看護師の過去問
第108回
午前 問107

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問題

看護師国家試験 第108回 午前 問107 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。

Aさん(34歳、初産婦)は、夫(37歳、会社員)と2人暮らし。事務の仕事をしている。身長157cm、非妊時体重54kg。妊娠24週日の妊婦健康診査時の体重58kgで4週前から1.5kg増加している。血圧128/88mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(−)。浮腫(±)。Hb10g/dL、Ht30%。子宮底長22.5cm、腹囲84cm。胎児推定体重700g。非妊時より白色の腟分泌物は多いが、搔痒感はない。

Aさんは夫に付き添われ、妊娠35週4日に妊婦健康診査を受けた。体重62kg、血圧126/76mmHg。尿蛋白(−)、尿糖(−)。浮腫(±)。子宮底長30cm、腹囲88cm。Aさんは看護師に「膝の裏の血管が膨らんで、青く浮き出てきました。夕方になると足がだるくなり、夕食の準備のため立っているとつらくなります」と言う。

Aさんへの指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 「水分を控えましょう」
  • 「体重を減らしましょう」
  • 「ガードルを着用しましょう」
  • 「弾性ストッキングを着用しましょう」
  • 「寝るときは足を高くして横になりましょう」

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この過去問の解説 (3件)

01

Aさんは妊娠中特有の下肢静脈瘤の症状がでていると考えられます。妊娠中は子宮が大きくなるため、その周囲の血管を圧迫してしまい、それによって下半身の血流が悪くなり、静脈瘤ができやすくなります。
回答としては、妊娠中であることに留意しつつ、静脈瘤に対する適切な対処法を選択する必要があります。血流の悪さが原因となっているので、1の水分を控えるというのは、さらに血液をどろどろにさせてしまう恐れがあり、不適切です。非妊時より4㎏の増加、4週間で1.5㎏程度の体重増加であれば問題視はされません。そのため、2のようにさらに体重を減らすという必要はないでしょう。ガードルの着用は腹部を圧迫してしまうため、妊娠中には不適切です。
下肢静脈瘤に対しては弾性ストッキングの着用が推奨されます。下肢を適度に圧迫することにより血流を促進してくれる効果があります。静脈瘤だけでなく、むくみに対しても効果があります。寝るときに足を高くしておくことは、足にたまりやすい血流が高低差により心臓の方に自然と流れていくので、血流が改善されます。
以上の事より、回答は4、5となります。

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02

正解は4.5です。

Aさんの症状は、下肢静脈瘤であると考えられます。
下肢静脈瘤とは、静脈にある逆流防止弁(血液の逆流を防ぐ弁)が正常に閉じないため、下肢静脈に血液が貯留することで起こります。
妊娠中は、中期~後期にかけて下肢静脈瘤が起こりやすくなります。
原因として、血液量や女性ホルモンが増加すると静脈の逆流防止弁の働きは弱くなります。
また、子宮が大きくなることで、静脈を圧迫し、血液の流れが滞る、などが挙げられます。

症状として、Aさんのように膝の裏の血管が膨らみ、青く浮き出る、だるさ以外にも、疼痛、掻痒感、浮腫などがあります。
また、部位として下肢だけではなく、外陰部や膣に起こることもあります。

1)×
下肢静脈瘤では、水分を控える必要はありません。
逆に水分を控えることで、脱水になってしまい、血栓リスクが高くなります。
しっかり水分摂取を行い、脱水を予防することが大切です。
控えるべきは、塩分です。

2)×
Aさんの非妊娠時のBMIは、21.91です。
普通体重ですので、Aさんの体重増加目安は7~12kgとなります。現在は8㎏増加しており、体重が増えすぎということではありません。
また、妊娠中期・後期では、一週間当たりの体重増加量は300~500gですので、4週間前から1.5㎏の増加というのも正常範囲です。

3)×
下肢静脈瘤の予防として、衣服はゆったりしたものを着用することが必要です。
衣類での圧迫も血流を滞らせますので、きついベルトやガードル、ジーンズは避けた方が良いです。

4)○
弾性ストッキングを着用し、足を締めつけることで下肢の静脈還流を助けます。
弾性ストッキングは、足関節部分の圧が最も高く、上に向かうほど圧が弱まる構造になっています。
これにより、末梢(足先)から心臓に血液を戻しやすくなります。

5)○
「寝るときに足を高くする」ということは、心臓より足を高くすることで、血液を心臓に戻しやすくするということです。
浮腫予防にもなり、心臓より5~10㎝程度高くするだけでも効果があるといわれています。

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03

妊婦の血流は基本的に悪くなります。今回のケースだと下肢の静脈瘤の可能性が高いと考えます。
そのため、下肢の血流を改善させるために弾性ストッキングを使用することや、足を高くあげて静脈還流を増加させるようにして血流を改善させる工夫をしていきます。
水分は積極的に摂取し、血液循環をよくしていくことが大切です。

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