介護福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問52 (障害の理解 問4)

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問題

介護福祉士試験 第37回(令和6年度) 問52(障害の理解 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、遂行機能障害の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 些細(ささい)なことですぐに興奮して怒鳴る。
  • 新しい知識を覚えることが困難である。
  • ぼんやりして周囲に注意を向け続けることが困難である。
  • 行動を計画して実行することが困難である。
  • 言葉の表出や理解が困難である。

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この過去問の解説 (3件)

01

遂行機能障害とは、行動の計画、目標設定、実行などの認知機能に障害がある状態です。

脳血管障害、外傷性脳損傷、パーキンソン病などが主な原因疾患です。

選択肢1. 些細(ささい)なことですぐに興奮して怒鳴る。

×

感情のコントロール障害、衝動性の特徴です。

前頭葉、特に眼窩前頭皮質の損傷で見られます。日常生活では、職場や家庭でトラブルが起きやすくなることがあります。

選択肢2. 新しい知識を覚えることが困難である。

×

記憶障害(特に前向性健忘)の特徴です。

海馬や側頭葉内部の障害で見られます。

遂行障害は主に「計画・実行」に関わる障害なので、直接的な記憶障害とは異なります

選択肢3. ぼんやりして周囲に注意を向け続けることが困難である。

×

注意障害の特徴です。

脳の広範なネットワーク(特に前頭葉と頭頂葉の連携)の障害で起こります。日常生活では、会話中に話しがそれたり、作業中に集中が続かなくなるなどがあります。

選択肢4. 行動を計画して実行することが困難である。

日常生活で見られる例として、

1.料理の手順を考えて調理ができない

2.買い物で必要な物を買い忘れたり、余計な物を買ってしまう

3.約束や予定を立てられない、守れない

などがあります。

 

治療法としては作業療法や計画立案の練習、メモ、タイマーなどの補助具の活用などがあります。

 

選択肢5. 言葉の表出や理解が困難である。

×

失語症の特徴です。

言語の理解や出力の障害で、左半球の言語中枢の損傷で起こります。言葉が出てこない、出るが意味が通じないなどがあります。

まとめ

まとめ

遂行機能障害は、目的の計画立て、順序通りの行動、状況に応じ適宜調整し目標を達成する能力(=遂行機能)が障害される状態です。作業療法や補助具の活用、環境調整を整えながらリハビリをします。

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02

遂行機能障害は、前頭葉の機能障害の一つで

目標設定や計画立案、計画の実行、行動修正など、

行動を効果的に遂行する能力が障害される状態を指します。
認知症や脳血管障害、頭部外傷などにより発症し、

日常生活に大きな影響を及ぼすため、

適切な介護を提供するために、適切な知識が必要とされます。

選択肢1. 些細(ささい)なことですぐに興奮して怒鳴る。

×:誤りです。

 

これは易怒性と呼ばれる症状です。

遂行機能障害と同様に認知症や脳血管疾患の後遺症として見られるため、

遂行機能障害と併発することはありますが、

問題文で問われている、最も適切な特徴とまでは言えません。

 

易怒性は、遂行機能障害と同様に主に前頭葉の障害ですが、

「易怒性」は前頭葉の下のほう(眼窩前頭皮質)が、

「遂行機能障害」は前頭葉の横や前のほう(背外側前頭前野など)の障害です。

選択肢2. 新しい知識を覚えることが困難である。

×:誤りです。

 

これは記銘障害短期記憶障害と呼ばれる症状です。

遂行機能障害とは異なります。

 

記憶障害は、大脳の海馬の萎縮によって起きる障害です。

選択肢3. ぼんやりして周囲に注意を向け続けることが困難である。

×:誤りです。

 

これは、注意障害と呼ばれる症状です。

集中し続けることや、複数の情報の中から必要なものを選ぶこと、

複数の事柄に同時に気を配ること、などが困難になります。

物事を適切に遂行することの弊害とはなりえますが、

遂行機能障害とは異なるものです。

 

注意障害は脳の複数の部分のネットワーク障害です。

選択肢4. 行動を計画して実行することが困難である。

○:正しいです。

 

この選択肢は、遂行機能障害の特徴を最も的確に表しています。

問題の冒頭の説明にともない、

自発的な行動開始や複数作業の同時進行、

優先順位付け、臨機応変な対応ができなくなります。

選択肢5. 言葉の表出や理解が困難である。

×:誤りです。

 

これは、言語障害(失語症)と呼ばれる症状です。

聞く、話す、言葉を理解するといったことが障害されます。

遂行機能障害とは異なるものです。

 

言語障害は主に側頭葉(ウェルニッケ野)の障害です。

尚、前頭葉にあるブローカー野の障害では、

運動性失語症という、相手の話す言葉は理解できるものの、

話し方はたどたどしかったり、言葉の発音が不明瞭だったり、

言い間違えたりする障害もあります。

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03

正解は「行動を計画して実行することが困難である」です。

高次脳機能障害のうちの1つである遂行機能障害は、目標設定を行い達成するための計画、及び実行する能力が低下した状態です。
また、高次脳機能障害の種類には「記憶障害」「注意障害」「社会的行動障害」「失語」「失行」「失認」「半側空間無視」などがあります。


 

選択肢1. 些細(ささい)なことですぐに興奮して怒鳴る。

不適切

 

遂行機能障害の特徴ではありません。

感情のコントロールが難しくなるのは、高次脳機能障害の症状のひとつです。
 

選択肢2. 新しい知識を覚えることが困難である。

不適切

遂行機能障害の特徴ではありません。
確かに新しい知識を覚えることが困難になりますが、それは遂行機能障害があるから発生する症状なので、間違えないようにしましょう。

選択肢3. ぼんやりして周囲に注意を向け続けることが困難である。

不適切

これは「注意障害」に該当する特徴なので不適切です。

選択肢4. 行動を計画して実行することが困難である。

適切

遂行機能障害は、目標に向かって計画を立てながら行動することが困難になる状態なので、適切な選択肢といえます。

選択肢5. 言葉の表出や理解が困難である。

不適切

言葉の表出や理解が困難な場合は、「失語症」「構音障害」などの特徴といえるので、不適切となります。

まとめ

遂行機能障害などを含む「高次脳機能障害」には複数の障害が含まれています。
各障害の特徴と関連性は確実に覚えておきましょう。

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