることは、混乱を招く恐れがあります。

まとめ

自閉症スペクトラム障害の方(子)は、その特性を周囲より理解して貰えないこともあり、身体的にも精神的にもストレスがかかっている場合も少なくありません。一人一人の特性を理解し「個性」と捉え、生活上の生きづらさを軽減できるよう、支援していくことが大切です。

参考になった数1