介護福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
コミュニケーション技術 問2

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問題

介護福祉士国家試験 第35回(令和4年度) コミュニケーション技術 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

利用者の家族と信頼関係を形成するための留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 家族の希望を優先する。
  • 話し合いの機会を丁寧にもつ。
  • 一度形成した信頼関係は、変わらずに継続すると考える。
  • 家族に対して、「こうすれば良い」と指示を出す。
  • 介護は全面的に介護福祉職に任せてもらう。

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この過去問の解説 (4件)

01

互いに信頼し合い、安心して自己開示できる関係性が成立している状態ラポールと呼びます。このラポールを形成するための介護福祉職としての家族への接し方が問われています。

選択肢1. 家族の希望を優先する。

誤答です。介護保険の基本理念は『自立支援』であり、利用者本人の意思に基づきケアが行われます。もちろん家族の希望も無視されるものではなく、利用者本人と家族の希望が異なる場合は、両者の話をよく聞いて双方が納得できる道筋を模索していくことで、信頼関係を形成していきます。

選択肢2. 話し合いの機会を丁寧にもつ。

正答です。介護の場面では、利用者家族は悩みや不安を抱えていることが多くあります。その悩みや不安を受容し、共感的な態度や声かけで接することで信頼関係を築いていきます。

選択肢3. 一度形成した信頼関係は、変わらずに継続すると考える。

誤答です。信頼関係を構築できたと思っていても、言葉遣いや対応ひとつで関係性は変化していきます。変わらずに誠実な対応を続けていきましょう。

選択肢4. 家族に対して、「こうすれば良い」と指示を出す。

誤答です。信頼関係を構築するためには指示を出すのではなく、「〜するのはどうでしょう」「〜という方法があります」などと、解消するための適切な手段や方法を提案し、一緒に模索していくのが良いでしょう。

選択肢5. 介護は全面的に介護福祉職に任せてもらう。

誤答です。家族もチームケアの一員であり、家族だからこそできることもあります。双方任せっきりにするのではなく、家族や介護福祉職が一丸となって介護を行うことで信頼関係を築くことができます

まとめ

家族との信頼関係を形成するためには、それまでの家族の関係性を把握することや、介護に対する意向・その家族の生き方なども尊重した対応を行うことが求められます。

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02

利用者と家族の信頼関係を築くため、誰が主体になって介護サービスが提供されるか問われる内容です。

選択肢1. 家族の希望を優先する。

×:介護サービスを受けるのは利用者であるため、家族の意向ではなく、本人の意向が優先されます。

選択肢2. 話し合いの機会を丁寧にもつ。

〇:サービスを受ける利用者と家族は、様々な思惑にある状態です。本人自ら高齢者施設へ入所したい方はほとんどいないと思って良いと思います。在宅サービスにしてもヘルパーに台所を見られたくない高齢者もいらっしゃいます。戸惑いや悲しみ、時には混乱しながら介護サービスを仕方なく受ける場合もありますので、丁寧に説明する事はとても大事になります。

選択肢3. 一度形成した信頼関係は、変わらずに継続すると考える。

×:たった一言で信頼関係が壊れる事もあります。利用者だけでなく、家族や支援者も大変なショックを受ける事になりますので、言葉は時に人を傷つける事を肝に銘じましょう。

選択肢4. 家族に対して、「こうすれば良い」と指示を出す。

×:反発を招く可能性が高いので指示的な声掛けはよくありません。

選択肢5. 介護は全面的に介護福祉職に任せてもらう。

×:介護は支援する福祉職と家族、地域、行政が一体的に行う事です。誰か1人だけが介護すると大変な負担になり、利用者の満足度も低下してしまいます。

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03

利用者の家族との信頼関係のことを、ラポールといいます。

ラテン語で「絆」という意味で、介護の現場では支援や援助を提供する側と

される側の良好な関係のことをいいます。

ラポールを形成するために留意することについて、選択肢を確認していきます。

選択肢1. 家族の希望を優先する。

×:介護の基本的な理念に、介護の三原則といわれるものがあります。

それは、生活の継続性自己決定の尊重残存能力の活用です。

選択肢は、自己決定の尊重に反しており、不適切です。

利用者が、暮らし方や生き方を自分で決められるように支援し、

決定を尊重することが大切です。

もちろん支援する家族の希望も含めますが、”優先”ではありません。

選択肢2. 話し合いの機会を丁寧にもつ。

〇:利用者の家族と丁寧に話し合い、信頼関係を築くことが大切です。

選択肢3. 一度形成した信頼関係は、変わらずに継続すると考える。

×:一度形成した信頼関係でも、身だしなみや言葉遣い、傾聴の姿勢など、

様々な理由で関係が崩れることもあります。

信頼関係が継続できるよう、常に丁寧に対応することが大切です。

選択肢4. 家族に対して、「こうすれば良い」と指示を出す。

×:介護福祉職が、家族に対して指示を出すことは不適切です。

信頼関係が崩れる原因になることもあります。

指示を出すのではなく、理解と共感の姿勢を保ちつつ、

「こうしてみるのはどうでしょうか?」など、提案をすることが望ましいです。

選択肢5. 介護は全面的に介護福祉職に任せてもらう。

×:ご家族と介護福祉職などが協力して介護を行うことが大切です。

介護福祉職が全面的に行うのではありません。

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04

信頼関係を構築することを「ラポール形成」とも言います。ラポール形成は、自分自身が相手を信頼するだけではなく、相手も同様に感じる双方向の円滑な関係構築のことを示します。

ラポール形成の要素には以下の3原則があります。

・相手を肯定・尊重する

・類似性、行動の同調

・ペーシングとリーディング

  ペーシングは、話し方や呼吸のペース、視線などを相手に合わせること、

  リーディングは、質問や提案を会話に含めて会話をリードすることです。

選択肢1. 家族の希望を優先する。

誤りです。信頼関係を構築するためには、双方向の関係構築が必要です。家族の希望を優先するだけでは、一方向の関係になってしまいます。

選択肢2. 話し合いの機会を丁寧にもつ。

正解です。信頼関係を構築するには、相手を肯定し尊重することが求められます。その過程で、相手の話したいことに対して深く丁寧に耳を傾け、相手に肯定的な関心を寄せ、内容の真意を汲み取りながら、共感的な理解を示す「傾聴」が必要です。

選択肢3. 一度形成した信頼関係は、変わらずに継続すると考える。

誤りです。一度形成した関係でも、相手を尊重しなかったり、相手からの信頼を損なったりするなど、信頼関係が崩壊してしまう場合もあります。関係構築後も継続した努力が求められます。

選択肢4. 家族に対して、「こうすれば良い」と指示を出す。

誤りです。利用者だけではなく、キーとなる家族からの意見も尊重する必要があります。一方的に指示を出すだけでは、信頼関係は構築できません。

選択肢5. 介護は全面的に介護福祉職に任せてもらう。

誤りです。介護は多職種の関わりが必要となります。多職種の連携無くして介護は成り立ちません。

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