介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
認知症の理解 問10
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問題
介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 認知症の理解 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
Mさん(88歳、女性)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断された。夫と二人暮らしで、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問したときに夫から、「最近、日中することがなく寝てしまい、夜眠れていないようだ」と相談を受けた。訪問介護員(ホームヘルパー)は、Mさんが長年していた裁縫を日中にしてみることを勧めた。早速、裁縫をしてみるとMさんは、短時間で雑巾を縫うことができた。
Mさんの裁縫についての記憶として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Mさんの裁縫についての記憶として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 作業記憶
- 展望的記憶
- 短期記憶
- 陳述記憶
- 手続き記憶
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この過去問の解説 (3件)
01
アルツハイマー型認知症の事例問題です。
選択肢の用語について確認していきましょう。
×:作業記憶は、ワーキングメモリともいわれ、計算などの作業をする時に、必要な情報を記憶から取り出して、一時的に保つ能力です。
裁縫についての記憶には該当しません。
×:展望記憶とは、これから先の未来に予定されていることについて、
いつ何をするのかを覚えておくことです。
裁縫についての記憶には該当しません。
×:短期記憶とは、数十秒から1分程度の時間しか保持されない記憶をいいます。
裁縫についての記憶には該当しません。
×:陳述記憶とは、具体的に言語やイメージで表現できる記憶を言います。
自分が経験した出来事のエピソード記憶と学習で獲得した意味記憶に分けられます。
〇:手続き記憶とは、技能やノウハウ、やり方を保持するもので、
非陳述記憶ともいわれます。
例えば、楽器の弾き方や自転車の乗り方など言葉で表現できない記憶です。
裁縫についての記憶は、この手続き記憶に該当します。
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02
記憶の種類を理解できているかが問われている問題です。この問題では、長い間繰り返した動きは年齢を重ねても身体にしみついていて実行可能である、というこの記憶は何と呼ばれる記憶であるかを問うています。
誤答です。作業記憶(ワーキングメモリ)とは、情報の記憶と処理を同時に行う記憶です。会話や読み書き・計算などの基礎となる能力です。
誤答です。展望的記憶とは、未来に対してこれからやるべきことや、予定などを覚えておくための記憶です。
誤答です。短期記憶とは、保持時間が15〜20秒程度で、その瞬間は覚えていても、何もしなければすぐに忘れてしまう記憶のことです。
誤答です。陳述記憶とは、言葉やイメージで表すことのできる記憶のことをいいます。エピソード記憶と意味記憶が陳述記憶に分類されます。
正答です。手続き記憶とは、作業や技能の工程を身体を使って覚えた記憶のことをいいます。よってこの選択肢が最も適切です。
記憶の分類
時間軸による分類
感覚記憶(1~2秒)
短期記憶(15~20秒)→作業記録(ワーキングメモリ)
長期記憶(数分・数日・数十年) →陳述記憶 エピソード記憶・意味記憶
→非陳述記憶 手続き記憶
加齢による影響
大きい:作業記憶・エピソード記憶・展望的記憶
少ない:意味記憶・手続き記憶
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03
記憶の最も単純なタイプ分けは記憶時間の長さによるもので、短期記憶と長期記憶に分類されます。
短期記憶は、ごく短い時間だけ覚えておく記憶で、感覚記憶と作業記憶があります。
感覚記憶 → 視覚や聴覚、触覚などによる記憶
作業記憶 → 一時的な情報処理のために短期的に留めておく記憶
長期記憶は年単位で覚えている記憶で、意味記憶、エピソード記憶、手続記憶があります。
意味記憶 → 固有名詞や知識のこと
エピソード記憶 → 過去の出来事に関する記憶です
手続き記憶 → 車の運転の仕方など技能を身につけることに関する記憶
アルツハイマー型認知症では、短期記憶とエピソード記憶が早期から障害されます。
誤りです。作業記憶とは、頭で暗算するなど一時的な情報処理のために短期的に留めておく記憶のことです。
誤りです。展望的記憶 とは、将来の予定や約束に関する記憶のことです。
誤りです。短期記憶はごく短い時間だけ覚えておく記憶で、感覚記憶と作業記憶が含まれます。アルツハイマー型認知症で障害されやすいものです。
誤りです。陳述記憶とは、イメージや言語として意識上に内容を想起し、その内容を陳述できる記憶のことです。
正解です。手続き記憶は技能に関する記憶です。裁縫に関する技能は手続き記憶に含まれます。
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