大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問53 (倫理(第3問) 問7)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問53(倫理(第3問) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

以下を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのD,E,Fは各々全て同じ人物である。

DとEは勉強を重ね、オンラインで「自由」をテーマにしたプレゼンテーションを共同で行い、他校の高校生Fを交えたディスカッションに臨んだ。

D:……以上をまとめます。私たちは、上のスライド資料に示したように、自由について整理しました。
F:スライド資料の自己決定という側面について、気になることがあります。私は高校を卒業したら就職するつもりです。経済的にも自立して、主体的に自己決定を行う自由が手に入って自分の将来への期待もある反面、不安も感じてしまいます。好きに選べると、かえって何も選べないというか…。いっそのこと、誰かに決めてほしい気もしてしまうんです。
D:実は私も、迷ってばかりで先に進まない、自由を持て余している弱い自分を発見して、嫌になってしまうこともあります。自分はなんてe無力で不安定な存在なんだろうって。
E:確かに、自由がある種の強さを求めてくることってありますよね。でも人間は必ずしも強くなくてもよいと思うんです。自分の弱さを素直に認めることができれば、f他者の弱さを思うことができる。それに、迷いながらも下した選択は、迷った分だけ一層貴重に思えるのではないでしょうか。そう考えれば、g自由の中で迷うことにも意味がある気がします。
F:そうか…。迷うこと自体が大事なんですね。私は、自由のネガティブな側面ばかりを見ていた気がします。敷かれたレールがなくなって不安になっても自由を手放さず、迷いながら自分で決定していきたいと思います。

下線部gに関連して、Dと先生は次の会話を交わした。会話中で示された資料の内容を踏まえて、会話中の( a )に入る記述として最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。

D:先生、自由が迷いを生じさせることもあると思ってしまうんですが…。
先生:むしろ迷うことにこそ意味があるんです。ドイツ観念論の哲学者シェリングはこの視点を、次の資料の中で善と悪の問題から論じています。

資料『人間的自由の本質』より
人間は、善と悪とに向かう自己運動の源泉を等しく自分の内に持つという頂きに位置付けられている。つまり、人間の内の両原理の結び付きは、必然的な結び付きではなく、一つの自由な結び付きである。人間は分岐点に立っている。人間が何を選ぼうとも、それは人間がなしたことになる。しかし、人間は未決定のままでいることはできない。

D:私たち人間は善と悪の岐路に立たされる存在だと言っているんですね。
先生:そのとおりです。この資料では、人間は、( a )とされています。私たちは迷う存在で、そのことで悩むこともありますが、迷えないことはそもそも自由ではない、とも言えるのではないでしょうか。
問題文の画像
  • 善と悪の両方への可能性を自らの内に等しく持っていて、そのいずれかを選択する決断を下さざるを得ない点で自由な存在だ
  • 善と悪への可能性を等しくは持っておらず、悪へ向かう傾向をより強く持つ存在だが、自ら選択する自由を有しているという点で自由な存在だ
  • 善であれ悪であれ、そのいずれへ向かうかを自ら選び決断する力はないが、善と悪への可能性をともに認識し得るという点で自由である
  • 善と悪への可能性を等しくは持っておらず、悪へ向かう傾向をより強く持つ存在だが、その悪への傾向が解消され得るという点で自由が保証される

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