給水装置工事主任技術者の過去問
令和2年度(2020年)
公衆衛生概論 問3
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問題
給水装置工事主任技術者試験 令和2年度(2020年) 公衆衛生概論 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
残留塩素と消毒効果に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- 残留塩素とは、消毒効果のある有効塩素が水中の微生物を殺菌消毒したり、有機物を酸化分解した後も水中に残留している塩素のことである。
- 給水栓における水は、遊離残留塩素が0.4mg/L以上又は結合残留塩素が0.1mg/L以上を保持していなくてはならない。
- 塩素系消毒剤として使用されている次亜塩素酸ナトリウムは、光や温度の影響を受けて徐々に分解し、有効塩素濃度が低下する。
- 残留塩素濃度の測定方法の一つとして、ジエチル−p−フェニレンジアミン(DPD)と反応して生じる桃~桃赤色を標準比色液と比較して測定する方法がある。
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この過去問の解説 (1件)
01
この問題は「不適当なもの」を選択する問題です。
この問題では、水道水の塩素消毒について質問されています。
日本の水道水は塩素で消毒されています。塩素消毒をしなければ水の中の病気の原因になる微生物(病原微生物)に感染してしまいます。水道が整備される前は、腸チフスやコレラなど、集団が感染し問題になりました。
塩素は、水に溶けると、塩化水素(HCl)と、次亜塩素酸(HOCl)になります。次亜塩素酸は、いわゆる遊離残留塩素と呼ばれています。次亜塩素酸には強い酸化作用があり、病原微生物の細胞膜や細胞壁を破壊し、細胞内のタンパク質や脂質などの有機物を分解し、殺菌作用を示します。
この遊離残留塩素は、水中のアンモニアなどと反応し、結合残留塩素となります。アンモニア(NH3)の水素が塩素に置き換わった化合物を総称してクロラミンと呼びます。クロラミンには、NH2Cl(モノクロラミン) NHCl2 (ジクロラミン)NCl3(トリクロラミン)があります。これらすべてが残留塩素です。
この残留する塩素は、ある一定以上残留するように水道法で規定されています。これは、浄水場から家庭に届く間にも、微生物が繁殖しないように考慮されているためです。この水道水に残留する塩素はどのくらい以上残留している必要があるでしょうか?遊離残留塩素の場合は0.1mg/L以上で、結合残留塩素の場合は0.4mg/L以上です。
この記述に間違いはありません。
残留塩素には遊離残留塩素と、結合残留塩素があります。この両方が残留している塩素です。
この回答が「不適当なもの」になります。
結論から言うと、数値が遊離残留塩素と結合残留塩素で逆になっています。
国の基準では、給水栓(いわゆる蛇口)から出る水中の遊離残留塩素が0.1mg/L以上、または結合残留塩素の場合は0.4mg/L以上保たれていなければなりません。これは、遊離残留塩素の方が殺菌力が高いことを考えると、結合残留塩素よりも数値が低いのは納得できるかと思います。
次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)はキッチンハイターなどにも使われている塩素系の薬品です。有効塩素濃度とは、酸化力のある塩素のことで、次亜塩素酸(HOCl)や次亜塩素酸イオン(ClO-)がそれに当たります。次亜塩素酸ナトリウムが水に溶けると、
NaOCl + H2O → HOCl + NaOH
のように次亜塩素酸(HOCl) を放出します。しかし、光や熱により、次亜塩素酸ナトリウムは
2NaOCl → 2NaCl + O2
のように分解し、効果が失われてしまいます。
この方法は残留塩素を測定する方法として用いられます。
DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)が塩素で酸化されると、綺麗な赤桃色に発色する性質を利用しています。この色の変化がどれくらいあるかを、標準となる液体の色と比べて残留塩素の濃度を求めることができます。
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