マンション管理士の過去問
平成27年度(2015年)
問15
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
マンション管理士試験 平成27年度(2015年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
Aがその所有する甲マンションの105号室に関し、Bとの間で使用貸借契約を締結し、これを引き渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
※ 令和2年4月1日の民法改正により瑕疵担保責任を負う旨の条文が除外されました。
本設問は平成27年度に出題されたもので、内容と正答は出題当時のものとなります。
- 105号室に瑕疵があった場合、貸主Aは、その瑕疵を知り、かつ、これを借主Bに告げなかったときには担保責任を負う。
- Bが105号室に有益費を支出し、使用貸借契約終了時に同室の価格の増加が現存する場合には、Bは、支出した金額又はこれを支出したことによる同室の増価額のいずれかを選択してAに請求することができる。
- AとBが貸借の期間を定めた場合でも、その期間内にAが死亡したときは、Aの死亡時にAとBとの使用貸借契約は効力を失う。
- 105号室がBの居住を目的として使用貸借されている間は、Aが105号室をCに売却しても、Bは、Cに対し、引き続き借主であることを主張することができる。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
使用貸借については、借地借家法ではなく民法が適用されることに注意しましょう。
正しい。
使用貸借の貸主の担保責任(民法第596条)は、贈与者の担保責任(民法第551条)が準用されています。つまり、貸主が瑕疵を知りながら借主に告げなかった場合は担保責任を負うとされています。したがって、選択肢は正しいです。
(※令和2年4月1日の民法改正により瑕疵担保責任を負う旨の条文が除外されました。
そのため現行法では誤りとなります。)
誤り。
借用物の費用の負担(民法第595条第2項)は、買戻しの実行(民法第583条第2項)を準用し、使用貸借の借主が目的物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、貸主の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができるとあります。選択肢はB(借主)が選択できるとあり、これは誤りです。
誤り。
民法第599条によれば、「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。」とありますが、貸主の死亡によっては効力を失いません。したがって、選択肢は誤りとなります。
誤り。
使用貸借の場合、借地借家法は適用されないため借主の立場が弱く、特に貸借の権利を登記することはできないため、使用貸借の目的の物件が新しい貸主に譲渡された場合、引き続き借主であることを主張することはできません。したがって、選択肢は誤りとなります。
参考になった数33
この解説の修正を提案する
02
解説は以下のとおりです。
民法第596条で、「第551条の規定は、使用貸借について準用する。」と規定されています。つまり、貸主の担保責任には、贈与者の規定が準用されます。
そして、民法第551条で、「贈与者は、贈与の目的である物または権利の瑕疵または不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵または不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りではない。」と規定されています。
したがって、貸主Aは、瑕疵を知り、かつ、これを借主Bに告げなかったときは担保責任を負います。
(※令和2年4月1日の民法改正により瑕疵担保責任を負う旨の条文が除外されました。そのため現行法では誤りとなります。)
民法第595条2項で、「第583条第2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。」と規定されており、有益費は通常の必要費以外の費用に該当します。
そして、民法第583条第2項で、「買主または転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第196条の規定に従い、その償還をしなければならない。」と規定されています。
さらに、民法第196条2項で、「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額または増加額を償還させることができる。」と規定されています。
これらを踏まえると、借主Bが有益費を支出し、使用貸借契約終了時に同室の価格の増加が現存する場合には、「貸主Aの選択」に従い、Bは、支出した金額またはこれを支出したことによる同室の増加額のいずれかをAに請求することができます。支出した金額または増加額のいずれかを選択できるのは借主Bではなく貸主Aです。
よって、この設問は誤りです。
民法第599条で、「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。」と規定されています。貸主Aの死亡では、使用貸借契約は効力を失いません。
よって、この設問は誤りです。
民法第593条で、「使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還することを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」と規定されています。
使用貸借は当事者同士の約定に基づき行われる契約であり、目的物を売却した他者に対し、その効力を主張することはできません。
よって、この設問は誤りです。
参考になった数12
この解説の修正を提案する
03
解説は以下のとおりです。
正しいです。
民法第596条では、「第551条の規定は、使用貸借について準用する。」と定めています。
また、第551条で、「贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。」と規定しています。
そこで、使用貸借の貸主Aは、105号室に瑕疵があることを知っていながら、借主Bに告げなかった時は、担保責任を負います。
(※令和2年4月1日の民法改正により瑕疵担保責任を負う旨の条文が除外されました。そのため現行法では誤りとなります。)
誤りです。
民法第595条第2項では、
「第583条第2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。」と規定しています。
また、第583条第2項では、
「買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第196条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。」と定めています。
さらに第196条第2項で、
「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。」と定めています。
そこで、使用借主Bが有益費を支出し、その価値の増加が現存する場合には、Bではなく貸主Aが、支出した金額又は増価額を償還することになります。
誤りです。
民法第599条では、「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。」と定めています。
そこで、借主Bが死亡したら、AとBとの使用貸借契約は効力を失いますが、貸主Aが死亡しても効力は失いません。
誤りです。
不動産の使用貸借は、賃貸借(民法605条)と異なり、第三者に対する対抗することができません。
そこで、使用借主のBは、借りている105号室がCに売却されたら、Cに借主であることを対抗できません。
参考になった数12
この解説の修正を提案する
前の問題(問14)へ
平成27年度(2015年)問題一覧
次の問題(問16)へ