介護福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問46 (認知症の理解 問8)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

介護福祉士試験 第37回(令和6年度) 問46(認知症の理解 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、回想法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 肩や背中から優しくゆっくりと触れる。
  • 共感を通して、認知症(dementia)の人が体験している現実を受け入れる。
  • 見当識を高めるために、時間や場所、現在の状況を説明する。
  • 昔の写真や音楽を活用して、記憶を活性化する。
  • 残存能力を活用し、共同作業を通して仲間をつくる。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

正解は「昔の写真や音楽を活用して、記憶を活性化する。」です。

 

回想法とは、高齢者が自らの人生を振り返ることで、記憶を刺激し、心の安定を促す心理的なアプローチです。

懐かしい写真・音楽・道具などをきっかけに、過去の出来事やそのときの感情がよみがえりやすくなるのが特徴です。

 

この方法は、認知症のある方とのコミュニケーションを深める手段としても有効であり、感情の安定や自己肯定感の向上に役立つとされています。

 

選択肢で「過去」「思い出」「安定」「共感」などのキーワードが出てきたら、回想法を連想できるようにしておきましょう。
「記憶を取り戻すこと」よりも、「心の安定や自己理解を促すこと」が目的という点を忘れずに!

選択肢1. 肩や背中から優しくゆっくりと触れる。

これはタクティールケアに関する説明です。

手や体にやさしく触れることで安心感を与える触覚刺激によるケアであり、回想法とは目的も手法も異なります。

選択肢2. 共感を通して、認知症(dementia)の人が体験している現実を受け入れる。

こちらはバリデーション療法の考え方です。

現実の正誤よりも本人の感じている世界に共感し、受け入れることを重視する心理的アプローチです。

混乱や不安を抱える高齢者に対し、否定せず、感情に寄り添うことで安心感を与えることが目的です。

 

どちらも「心の安定」を目指しますが、回想法は「過去をたどることで自己肯定感を高める」、バリデーション療法は「現在の感情を受け止めて共感する」という違いを意識しておくと、試験でも迷わず選べますよ。

選択肢3. 見当識を高めるために、時間や場所、現在の状況を説明する。

これはリアリティ・オリエンテーション(RO)と呼ばれる「今・ここ」に意識を向けることを目的とした支援方法です。

たとえば、「今日は何曜日ですか?」「ここはどこですか?」といった問いかけを通して、見当識の維持を図るアプローチです。

両者の違いをまとめると、リアリティ・オリエンテーション(RO)は、現実(時間・場所・人物)への見当識を支援、回想法は、過去の記憶をたどって感情の安定や自尊心を支援することです。

試験では、この「時間軸の違い(今 vs 過去)」を意識して選ぶと、選択肢を見極めやすくなりますよ。

選択肢4. 昔の写真や音楽を活用して、記憶を活性化する。

正解。

回想法では、五感への刺激(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)を上手に使うことで、過去の記憶が呼び起こされやすくなります。
特に、高齢者にとってなじみ深いものを使うことが、安心感や共感を生み出すきっかけになります。

 

・昔の写真やアルバム → 視覚刺激から思い出を引き出す

・昭和の流行歌や童謡 → 聴覚刺激で感情が動きやすくなる

・畳や木の香り、石けんの香り → 嗅覚は記憶と深く結びついている

・昔使っていた道具や布 → 触覚を通して昔の生活を思い出す

・懐かしい料理や味 → 味覚と結びつく記憶も非常に鮮明

 

こうした感覚的なアプローチが、認知症のある方の感情を安定させ、自尊心を保つ支援にもつながるのが、回想法の大きな魅力です。

試験では、「懐かしさ」「五感」「安心感」「共感」といったキーワードが出てきたら、回想法の可能性を思い浮かべましょう。

選択肢5. 残存能力を活用し、共同作業を通して仲間をつくる。

これは作業療法(OT)やレクリエーション活動の説明に近い内容です。

目的が「交流」や「身体機能の維持・向上」である点が、回想法とは異なります。

 

つまり、目的の違いがポイントです。

・回想法は、記憶の喚起や自己肯定感の促進(心理的安定)

・作業療法・レクリエーションは、機能の維持や交流(身体・社会的安定)

試験では、「目的」と「アプローチ方法」を読み取ることで、選択肢を正確に見分けられるようになりますよ。

まとめ

回想法は、懐かしい写真や音楽、昔使っていた道具などをきっかけに過去の記憶を呼び起こし心の安定や自己理解を促す心理的アプローチです。

高齢者が自分の人生を振り返ることで、感情の安定やコミュニケーションの活性化が期待され、特に認知症のある方への支援としても効果的です。

 

他の療法と区別するには、「過去の記憶に働きかける」という視点を持っておくと判断しやすくなりますよ。

参考になった数1

02

回想法は、

現在の認知機能の不足」よりも、「残っている長期記憶」を活用することで

精神的な安定や自己肯定感を高め、認知機能の活性化を図る心理療法です。

単に昔話をするだけでなく、写真、音楽、昔の道具などを用いて、

より鮮明に記憶を引き出します。

選択肢1. 肩や背中から優しくゆっくりと触れる。

×:誤りです。

 

これはタッチケアです。安心感の提供であり回想法ではありません。

身体的接触を通じて緊張緩和や信頼感構築を図る技法です。

選択肢2. 共感を通して、認知症(dementia)の人が体験している現実を受け入れる。

×:誤りです。

 

これはバリデーションです。

相手の感情や言動を否定せず、

その人の主観的世界を受け入れ共感する手法で、

回想法とは異なります。

選択肢3. 見当識を高めるために、時間や場所、現在の状況を説明する。

×:誤りです。

 

これはリアリティ・オリエンテーションです。

時間や場所、現在の状況を説明し想起させることで、

見当識障害の改善を図る技法で、回想法ではありません。

選択肢4. 昔の写真や音楽を活用して、記憶を活性化する。

○:正しいです。

 

典型的な回想法です。

古いアルバム写真や歌などの手がかり刺激を使い

当時の記憶を引き出し、語り合うことで

認知機能や情緒面を支援します。

 

 

選択肢5. 残存能力を活用し、共同作業を通して仲間をつくる。

×:誤りです。

 

これは作業療法グループワークなどが

想定されていると思われます。

過去の記憶を呼び起こす、回想法とは異なります。

参考になった数0