マンション管理士の過去問
令和3年度(2021年)
問30

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問題

マンション管理士試験 令和3年度(2021年) 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

総会における議決権行使書の取扱いに関する理事長の次の発言のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、適切なものはどれか。
  • 住戸1戸を2人が共有している場合において、共有者それぞれから賛否の異なる議決権行使書が提出されている場合には、あらかじめ2人のうち1人を議決権を行使する者として届出があったとしても、それらの議決権行使書は2通とも無効票として取り扱わなければなりません。
  • マンション管理業者との間で管理委託契約を締結する旨の議案に係る決議に際しては、当該マンション管理業者の役員でもある組合員については、議案に利害関係を有することから、その者から提出された議決権行使書は、当該議案の賛否の計算からは排除しなければなりません。
  • 規約の変更の議案に係る決議に際し、マンション内に複数の住戸を区分所有している組合員からその有する専有部分の数の議決権行使書が提出された場合でも、「組合員総数」においては1人として賛否を計算しなければなりません。
  • 総会の招集通知に添付した委任状及び議決権行使書を使用せず、組合員から「すべての議案に反対する」と記載した書面が提出されていますが、これは無効票として取り扱うことになります。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は3です。

1 不適切です。住戸1戸が数人の共している場合、その議決権行使は、数人を1と数え、共有者にて議決権を行使する者1名を選任し、選任者の氏名をあらかじめ総会までに理事長に届け出なければなりません。この届出があったもののみが議決権行使書が有効なものとして取り扱われます。

参考:標準管理規約46条3項

2 不適切です。総会の議決権は組合員であれば有しており、マンション管理業者の役員であっても、議決権が否定されません。

参考:標準管理規約46条1項

3 適切です。議決権行使書は、組合員が総会に出席せずに議決権を行使します。そのため会場に参加している組合員と同様賛否を計算する必要があります。

参考:標準管理規約46条関係コメント⑥

4 不適切です。議決権行使書に反対の意思が表示されているのでしたら、有効に扱う必要があります。

参考:標準管理規約46条関係コメント⑥

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02

 標準管理規約(単棟型)からの基本的な出題です。同規約については、理解を深める勉強をしてください。 

選択肢1. 住戸1戸を2人が共有している場合において、共有者それぞれから賛否の異なる議決権行使書が提出されている場合には、あらかじめ2人のうち1人を議決権を行使する者として届出があったとしても、それらの議決権行使書は2通とも無効票として取り扱わなければなりません。

 標準管理規約(単棟型)46条2項により、「住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。」とされ、同条3項により、「同条2項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。」とされます。

 つまり、それらの議決権行使書は2通とも無効票として取り扱わなければなりませんという部分が適切ではありません。議決権を行使する者として届出があった者の議決権行使書は有効です。

選択肢2. マンション管理業者との間で管理委託契約を締結する旨の議案に係る決議に際しては、当該マンション管理業者の役員でもある組合員については、議案に利害関係を有することから、その者から提出された議決権行使書は、当該議案の賛否の計算からは排除しなければなりません。

 標準管理規約(単棟型)46条4項によると、「組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。」とされます。

 つまり、議案に利害関係を有することから、その者から提出された議決権行使書は、当該議案の賛否の計算からは排除しなければなりませんという部分が適切ではありません。

選択肢3. 規約の変更の議案に係る決議に際し、マンション内に複数の住戸を区分所有している組合員からその有する専有部分の数の議決権行使書が提出された場合でも、「組合員総数」においては1人として賛否を計算しなければなりません。

 標準管理規約(単棟型)コメント46条関係⑥によると、「書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に 各議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる議決権行使書を総会の 招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代理権を証する書面(いわゆる委任状。電磁的方法による提出が利用可能な場合は、電磁的方法を含む。)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することである。このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が総会に出席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は 賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるものである。そもそも総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接意思表示することが望ましいのはもちろんである。しかし、やむを得ず総会に出席できない場合であっても、組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重要であることに留意が必要である。」とされるので適切です。

 つまり、総会に出席して議決権を行使した場合と同様です。

選択肢4. 総会の招集通知に添付した委任状及び議決権行使書を使用せず、組合員から「すべての議案に反対する」と記載した書面が提出されていますが、これは無効票として取り扱うことになります。

 標準管理規約(単棟型)コメント46条関係⑥によると、「書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に 各議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる議決権行使書を総会の 招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代理権を証する書面(いわゆる委任状。電磁的方法による提出が利用可能な場合は、電磁的方法を含む。)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することである。このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が総会に出席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は 賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるものである。そもそも総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接意思表示することが望ましいのはもちろんである。しかし、やむを得ず総会に出席できない場合であっても、組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重要であることに留意が必要である。」とされます。

 つまり、総会の招集通知に添付した委任状及び議決権行使書を使用しないために、無効票として取り扱うことにすることは適切ではありません。

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