介護福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問40 (認知症の理解 問2)

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問題

介護福祉士試験 第37回(令和6年度) 問40(認知症の理解 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん(84歳、女性、要介護3)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)で、介護老人福祉施設に入所している。赤ちゃんの人形を持っていて、「はなちゃん」と呼んで話しかけている。
昼食のため、介護福祉職が居室を訪問すると、Aさんは不安そうな顔で、「はなちゃんがいなくなった。どこへ連れて行ったの?返して」と大声を出した。人形はAさんのロッカーの上に置かれていた。
Aさんに対する介護福祉職の最初の声かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 「私を疑っているんですか」
  • 「置いた場所を忘れたんですか」
  • 「心配ですね、一緒に探しませんか」
  • 「ご飯を食べてから探してはどうですか」
  • 「ロッカーの上にあるのが見えないんですか」

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この過去問の解説 (2件)

01

正解「心配ですね、一緒に探しませんか」です。

 

認知症のある方への対応では、何よりも「安心感」を大切にすることが基本です。

たとえ本人の言葉が現実と異なっていたとしても、否定せず、まずは「その人の気持ちに寄り添う姿勢」が求められます。

 

本人の不安や混乱に、安心できる応答で応えることが、信頼関係づくりの第一歩です。

「正すより、支える」
この視点を忘れずに、日々のケアに活かしていきましょう。

選択肢1. 「私を疑っているんですか」

この言葉には、相手を責めるような印象を与える可能性があります。

その結果、BPSD(行動・心理症状)を悪化させる原因になることもあります

特に認知症のある方に対しては、感情を刺激する表現は避け、安心感を与える言葉を選ぶことが大切です。

 

伝え方ひとつで、相手の反応も大きく変わります。
「否定せず、責めず、共感的に」

この姿勢を大切にしましょう。

選択肢2. 「置いた場所を忘れたんですか」

記憶障害を直接指摘するような表現は避けましょう。
たとえ事実であっても、その言葉が本人の自尊心を深く傷つける可能性があります。

認知症のある方が安心して過ごせる環境をつくるためには、できる限り尊厳を保ちながら接する姿勢が大切です。

 

「忘れている」ことよりも、「今その方が感じていること」に目を向けて、共感をもって寄り添いましょう。

選択肢3. 「心配ですね、一緒に探しませんか」

正解。

この選択肢は、本人の不安に寄り添いながら「共に行動する」姿勢を示しています。
とくに「一緒に」という言葉は、安心感を与え、信頼関係を育むうえで非常に大切なフレーズです。

 

「相手を一人にしない、置いていかない」
そんなメッセージが伝わる対応が、認知症ケアにおいては大きな意味を持ちます。

選択肢4. 「ご飯を食べてから探してはどうですか」

本人の不安が強く表れているときは、無理に食事へ誘導するよりも、まずは気持ちを落ち着ける対応が大切です。
安心感が得られたあとであれば、自然と次の行動にもつなげやすくなります。

「何をするか」よりも「どんな気持ちでいるか」に目を向けることが、認知症ケアの基本です。

選択肢5. 「ロッカーの上にあるのが見えないんですか」

認知症ケアでは、「事実を伝えること」よりも「安心してもらうこと」が優先されます。
正論や現実をそのまま伝えると、かえって本人の混乱や不安を招くことがあります。

 

だからこそ、「正しさ」よりも「やさしさ」のある対応を心がけることが、信頼関係を築くうえでもとても大切です。

まとめ

認知症の方にとって、一番の支えは「安心できる人の存在」です。
「現実に合わせる」ことよりも、まずは本人の気持ちを受け止める姿勢が大切です。

 

そのうえで、一緒に悩んだり、そっと寄り添ったりすることが、信頼や安心感につながっていきます。

受験では、「どんな声かけが本人の気持ちに寄り添っているか?」という視点を持つと、迷わず正解にたどり着けますよ。

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02

過去の介護福祉士国家試験でも出題された、

バリデーションについての理解が求められる問題です。

 

バリデーションとは

①認知症高齢者が示す言動や感情を「否定せず」「矯正せず」に受け止め、

尊厳と安心感を回復・維持する

本人の心の世界に寄り添い、孤立感や不安を和らげる

 

ことを特徴としています。

 

選択肢1. 「私を疑っているんですか」

×:誤りです。

 

明らかに否定をしています。

このような返答は、Aさんの混乱をさらに増幅させ、

信頼関係を大きく損なう可能性があります。

選択肢2. 「置いた場所を忘れたんですか」

×:誤りです。

 

Aさんの記憶力の低下を責めています。

本人の不安を増大させる不適切な対応です。

選択肢3. 「心配ですね、一緒に探しませんか」

〇:正しいです。

 

本人の感情に寄り添っています。

一緒に探すという言葉が、

孤立感の解消につながる適切な対応です。

選択肢4. 「ご飯を食べてから探してはどうですか」

×:誤りです。

 

丁寧な言葉に聞こえますが、

まだ本人の不安は解消されていない状態です。

まずは、本人の不安の解消に取り組むことが望ましいです。

選択肢5. 「ロッカーの上にあるのが見えないんですか」

×:誤りです。

 

Aさんのことを否定して責めています。

寄り添いは感じられず、

不安も孤独感も増大させる不適切な対応です。

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