介護福祉士の過去問
第36回(令和5年度)
介護過程 問5

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問題

介護福祉士国家試験 第36回(令和5年度) 介護過程 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
Aさん(75歳、女性)は、一人暮らしで、身体機能に問題はない。70歳まで地域の子どもたちに大正琴を教えていた。認知症(dementia)の進行が疑われて、心配した友人が地域包括支援センターに相談した結果、Aさんは介護老人福祉施設に入所することになった。入所時のAさんの要介護度は3であった。
入所後、短期目標を、「施設に慣れ、安心して生活する(3か月)」と設定し、計画は順調に進んでいた。Aさんは施設の大正琴クラブに自ら進んで参加し、演奏したり、ほかの利用者に大正琴を笑顔で教えたりしていた。
ある日、クラブの終了後に、Aさんは部屋に戻らずに、エレベーターの前で立ち止まっていた。介護職員が声をかけると、Aさんが、「あの子たちが待っているの」と強い口調で言った。

Aさんの状況から支援を見直すことになった。
次の記述のうち、新たな支援の方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 介護職員との関係を改善する。
  • 身体機能を改善する。
  • 演奏できる自信を取り戻す。
  • エレベーターの前に座れる環境を整える。
  • 大正琴を教える役割をもつ。

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この過去問の解説 (2件)

01

介護老人福祉施設に入所したことにより、環境の変化に伴いAさんの認知症に影響が出てしまったと考えられます。

そのため、「あの子たちが待っているの」という発言では、Aさんが元気な時に地域の子どもたちに大正琴を教えていた【過去】と【現在】が混同してしまっている可能性があります。

今回の問いにおいては、【施設の大正琴クラブでの演奏】というAさんの役割について見直す必要があります。

 

選択肢1. 介護職員との関係を改善する。

×:「あの子たちが待っているの」という発言との関係性がないため、適切ではありません。

選択肢2. 身体機能を改善する。

×:適切ではありません。

選択肢3. 演奏できる自信を取り戻す。

×:Aさんは自信を失っていたわけではなく、過去の記憶と混同してしまっているだけなので、適切ではありません。

選択肢4. エレベーターの前に座れる環境を整える。

×:問題の解決にはならないので、適切ではありません。

選択肢5. 大正琴を教える役割をもつ。

〇:大正琴クラブにおいても、Aさんが何らかの役割を持つことによって過去のフラッシュバッグが和らぐ可能性があります。

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02

Aさんが部屋に戻らず、「あの子たちが待っているの」と強い口調で言ったことは、認知症の進行と繋ぎ合わせて考えることができ、認知症の悪化を防ぐための支援が必要と思われます。

70歳まで地域の子どもたちに大正琴を教えており、身体機能に問題の無いという情報から、過去を思い出したり役割を持つことで認知機能を刺激する支援を選択肢から選びだしましょう。

選択肢1. 介護職員との関係を改善する。

不正解です。

介護職員との関係が悪化している状態ではないため不適切です。

選択肢2. 身体機能を改善する。

不正解です。

身体機能の低下は見られていないため不適切です。

選択肢3. 演奏できる自信を取り戻す。

不正解です。

演奏ができなくなったという情報はないため不適切です。

選択肢4. エレベーターの前に座れる環境を整える。

不正解です。

エレベーターの前で立ち止まっていたのは、過去を思い出し焦りや不安を感じていたからであるため、その解消を考える必要があります。

支援の方向性としては不適切です。

選択肢5. 大正琴を教える役割をもつ。

正解です。

過去におこなってきた習慣や活動を継続することは、認知機能の悪化を防ぐことができます。

また、役割を持つことで、施設の生活に慣れるきっかけにもなります。

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