大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問22 (世界史B(第4問) 問1)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問22(世界史B(第4問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

歴史を学ぶ際には、資料の内容だけでなく、作成者(書き手)が生きた時代やその立場も考慮する必要がある。そうした視点に立った次の文章を読み、後の問いに答えよ。

次の資料は、後のインド総督カーゾンの著作(1889年)の一部である。(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)

資料
アフガニスタンが、「東洋」の他の部分と同じくa 「ロシアのくびき」を欲していることを、ロシア人の側では、傲慢な自己満足とともに確信している。アフガン人は、自身の独立と部族組織の保持を自分たちの目的としているため、現在の状況はさておいても、二大帝国から得られる利益の違いはほとんどないと考えている。しかしながら、ロシアの進出が併合そのものを意味するのに対して、イギリスはアフガンの自由に干渉しようと望んでいないことをはっきり示してきたので、イギリスにとっての明白な強みがある。

19世紀のグレートゲームと呼ばれる大国の覇権争いのなかで、インドから北上するイギリスと、南下して中央アジアへの支配を進めるロシアとは、アフガニスタンをめぐって対抗していた。この資料は、14世紀にロシアが( ア )に支配されていた歴史を揶揄(やゆ)しつつ、1886年前後の状況を示していると考えられる。この時アフガニスタンはイギリスの保護国となっていたが、ロシアも引き続き介入を模索し、両国の緊張関係は東アジアにも及んでいった。なお、資料がイギリス本位の記述になっていることには注意を要する。例えば資料中の「ロシアの進出」について、ロシアが実際にアフガニスタンを併合しようとしていたとは考えにくいが、イギリス側が過度に警戒していたことがうかがえる。当事者であるアフガニスタン、またイギリスと対抗するロシアの立場からは、同じ出来事について異なった解釈があり得ることに留意しなければならない。

下線部aについて、著者はなぜロシアの歴史を踏まえたこの表現を用いたのか。その背景を説明する文章中の空欄( ア )に入れる語あ・いと、著者がこの表現を用いた意図として考えられる事柄X・Yとの組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

( ア )に入れる語
あ  ノルマン人
い  モンゴル

意図として考えられる事柄
X  ロシアの一方的なアフガニスタン進出政策について批判的に述べるため
Y  ロシアの一方的なアフガニスタン進出政策を容認するため
  • あ ― X
  • あ ― Y
  • い ― X
  • い ― Y

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

ロシアによる中央アジアへの進出が問われた問題です。

選択肢1. あ ― X

意図として考えられる事柄は適切なのですが、14世紀にロシアはノルマン人の支配に入っていなかったので、( ア )に入れる語は不適です。

選択肢2. あ ― Y

( ア )に入れる語は不適、意図として考えられる事柄も不適、よって誤りです。

選択肢3. い ― X

14世紀にロシアはモンゴル人の支配に入っていたので、( ア )に入れる語は適切です。また、意図として考えられる事柄も適切です。よってこれが正解です。

選択肢4. い ― Y

( ア )に入れる語は適切ですが、意図として考えられる事柄が不適、よって誤りです。

まとめ

下線部aは「タタールのくびき」を揶揄した表現です。ロシア諸侯はキプチャク=ハン国による支配を受けていました。イヴァン3世がロシアの諸公国を併合し、モンゴルを支配を脱したのは1480年のことです。

参考になった数0