介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
介護の基本 問6
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問題
介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) 介護の基本 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
Bさん(82歳、女性、要介護2)は、若いときに夫を亡くし、家で仕事をしながら子どもを一人で育てた。夫や子どもと過ごした家の手入れは毎日欠かさず行っていた。数年前に、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断され、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。夕方になると、「私、家に帰らないといけない」と介護福祉職に何度も訴えている。
Bさんに対する介護福祉職の声かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
Bさんに対する介護福祉職の声かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 「仕事はないですよ」
- 「ここが家ですよ」
- 「外に散歩に行きますか」
- 「家のことが気になるんですね」
- 「子どもさんが『ここにいてください』と言っていますよ」
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この過去問の解説 (4件)
01
認知症の行動・心理症状(BPSD)で、夕方に帰宅願望を繰り返し訴えることを夕暮れ症候群といいます。こういった症状に対する介護福祉職としての適切な言動が理解できているかが問われています。
誤答です。帰宅願望を訴えているBさんに対して、仕事の話をするのはまったくの的外れです。
誤答です。Bさんにとって『家』とは、夫や子どもと過ごした家を指していると推測されます。なので、現在の住まいである認知症対応型共同生活介護のことを『ここが家』と言っても、Bさんの発言を受容していることにはなりません。
誤答です。Bさんの発言を受け止めたうえで、一緒に外に散歩へ行くことが有効な対応となることもあるでしょう。しかし、帰宅願望に対しての第一声の声かけとしては適切ではありません。
正答です。Bさんの家に思い入れがあるという生活史を踏まえたうえで、帰りたい気持ちを受け止めているこの声掛けが最も適切です。
誤答です。夕暮れ症候群になる女性は『子どもや夫が帰ってくる時間だから』『夕飯の支度をしなければならない』という気持ちになっていることが多くあります。そのような気持ちになっているであろうBさんに対して、選択肢のように声掛けしても混乱が増す恐れがあります。
行動・心理症状(BPSD)に対しては、否定的な言葉を避け、利用者の主観的な世界を受容するような声かけを行うことが大切です。
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02
認知症の方の夕暮れ症候群に対する対応として、最も適切なものを選ぶ問題です。
夕暮れ症候群とは、主に認知症高齢者に見られる症状です。
夕方から夜にかけて、不安や混乱が生じ、落ち着きがなくなったり、声を荒げたり、
「家に帰る」と言って外に出ようとすることがあります。
また、時には攻撃的になることもあります。
×:「家に帰らないといけない」と言っているBさんへの対応として、
仕事の話をすることは、的外れです。
選択肢は不適切です。
×:夕暮れ症候群の時に、Bさんが言っている家は、夫や子どもと過ごした家であって、
現在入居しているグループホームのことではありません。
「ここが家ですよ」と言っても納得されません。
選択肢は不適切です。
×:帰宅願望が出ている方を、外に誘うのは、願望を強化する可能性があります。
選択肢は不適切です。
〇:帰宅願望を訴えているBさんの気持ちに寄り添うことが大切です。
選択肢は適切です。
×:夫や子どもと過ごした家に「帰りたい」と訴えているBさんに、
子どもの話をすることは逆効果です。
更に不安や帰宅願望が強くなる可能性があります。
選択肢は不適切です。
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03
夕方になると自宅に帰りたいという訴えが出ており、「帰宅願望」が見られています。
帰宅願望は、帰宅の要求を頻繁にしたり、実際に帰宅しようと外に出てしまったりすることです。帰りたいという言葉の裏にある本人の思いを理解して対応することが必要です。
本人の気持ちや理由に応じた対応を行うことで、心理状態が安定して帰宅願望は減少していきます。
誤りです。帰宅願望を無くすために、その場限りの対応をしてしまうと、一時的には帰宅行動を抑制できますが、同様の行動を繰り返してしまいます。
誤りです。自宅ではない場所を自宅であると返答することで、一時的に症状は抑制できますが、同様の行動を繰り返してしまう可能性があります。
誤りです。帰宅願望を無くすために、その場限りの対応をしてしまうと、一時的には帰宅行動を抑制できますが、同様の行動を繰り返してしまいます。
正解です。まずは本人の行動の理由を傾聴しましょう。本人の気持ちや理由に応じた対応を行うことで、心理状態が安定して帰宅願望は減少していきます。
誤りです。事実ではない対応となっています。帰宅願望を無くすために、その場限りの対応をしてしまうと、一時的には帰宅行動を抑制できますが、同様の行動を繰り返してしまいます。
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04
認知症利用者の思いを介護職が、どのように汲み取るべきかを問う問題です。
普段、忙しい現場の介護職員が忘れがちな事ですが、介護の仕事はいかに相手の気持ちに立ち、寄り添い、相手の目線で考える事だと考えます。
×:仕事の有無があるか分からずに「仕事はないです」と声掛けするのは不適切です。Bさんがなぜ夕方になると家に帰りたくなるのか知る事(アセスメント)が大事になってきます。
×:混乱しているBさんへ「ここが家ですよ」と一方的に伝えても、受け入れられない可能性があります。まずはゆっくりとBさんの思いを確認する事が大切です。
×:昼間ならまだしも、夕方に外へ散歩に行くことは離園の可能性を高め、ある意味非常に危険な行為と考えられます。気分転換や気持ちをそらす方法は他にもありますので、夕方の散歩は止めましょう。
〇:Bさんの気持ちに寄り添った声かけです。その後にBさんの生活歴など詳しく聞き取る事で、なぜ家に帰らないといけないと思っているのか、より理解が深まる可能性があります。
×:一方的な言い方をしてもBさんが受け入れられない可能性があります。まずはBさんの主訴を聞き取りしましょう。
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