介護福祉士 過去問
第36回(令和5年度)
問64 (介護の基本 問1)

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問題

介護福祉士国家試験 第36回(令和5年度) 問64(介護の基本 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

介護を取り巻く状況に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ダブルケアとは、夫婦が助け合って子育てをすることである。
  • 要介護・要支援の認定者数は、介護保険制度の導入時から年々減少している。
  • 家族介護を支えていた家制度は、地域包括ケアシステムによって廃止された。
  • 要介護・要支援の認定者のいる三世代世帯の構成割合は、介護保険制度の導入時から年々増加している。
  • 家族が担っていた介護の役割は、家族機能の低下によって社会で代替する必要が生じた。

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この過去問の解説 (3件)

01

高齢者の介護を取り巻く環境の現状と動向を中心に幅広い認識、知識が必要な問題です。

家族構成や構成割合については、国民生活基礎調査のデータをベースにどのように変化してきているのか、その変化に環境や制度がどのように変化してきたのかを覚えておいた方がいいでしょう。

選択肢1. ダブルケアとは、夫婦が助け合って子育てをすることである。

不適切です。

ダブルケアとは育児と親や親族の介護が同時期に発生する状態のことです。

選択肢2. 要介護・要支援の認定者数は、介護保険制度の導入時から年々減少している。

不適切です。

要介護・要支援ともに、年々増加しています。

選択肢3. 家族介護を支えていた家制度は、地域包括ケアシステムによって廃止された。

不適切です。

家制度とは、明治民法に定められた家族制度で、戸主が絶対的な権利をもって統率する=「家を相続する戸主が親と一緒に住み、妻が介護を行う」という仕組みです。

1947年の日本国憲法の施行で女性の参政権が認められ、それに合わせて行われた民法の改正にて家制度は廃止されました。

選択肢4. 要介護・要支援の認定者のいる三世代世帯の構成割合は、介護保険制度の導入時から年々増加している。

不適切です。

高齢化の進行により65歳以上の者がいる世帯の状況は、三世代世帯が大きく減少し、単独世帯、夫婦のみの世帯などが増加しています。

選択肢5. 家族が担っていた介護の役割は、家族機能の低下によって社会で代替する必要が生じた。

適切です。

核家族が増え、急速な少子高齢化が進む中、家族だけで介護をすることが限界になり、介護を必要とする高齢者を社会全体で支えていくための「介護の社会化」が求められるようになりました。

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02

介護の基本の問題は、制度や社会状況の変化など知っておくべきことは広く多い範囲です。

単語や制度など間違えて頭に入ってしまわないように気をつけましょう。

選択肢1. ダブルケアとは、夫婦が助け合って子育てをすることである。

不正解です。

ダブルケアは子育てと介護が同時期に行われる状況をいいます。

選択肢2. 要介護・要支援の認定者数は、介護保険制度の導入時から年々減少している。

不正解です。

介護保険制度は2000年に創設されましたが、導入後も要介護・要支援の認定者数は増加しています。

選択肢3. 家族介護を支えていた家制度は、地域包括ケアシステムによって廃止された。

不正解です。

家制度は戸主(家長)が家を統率する者とする制度で明治時代1898年に施行されましたが、戦後1947年の民法改正によって廃止されました。

選択肢4. 要介護・要支援の認定者のいる三世代世帯の構成割合は、介護保険制度の導入時から年々増加している。

不正解です。

要介護・要支援者のいる三世代世帯は、2000年の介護保険制度導入後から年々減少しています。

選択肢5. 家族が担っていた介護の役割は、家族機能の低下によって社会で代替する必要が生じた。

正解です。

家族機能は核家族化の進行と単身世帯、高齢者のみの世帯が増えたことなどの要因から低下しており、それに伴い社会が介護の役割を担う必要が生じてきました。

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03

少子高齢化、核家族化、晩婚化などで、社会状況は大きく変化してきています。

それに伴い、社会的介護の重要性が増し、多くの新しいシステムが生まれています。

時事問題的に出題されることも多いです。

 

選択肢1. ダブルケアとは、夫婦が助け合って子育てをすることである。

間違いです。

 

ダブルケアは、育児と介護を同時に担うことです。

選択肢2. 要介護・要支援の認定者数は、介護保険制度の導入時から年々減少している。

間違いです。

 

要介護・要支援の認定者数は

・平成12年(2000年)の介護保険導入時で約218万人

・令和5年(2023年)現在で約718万人

となっていて、年々増加しています。

選択肢3. 家族介護を支えていた家制度は、地域包括ケアシステムによって廃止された。

間違いです。

 

 

明治期に創設された家制度は

昭和22年(1947年)に、日本国憲法の成立と同時に廃止されています。

しかし、その名残で介護は家族で担われてきましたが、

 

平成12年(2000年)の介護保険の導入で

介護を社会でも担うことがスタートし、その後、

 

平成26年(2014年)の医療介護総合確保推進法が施行され、

地域包括ケアシステムが推進されました。

 

地域包括ケアシステムの事業の一つに『家族介護支援事業』があり、

家族介護をさせていくための施策が練られています。

 

尚、厚生労働省によると、地域包括ケアシステムとは

『重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で

自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、

住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される』

としています。

 

 

選択肢4. 要介護・要支援の認定者のいる三世代世帯の構成割合は、介護保険制度の導入時から年々増加している。

間違いです。

 

内閣府『2023(令和5年)年国民生活基礎調査』によると

三世代世帯数は

・2001年(平成13年):約4,844,000世帯(全体の10.6%)

・2023年(令和05年):約2,050,000世帯(全体の3.8%)

と、年々減少しています。

 

選択肢5. 家族が担っていた介護の役割は、家族機能の低下によって社会で代替する必要が生じた。

正解です。

 

介護は家族で担ってきましたが、昭和後期からの

独居高齢者の増加、核家化などの社会状況の変化により、

家族介護力の低下が顕著になり、社会的介護の必要性が増してきました。

 

まとめ

少子高齢化が進んでいる。1世帯の構成人数が減っている。

などの、基本的な社会構造を理解していれば、正答できる問題です。

 

日ごろから、社会の動きに注目しておきましょう。

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