介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
介護の基本 問1

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問題

介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 介護の基本 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

利用者主体の考えに基づいた訪問介護員(ホームヘルパー)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • トイレの窓は換気が必要であると判断し、開けたままにしておいた。
  • 認知症(dementia)の人が包丁を持つのは危険だと判断し、訪問介護員(ホームヘルパー)が調理した。
  • 煮物を調理するとき、利用者に好みの切り方を確認してもらった。
  • 糖尿病(diabetes mellitus)のある利用者には、買い物代行で菓子の購入はしないことにした。
  • 次回の掃除のために、訪問介護員(ホームヘルパー)が使いやすい場所に掃除機を置いた。

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この過去問の解説 (4件)

01

利用者主体とは、利用者の権利擁護のために介護福祉職が重視する基本的な考え方です。介護福祉職の都合や主観でケアを行うのではなく、利用者本人が自ら選択し決定できるよう援助します。介護福祉職はそのために十分な情報提供を行う必要があります。

選択肢1. トイレの窓は換気が必要であると判断し、開けたままにしておいた。

誤答です。排泄行為は最もプライバシーを尊重すべき場面です。介護福祉職側の『換気が必要』という都合で窓を開けたままにしておくという行為は、利用者への羞恥心への配慮が欠けています。

選択肢2. 認知症(dementia)の人が包丁を持つのは危険だと判断し、訪問介護員(ホームヘルパー)が調理した。

誤答です。調理(包丁で切るなど)は手続き記憶と呼ばれ認知症が進行しても、比較的長い間保持されます。『認知症だから』と一括りにせず、その利用者がやりたいこと・できることを相談しながら援助を行う必要があります。

選択肢3. 煮物を調理するとき、利用者に好みの切り方を確認してもらった。

正答です。麻痺や認知症など、さまざまな事情で本人が調理を行えない場合でも、好みの切り方や、具材の大きさ、味など本人の希望を確認しながらおこなう必要があります。

選択肢4. 糖尿病(diabetes mellitus)のある利用者には、買い物代行で菓子の購入はしないことにした。

誤答です。糖尿病患者のお菓子の可否については、訪問相談員の一存で決められることではありません。また、逆に利用者の希望を何でも叶えるのが『利用者主体』ではありません。チームケアの一員として『菓子の購入はしない』ということが介護計画書などに載っているにも関わらず、本人が希望する場合には『なぜダメなのか』を丁寧に説明する必要があります。

