看護師の過去問
第111回
午前 問112

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問題

看護師国家試験 第111回 午前 問112 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み以下の問いに答えよ。

Aさん(23歳、女性)は大学を卒業後、会社に就職して1人暮らしを始めた。入社後に「会社の制服が似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にるいそうが目立つようになった。「太るのが怖い」と言って食事を拒否するようになり、体重は1年間で10kg減少した。しかし、本人は「まだ太っているから、痩せないといけない」と話していた。久しぶりにAさんと会った母親が、過度のるいそうを心配して、内科受診を勧めた。内科ではるいそう以外に大きな異常を認めず、精神科受診を勧められた。精神科では神経性無食欲症(anorexia nervosa)と診断され、外来通院を開始した。その後、低血糖によるふらつきのため職場で頻回に転倒するようになった。それでも食事を十分に摂らないため、精神科病棟へ入院した。入院時、身長166cm、体重36kgであった。入院後、食事のほかに点滴による栄養補給が始まった。

治療開始早期に看護師が最も注意すべき観察項目はどれか。
  • 脱毛
  • 浮腫
  • 抑うつ
  • 嚥下障害

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この過去問の解説 (3件)

01

神経性無食欲症の治療開始の早期に、

最も注意することは、リフィーディング症候群です。

飢餓状態の身体に、急速に栄養補給が行われることによって起こる、

代謝性の合併症です。

心不全や呼吸不全、腎不全、肝機能障害を引き起こし、

重篤な状態を引き起こす可能性があります。

よって、治療は急速な栄養補給は危険なため、少しずつ補給を行います。

治療開始直後は、リフィーディング症候群が発症していないかの観察が重要になってきます。

選択肢1. 脱毛

脱毛は、栄養失調の症状として起こることがあります。

Aさんの場合、すでに起こっているか、今後起こる可能性はありますが、

治療開始直後に最も注意すべきことではないため、

不適切です。

選択肢2. 浮腫

栄養失調状態の治療開始直後に

最も注意すべきリフィーディング症候群の症状として、

心不全や腎不全発症による浮腫が起こる可能性があります。

元々栄養失調状態で、低アルブミン血症による浮腫が起こっている可能性も

ありますが、新たな浮腫の増加には注意が必要です。

よって、治療開始直後は、浮腫の増加に要注意です。

選択肢3. 抑うつ

抑うつ状態は、神経性無食欲症の症状として発症している可能性がありますが、

治療開始直後の観察項目としては、優先度は低くなります。

選択肢4. 嚥下障害

嚥下障害は、神経性無食欲症の症状として、起こる可能性はあるかもしれません。

度重なる嘔吐や、歯牙浸食のために飲み込みにくくなることも考えられますが、

治療開始直後の観察項目としては、優先度は低くなります。

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02

正解はです。

Aさんは、入院後の治療として、食事のほかに点滴による栄養補給が始まったことから、リフィーディング症候群に気を付ける必要があります。

リフィーディング症候群とは、 慢性的な栄養不良状態が続き高度の低栄養状態にある患者にいきなり十分量の栄養補給を行うことにより発症する一連の代謝合併症の総称です。心不全、不整脈、呼吸不全、意識障害、けいれん発作、四肢麻痺、運動失調、横紋筋融解、尿細管壊死、溶血性貧血、高血糖あるいは低血糖発作、敗血症、肝機能異常、消化管機能異常などの多彩な症状が出現します。経口摂取よりも、点滴による栄養補給ではより症状が出現しやすいです。

選択肢の中でも、浮腫は循環不全など命にかかわる病状に多く出現することから注意が必要であると同時に、浮腫はAさんにとって「太った」と認識させてしまう症状となるため、治療の経過としても注意してみていく必要があります。

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03

2 正解

”神経性無食欲症”により食事を摂取できていないため、低アルブミン血症による浮腫が考えられます。

また、体重の著しい減少がみられるため、腎機能が低下による浮腫も考えられます。

1.3.4 不正解

”神経性無食欲症”により、毛髪脱落や精神疾患の併存なども見られることはありますが、治療開始想起に最も観察すべき点としては、優先度は低くなります。

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