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看護師の過去問 第112回 午後 問116

問題

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次の文を読み問いに答えよ。
Aさん(50歳、男性、自営業)は妻(48歳)、長男(23歳、会社員)と3人で暮らしている。3年前から歩行時のふらつきを自覚していたが、日常生活動作<ADL>は自立していた。最近、転倒が多くなり医療機関を受診して頭部CT検査を受けたところ、小脳と脳幹に萎縮を認め、遺伝性の脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)と診断された。Aさんは「母も同じ疾患で亡くなりました。妹が同じ敷地内に1人で暮らしていますが、妹も転ぶことが多くなり、医師の勧めで遺伝子診断を受ける予定です。明日、保健所に難病の医療費助成の申請に行くのですが、保健師に伝えた方がよいことはありますか」と看護師に質問した。

この設問は、<前問>の続きの設問となります。

1か月後の定期受診のときに、Aさんは「長男に私の病名と遺伝性の疾患であることを伝えました。長男には何も症状はありませんが、発症前診断を受けて欲しいと思っています」と外来の看護師に話した。
看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
   1 .
長男が脊髄小脳変性症についてどの程度知っているか確認することを勧める。
   2 .
長男には症状がないので発症前診断では発症の予測はできないと説明する。
   3 .
両親の同意があれば長男が発症前診断を受けることができると説明する。
   4 .
長男が頭部CT検査を受けることを勧める。
( 看護師国家試験 第112回 午後 問116 )
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この過去問の解説 (2件)

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Aさんは遺伝性の脊髄小脳変性症と診断されており、子どもにも遺伝する可能性があります。

発症前診断によって遺伝子を明らかにすることができます。

選択肢1. 長男が脊髄小脳変性症についてどの程度知っているか確認することを勧める。

○:適切

長男は成人しているため本人の同意により発症前診断を受けることはできますが、遺伝子が明らかになっても治療は難しいため、病気についての知識をしっかり持ってから検査を受けることが望まれます。

選択肢2. 長男には症状がないので発症前診断では発症の予測はできないと説明する。

×:不適切

Aさんが遺伝性の脊髄小脳変性症と診断されているため、症状がない長男にも遺伝子の変化がある可能性は高いです。

選択肢3. 両親の同意があれば長男が発症前診断を受けることができると説明する。

×:不適切

長男は成人しているため、本人の同意があれば、両親の同意がなくても発症前診断を受けることは可能です。

選択肢4. 長男が頭部CT検査を受けることを勧める。

×:不適切

長男は現在症状がないため、頭部のCT検査を受ける必要はありません。

付箋メモを残すことが出来ます。
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この問題のポイントは、以下の通りです。

脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)は、遺伝性と孤発性(遺伝ではない)のものがあります。Aさんの場合は遺伝性と診断されており、長男にも遺伝している可能性はあります。

では問題を見ていきましょう。

選択肢1. 長男が脊髄小脳変性症についてどの程度知っているか確認することを勧める。

長男へ発症前診断を勧める前に、長男が脊髄小脳変性症についてどの程度知っているかや受け止め方を確認する方が大切です。

選択肢2. 長男には症状がないので発症前診断では発症の予測はできないと説明する。

遺伝性と診断されているため、長男の発症前診断で遺伝子の変化を見つけられる可能性はあります。よって、適切ではありません。

選択肢3. 両親の同意があれば長男が発症前診断を受けることができると説明する。

長男はすでに23歳であり、成人しています。よって本人の同意があれば発症前診断を受けることができます。

選択肢4. 長男が頭部CT検査を受けることを勧める。

現在長男には何も症状がないため、頭部CT検査を受けても、異常は見られない可能性が高い。よって、長男が頭部CT検査を受けることを勧めることは適切ではありません。

まとめ

遺伝性の疾患に対して、発症前診断を受けるのにまずは本人の知識や受け止め方を確認することが大切だと覚えておきましょう。

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