選択肢5. 次回の掃除のために、訪問介護員(ホームヘルパー)が使いやすい場所に掃除機を置いた。

誤答です。使用した日用品は、訪問介護員の都合で片づけるのではなく、本人が希望する場所に置く必要があります。

まとめ

介護福祉職は、利用者の権利擁護のために『利用者主体』の考え方を貫く必要があります。

手続き記憶…日常生活の基本動作など、長年行って身体にしみついている動作に関する記憶のこと。意味記憶手続き記憶エピソード記憶長期記憶に分類されます。

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02

利用者主体とは、介護は援助する側の価値観や都合で行われるのではなく、

利用者本人が主体的に判断し、選択や決定をするという考え方です。

選択肢1. トイレの窓は換気が必要であると判断し、開けたままにしておいた。

×:トイレの窓を開けたままでは、利用者の排泄の様子が他者から見られてしまうことがあります。換気が必要ですが、プライバシーの配慮が不十分です。選択肢は誤りです。

選択肢2. 認知症(dementia)の人が包丁を持つのは危険だと判断し、訪問介護員(ホームヘルパー)が調理した。

×:認知症(dementia)といっても、症状に個人差があります

包丁が安全に使用できているか、評価・判断が必要になります。

また、調理は認知症の人でも比較的保たれる手続き記憶に分類されます。

認知症だからといって調理が危険とは限りません

選択肢は誤りです。

選択肢3. 煮物を調理するとき、利用者に好みの切り方を確認してもらった。

〇:利用者一人ひとりの好みに合わせて介護していく、利用者本位の考え方です。

選択肢は正解です。

選択肢4. 糖尿病(diabetes mellitus)のある利用者には、買い物代行で菓子の購入はしないことにした。

×:糖尿病のある利用者でも、医師の指示により一定量の菓子の購入が可能な場合もあります。

介護計画に沿って買い物代行を行うことが大切です。

利用者の希望に寄り添いつつ、介護に携わる多職種で対応を検討することが必要です。

訪問介護員(ホームヘルパー)の判断で決めることは適切ではありません。

選択肢5. 次回の掃除のために、訪問介護員(ホームヘルパー)が使いやすい場所に掃除機を置いた。

×:訪問介護員(ホームヘルパー)が使いやすい場所ではなく、

利用者が使いやすい場所にすることが利用者本位の考え方です。

選択肢は誤りです。

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03

利用者主体とは、援助する側の主観や都合ではなく、利用者本人が主体的に判断し選択・決定するものであるという考え方です。その人らしく生きることを基本とし、本人を生活の中心に置いて、利用者が常に主体であるという視点を持っておこないます。

選択肢1. トイレの窓は換気が必要であると判断し、開けたままにしておいた。

誤りです。換気が必要だという判断は利用者が求めているものではないため、利用者主体とはいえません。

選択肢2. 認知症(dementia)の人が包丁を持つのは危険だと判断し、訪問介護員(ホームヘルパー)が調理した。

誤りです。認知症の方は包丁を持つのは危険という判断は利用者主体ではありません。利用者が調理を希望するのであれば、安全に行えるよう援助を行いながら実施するのが望ましいです。

選択肢3. 煮物を調理するとき、利用者に好みの切り方を確認してもらった。

正解です。利用者に好みの切り方を確認しており、利用者主体での援助といえます。

選択肢4. 糖尿病(diabetes mellitus)のある利用者には、買い物代行で菓子の購入はしないことにした。

誤りです。糖尿病の利用者がお菓子を食べ過ぎることは体調を崩す恐れがあるため、良いことではありません。ただし、利用者の意思を無視して勝手に購入を控えるのは利用者主体ではありません。

選択肢5. 次回の掃除のために、訪問介護員(ホームヘルパー)が使いやすい場所に掃除機を置いた。

誤りです。ホームヘルパーが使いやすい位置に掃除機を置くことは利用者主体ではありません。利用者が使いやすい位置に置くことが望ましいです。

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04

介護における利用者本位とは何かを問う内容です。介護の仕事をする上で必須の考え方になります。

選択肢1. トイレの窓は換気が必要であると判断し、開けたままにしておいた。

×:トイレの窓の換気は誰の考え方で行ったかが大切です。訪問介護員が良かれと思って換気しても、利用者にとっては寒いだけという事もあります。介護サービスは利用者の考えに基づいてサービスが提供する事が必要です。

選択肢2. 認知症(dementia)の人が包丁を持つのは危険だと判断し、訪問介護員(ホームヘルパー)が調理した。

×:認知症になっても包丁を使って料理をする方はたくさんいます。むしろ危険だからと言って包丁を取り上げると、利用者が不安になり認知症が進んでしまうリスクがあります。

選択肢3. 煮物を調理するとき、利用者に好みの切り方を確認してもらった。

〇:利用者の考えに基づいてサービスが提供されています。訪問介護はできれば利用者と一緒に料理をする事で、利用者の力を維持する事に繋がります(残存能力の維持と言い換える事ができます)。

選択肢4. 糖尿病(diabetes mellitus)のある利用者には、買い物代行で菓子の購入はしないことにした。

×:糖尿病だからと言って一律に甘いものを制限する事は良くありません。体の自由が効かない高齢者にとって、食べる楽しみは大切な事です。糖尿病を進行させないのは、甘いものを食べ過ぎない、バランスの良い栄養を摂る、習慣的な運動、ストレスを溜めない、必要に応じた薬物治療です。

選択肢5. 次回の掃除のために、訪問介護員(ホームヘルパー)が使いやすい場所に掃除機を置いた。

×:掃除機の置き場所は、利用者の希望により使いやすい場所に置くのは良いですが、単に訪問介護員が使いやすいからという理由だと不適切な対応になります。認知症のある利用者にとって少しの変化でも、不安や戸惑いに繋がるため、物の置き場一つでも十分注意が必要です。

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