介護福祉士の過去問
第36回(令和5年度)
総合問題 問11

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問題

介護福祉士国家試験 第36回(令和5年度) 総合問題 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
Fさん(20歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)と重度の知的障害があり、自宅で母親(50歳)、姉(25歳)と3人で暮らしている。
Fさんは生活介護事業所を利用している。
事業所では比較的落ち着いているが、自宅に帰ってくると母親に対してかみつきや頭突きをすることがあった。また、自分で頭をたたくなどの自傷行為もたびたび見られる。
仕事をしている母親に代わり、小さい頃から食事や排泄(はいせつ)の介護をしている姉は、これまでFさんの行動を止めることができていたが、最近ではからだが大きくなり力も強くなって、母親と協力しても止めることが難しくなっていた。
家族で今後のことを考えた結果、Fさんは障害者支援施設に入所することになった。

Fさんが入所してからも月1、2回は、姉が施設を訪ね、Fさんの世話をしている。
ある日、担当の介護福祉職が姉に声をかけると、「小学生の頃から、学校が終わると友だちと遊ばずにまっすぐ家に帰り、母親に代わって、弟の世話をしてきた。今は、弟を見捨てたようで、申し訳ない」などと話す。
介護福祉職の姉への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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この過去問の解説 (2件)

01

母親のように面倒を見てきたため、やむなく入所を検討してしまった姉が「弟を見捨てたようで、申し訳ない」と話していることから、その気持ちに寄り添った声かけをすることが大切です。

選択肢1. 「これからもFさんのお世話をしっかり行ってください」

×:今までも十分ケアをしてきたはずなので、追い打ちをかけるような発言は適切ではありません。

選択肢2. 「Fさんは落ち着いていて、自傷他害行為があるようには見えませんね」

×:暴力行為がみられるので、事実と異なり、適切ではありません。

選択肢3. 「お姉さんは、小さい頃からお母さんの代わりをしてきたのですね」

〇:「弟を見捨てたようで、申し訳ない」と話している姉の気持ちに寄り添う声かけが大切です。

選択肢4. 「訪問回数を減らしてはどうですか」

×:姉の気持ちに寄り添った回答ではないため、適切ではありません。

選択肢5. 「施設入所を後悔しているのですね。もう一度在宅ケアを考えましょう」

×:後悔しているわけではないので、適切ではありません。

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02

介護福祉職は、利用者や家族の相談に応じ、助言や指導を行うことも必要です。

その際に活用されるのが、バイステックの7原則です。

 

個別化・・一人ひとりに合った援助をする

意図的な感情表出・・感情を表現できるように意図的に援助する

統制された情緒的関与・・感情をコントロールし、利用者の感情の理解に努める

受容・・利用者の言動をありのままに受け入れる

非審判的態度・・援助者の価値観で評価しない

自己決定・・利用者が自己決定できるように援助する

秘密保持・・情報を外部にもらさない

 

ここでは「弟の世話をしてきて、弟を見捨てたようで、申し訳ない」と話す姉に対して、受容する姿勢が必要です。

 

選択肢1. 「これからもFさんのお世話をしっかり行ってください」

不正解です。

お姉さんは、小学生の頃から、学校が終わると友だちと遊ばずにまっすぐ家に帰り、母親に代わって、弟の世話をしてきました。

「しっかりお世話をしてきた」「申し訳なく思っている」と発言しているお姉さんに対して「これからもFさんのお世話をしっかり行ってください」という言葉は不適切です。

選択肢2. 「Fさんは落ち着いていて、自傷他害行為があるようには見えませんね」

不正解です。

お姉さんの言葉や気持ちに対する発言ではないため、不適切です。

選択肢3. 「お姉さんは、小さい頃からお母さんの代わりをしてきたのですね」

正解です。

「申し訳なく思っている」と落ち込んでいるお姉さんに対して、受容し労う言葉でもあるため適切です。

選択肢4. 「訪問回数を減らしてはどうですか」

不正解です。

「弟の世話をしてきて、弟を見捨てたようで、申し訳ない」と話す姉に対して、訪問回数を減らす提案は不適切です。

選択肢5. 「施設入所を後悔しているのですね。もう一度在宅ケアを考えましょう」

不正解です。

自宅での暴力があり、家族で今後のことを考えた結果入所しているため、再び在宅ケアを考える提案は不適切です。

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