看護師の過去問
第108回
午後 問229
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問題
看護師国家試験 第108回 午後 問229 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文を読み問いに答えよ。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。
Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。
身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4°C、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。
検査所見:クレアチンキナーゼ<CK>190IU/L<U/L>、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c5.0%、Na128mEq/L、K3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。
Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。
Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。
身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4°C、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。
検査所見:クレアチンキナーゼ<CK>190IU/L<U/L>、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c5.0%、Na128mEq/L、K3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。
Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。
- 水中毒(water intoxication)
- 悪性症候群(malignant syndrome)
- セロトニン症候群(serotonin syndrome)
- メタボリック症候群(metabolic syndrome)
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この過去問の解説 (3件)
01
〇正解
水中毒とは精神疾患のある人に起こりやすいといわれています。多飲症の結果体内に水分が貯留し、低ナトリウム血症になります。その結果、痙攣発作、意識障害、嘔吐、自律神経症状、多尿錐体外路症状、発熱、などの症状が起こります。
Aさんは「洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった」こと、また、6時の体重60kg、17時の体重63kgとあるので、一日の中で体重が急激に増加しています。また、血液検査中の、Na128mEqなので(基準値: 135~145; mEq/L)、低ナトリウム状態であることがわかります。よって、この選択肢が正解です。
2 . 悪性症候群
×不正解
悪性症候群とは主に向精神薬の開始や中断・再開などによって高熱、意識障害、筋強直、横紋筋融解などをきたす症候群の事です。
Aさんのバイタルサインから体温は36.4°Cで発熱していません。よって、不正解です。
3 . セロトニン症候群
×不正解
セロトニン症候群は向精神薬の急な増量によって数日から数週間かけて発症します。主な症状に発熱、発汗、頻脈、尿閉、不安、焦燥などがあります。
Aさんは向精神薬が開始されたばかりで、副作用の出現に注意が必要ですが、セロトニン症候群の症状は出ていないので、不正解です。
4 . メタボリック症候群
×不正解
生活習慣病とも呼ばれ、主な症状に肥満、高血圧、耐糖能障害、脂質異常症などがあります。
Aさんの身長、体重から肥満ではありませんし(BMI:20.8)、バイタルサインの血圧も124/70mmHg、血液検査のデータからも総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL、HbA1c5.0%と異常がないので不正解です。
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02
6時の体重が60㎏、17時の体重が63㎏という情報であり、3㎏の体重変動がみられます。食べ物だけで+3㎏となるのは考えにくく、過剰な水分摂取による体重増加が予想されます。また、血中のNa値も正常値よりは低く、多飲水により体内の血液が薄まって低Na血症となっている可能性が高いです。Naは130mEq以下となると軽度の倦怠感や頭痛が出現し、さらには意識が低下したり昏睡に至ることもあります。
2.×
悪性症候群は抗精神病薬の使用による重大な副作用の一つで、高熱や頻脈、呼吸促拍、意識障害、CK値やWBC値の上昇などが見られます。この事例ではバイタルサインに異常が見られていず、悪性症候群とはいえません。
3.×
セロトニン症候群は抗うつ薬の使用によっておこる副作用の一つです。この場合も発熱や血圧の上昇などのバイタルサインの異常が見られます。この事例は統合失調症であり、抗うつ剤は使用していないとも考えられ、解答として不適切です。
4.×
肥満体重ではなく、コレステロール値やHbA1c値が正常範囲内であることから、メタボリック症候群ではありません。
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03
1 .Aさんはその日の6時の体重が60kg、17時の体重63kgと一日で3㎏も増加しています。また、洗面所でボーッとしていることが多くなりとの記載から、無意識に水分摂取が多くなったことによる 水中毒であると考えられます。
よって正解です。
2 . 悪性症候群とは、主に抗精神病薬を服用中に、その副作用で高熱や意識障害、血圧上昇、錐体外路障害などを引き起こすものです。
Aさんは、体温36.4°C、血圧124/70mmHg、ぼーっとしていることはあっても意識障害とはいいがたいといった症状が見られます。
よって不正解です。
3 . セロトニン症候群は特に抗うつ薬の服用中に、不安・高熱・振戦などの症状が出現します。Aさんはうつ病ではないためこの薬は服用していないはずです。
よって不正解です。
4 .
メタボリック症候群は生活習慣病の一つです。Aさん
は、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dLと高値を示しているが、血圧は高くなく、一日の体重増加量としてはあまりにも多すぎます。
つまり、内服している抗精神病薬の影響で検査結果の数値が高くなっているとなっていると考えられます。
よって不正解です。
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