介護福祉士の過去問
第36回(令和5年度)
介護過程 問6

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問題

介護福祉士国家試験 第36回(令和5年度) 介護過程 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
Bさん(50歳、男性、障害支援区分3)は、49歳のときに脳梗塞(cerebral infarction)を発症し、左片麻痺(ひだりかたまひ)で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)と診断された。以前は大工で、手先が器用だったと言っている。
現在は就労継続支援B型事業所に通っている。
短期目標を、「右手を使い、作業を自分ひとりで行える(3か月)」と設定し、製品を箱に入れる単純作業を任されていた。ほかの利用者との人間関係も良好で、左片麻痺に合わせた作業台で、毎日の作業目標を達成していた。生活支援員には、「将来は手先を使う仕事に就きたい」と希望を話していた。
将来に向けて、生活支援員が新たに製品の組立て作業を提案すると、Bさんも喜んで受け入れた。
初日に、「ひとりで頑張る」と始めたが、途中で何度も手が止まり、完成品に不備が見られた。生活支援員が声をかけると、「こんなの、できない」と大声を出した。

生活支援員の声かけに対し、Bさんが大声を出した理由を解釈する視点として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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この過去問の解説 (2件)

01

高次脳機能障害の症状の一つに、「感情や欲求のコントロールがきかず、些細なことで腹を立てたり、涙もろくなったりする」というものがあります。

今回のケースにおいて、新しい作業を任されたBさんは、やる気を持ち取り組んでいたが、不備があったことに対するショックからパニック状態になってしまい、感情がコントロールできなかったのではと考えられます。

選択肢1. ほかの利用者との人間関係

×:Bさんの大声の要因は生活支援員と自分自身にあると考えられるので、適切ではありません。

選択肢2. 生活支援員に話した将来の希望

×:パニックに陥った要因に前向きに取り組む姿勢があったかもしれませんが、最重要事項ではないため適切ではありません。

選択肢3. 製品を箱に入れる毎日の作業量

×:作業量ではなく、作業に不備があったことが考えられるため適切ではありません。

選択肢4. 製品の組立て作業の状況

〇:Bさんの大声は、熱心に作業していたにも関わらず不備があったことに対する反応と考えられるため、こちらが適切です。

選択肢5. 左片麻痺(ひだりかたまひ)に合わせた作業台

×:作業のしやすさなどは、今回の問いとは関係がないため適切ではありません。

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02

Bさんは高次脳機能障害と診断されており、新たに製品の組立て作業の初日に「こんなの、できない」という発言をしたことから、環境や作業が変わったことで混乱してしまった可能性が考えられます。

 

高次脳機能障害の主な症状は以下になります

◆記憶障害・・・新しいことを覚えることができない

◆注意障害・・・集中力が保てず、2つ以上の事をすると混乱する

◆遂行機能障害・・・状況に応じた判断ができない

◆社会的行動障害・・・感情のコントロールができない

◆半側空間無視・・・損傷した脳の反対側のものを認識できない

◆失語・失行・失認・・・言葉の理解ができない、思うような動作ができない、見聞きしたことが理解できない

 

選択肢1. ほかの利用者との人間関係

不正解です。

ほかの利用者との人間関係は良好という情報があり、悪化したという情報もないため不適切です。

選択肢2. 生活支援員に話した将来の希望

不正解です。

「将来は手先を使う仕事に就きたい」と希望を話していましたが、将来的な希望が大声を出す直接的な要因ではありません。

選択肢3. 製品を箱に入れる毎日の作業量

不正解です。

製品を箱に入れる単純作業は、毎日の作業目標を達成していたため、「こんなの、できない」と大声をだす要因とは考えられません。

選択肢4. 製品の組立て作業の状況

正解です。

毎日の作業が変わったことが要因で、何度も手が止まり、完成品に不備が見られたことが大声を出した理由と考えられます。

選択肢5. 左片麻痺(ひだりかたまひ)に合わせた作業台

不正解です。

「左片麻痺に合わせた作業台で、毎日の作業目標を達成していた」という情報から、作業台が大声を出した理由とは考えられません。

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