介護福祉士 過去問
第36回(令和5年度)
問119 (総合問題 問6)

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問題

介護福祉士試験 第36回(令和5年度) 問119(総合問題 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
Dさん(70歳、男性)は、自宅で妻と二人暮らしで、年金収入で生活している。
ある日、車を運転中に事故に遭い救急搬送された。
医師からは、第4胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷(spinal cord injury)と説明を受けた。Dさんは、入院中に要介護3の認定を受けた。
Dさんは、退院後は自宅で生活することを望んでいた。
妻は一緒に暮らしたいと思うが、Dさんの身体状況を考えると不安を感じていた。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「退院後は、在宅復帰を目的に、一定の期間、リハビリテーション専門職がいる施設で生活してはどうか」とDさんに提案した。
Dさんは妻と退院後の生活について話し合った結果、一定期間施設に入所して、その間に、自宅の住宅改修を行うことにして、介護支援専門員(ケアマネジャー)に居宅介護住宅改修費について相談した。

Dさんが施設入所してから3か月後、住宅改修を終えた自宅に戻ることになった。
Dさんは自宅での生活を楽しみにしている。
その一方で、不安も抱えていたため、担当の介護福祉士は、理学療法士と作業療法士に相談して、生活上の留意点を記載した冊子を作成して、Dさんに手渡した。
次の記述のうち、冊子の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 食事では、スプーンを自助具で手に固定する。
  • 移動には、リクライニング式車いすを使用する。
  • 寝具は、エアーマットを使用する。
  • 更衣は、ボタンエイドを使用する。
  • 外出するときには、事前に多機能トイレの場所を確認する。

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この過去問の解説 (3件)

01

脊髄損傷では、起こり得る障害として、四肢の運動知覚障害膀胱直腸障害などがあります。

 

選択肢1. 食事では、スプーンを自助具で手に固定する。

×:Dさんの場合、第4胸髄節(身体の胸部)までは残存機能があるので四肢の運動に影響はないと考えられるため、適切ではありません。

選択肢2. 移動には、リクライニング式車いすを使用する。

×:リクライニング式車いすは、身体の硬直や重度の患者に使用されるものです。そのため適切ではありません。

選択肢3. 寝具は、エアーマットを使用する。

×:脊髄損傷のDさんに対する生活支援においては必要ではないため適切ではありません。

選択肢4. 更衣は、ボタンエイドを使用する。

×:Dさんの場合、第4胸髄節(身体の胸部)までは残存機能があるので四肢の運動に影響はないと考えられるため、適切ではありません。

選択肢5. 外出するときには、事前に多機能トイレの場所を確認する。

〇:脊髄損傷の障害に膀胱直腸障害があるため、こちらが適切です。

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02

脊髄損傷では、損傷の程度によって障害の現れ方が異なります。

Dさんは胸髄の損傷で第4胸髄節まで機能が残存しているという情報から、上肢はおおよそ正常に動かすことができると考えられます。

車いすの操作は可能なため、そのうえで最適な回答を選択すれば良いでしょう。

選択肢1. 食事では、スプーンを自助具で手に固定する。

不正解です。

胸髄損傷のため、上肢は正常に動くと考えられるため、自助具は必要ありません。

選択肢2. 移動には、リクライニング式車いすを使用する。

不正解です。

脊髄損傷でも、第4胸髄節まで機能が残存しているため上半身は動きます。

車いすの自走も可能と考えられ、リクライニング式車椅子の使用は不適切と考えられます。

選択肢3. 寝具は、エアーマットを使用する。

不正解です。

脊髄損傷でも、第4胸髄節まで機能が残存しているため上半身は動きます。

ベッド柵などにつかまれば自分で寝返りをうつことが可能なため、エアーマットは必要ないと考えられます。

選択肢4. 更衣は、ボタンエイドを使用する。

不正解です。

脊髄損傷でも、第4胸髄節まで機能が残存しています。

指先の動きに問題はないと考えられるため、ボタンエイドの使用は不適切です。

選択肢5. 外出するときには、事前に多機能トイレの場所を確認する。

正解です。

車椅子での使用が可能であるため、外出の際には十分な広さや手スリのあるトイレを事前に確認しておくことが必要です。

参考になった数40

03

問題文より「第4胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷(spinal cord injury)」が今回の問題を解くためのヒントです。

 

第4胸髄節まで機能が残存は「第4胸髄より上の神経(首・肩・腕・手など)は使える。下の機能(胸・腹・足など)が損傷を受け、動かない。」と問題文で記載しています。「=Dさんは車椅子生活を送ることになる」とまで考えられれば、難しくはありません。
 

しかし、身体の仕組みを理解していない場合、かなり難しいと思います。脊髄損傷や頚髄損傷も介護福祉士の試験では頻出問題ですので、知っておくと良いでしょう。

 

これらをもとに設問を見ていきましょう。

選択肢1. 食事では、スプーンを自助具で手に固定する。

×

上肢の機能は保たれているので、自助具で手にスプーンを固定する必要はありません。よって、この設問で冊子にするのは不適切といえるでしょう。

選択肢2. 移動には、リクライニング式車いすを使用する。

×

リクライニング式車いすは頚髄損傷などで体幹の保持が難しい者にも使われますが、Dさんのような第4胸髄節損傷では、通常の車いすで対応できることが多いです。この設問で冊子にするのは不適切といえるでしょう。

選択肢3. 寝具は、エアーマットを使用する。

×

エアーマットは褥瘡予防などに使う寝具です。今後、身体が動かせないことで褥瘡ができる可能性はありますが、現段階では褥瘡のリスクについて問題文で触れられていません。現時点では必要か不明なため、この設問で冊子にするのは不適切といえるでしょう。

選択肢4. 更衣は、ボタンエイドを使用する。

×

ボタンエイドは、指先の操作が難しい者が自分で着脱を行う場合に使います。Dさんは上肢の残存機能があるため、不要の可能性が高いです。この設問で冊子にするには不適切といえるでしょう。

選択肢5. 外出するときには、事前に多機能トイレの場所を確認する。

車いす生活者の自立支援において重要な配慮なため、この設問で冊子にするのが最適でしょう。「事前に多機能トイレの場所を確認する。」のは、Dさんの自立を支えるために最もふさわしい内容です。

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