大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問44 (日本史B(第2問) 問4)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問44(日本史B(第2問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生のリツさんは、日本古代の法は、中国の法にならって編纂(へんさん)されたことを教わった。そこで、先生の助言を受けて、日本古代の法整備の歴史と、中国の法典をもたらした遣隋使・遣唐使の派遣について、年表にまとめて整理してみた。この年表を読んで、後の問いに答えよ。(史料は、一部省略したり、書き改めたりしたところもある。)

リツさんは、先生から、日本古代の法に規定された内容の具体例として、税に関わる条文の一部を紹介してもらった。次の文章Ⅰ~Ⅲは、それぞれ憲法十七条・養老令・延喜式のいずれかの一部である。法整備の過程を考えて、古いものから年代順に正しく配列したものを、後のうちから一つ選べ。

Ⅰ 凡(およ)そ調の絹・絁(あしぎぬ)・糸・綿(わた)・布は、並びに郷土の所出に随(したが)えよ。
Ⅱ 国司・国造、百姓に斂(おさめと)る(注1)ことなかれ。国に二(ふたり)の君なし、民に両(ふたり)の主なし。
Ⅲ 凡そ諸国の調・庸の米・塩は、令条の期(注2)の後、七箇月の内に納め訖(お)えよ。

(注1)斂る:税をとる。
(注2)期:期限。調・庸の納入期限は、都からの距離によって定められていた。
問題文の画像
  • Ⅰ ― Ⅱ ― Ⅲ
  • Ⅰ ― Ⅲ ― Ⅱ
  • Ⅱ ― Ⅰ ― Ⅲ
  • Ⅱ ― Ⅲ ― Ⅰ
  • Ⅲ ― Ⅰ ― Ⅱ
  • Ⅲ ― Ⅱ ― Ⅰ

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、日本古代の3つの法内容から歴史背景や時期が推測できるかを問うものです。

 

問題文の3つの法はそれぞれ以下の年代に整備・施行されました。

憲法十七条→604年 養老令→757年 延喜式→927年

 

答えは「Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ」です。

 

Ⅰ~Ⅲについてそれぞれ説明していきます。

Ⅰ→この文章は、養老令の一部です。養老令は、718年に藤原不比等らにまとめられ、757年に施行されました。

  「」は行政規定や人民の租税に関する規定のことを言います。

  この時代は、民衆に租・調・庸が課せられた時代です。文章中にも書かれているように、これは調についてを説明しています。

  文章では、調はその土地でとれたものを納めることと記されています。

 

Ⅱ→この文章は、憲法十七条の一部です。

  憲法十七条は、聖徳太子らによって豪族たちに国家の官僚としての自覚をしてもらうために定められました。

  文章では、国司や国造が百姓から不当に税を取ってはいけないことを記しています。

 

Ⅲ→この文章は延喜式の一部です。醍醐天皇の時代におこなわれ、927年に施行されました。

  文章では、国の調・庸は期日までに納め終えることを記しています。

 

 

よって、順序を並び替えると Ⅱ→Ⅰ→Ⅲ となります。

選択肢1. Ⅰ ― Ⅱ ― Ⅲ

この順序は誤りです。

選択肢2. Ⅰ ― Ⅲ ― Ⅱ

この順序は誤りです。

選択肢3. Ⅱ ― Ⅰ ― Ⅲ

この順序が正しいです。

選択肢4. Ⅱ ― Ⅲ ― Ⅰ

この順序は誤りです。

選択肢5. Ⅲ ― Ⅰ ― Ⅱ

この順序は誤りです。

選択肢6. Ⅲ ― Ⅱ ― Ⅰ

この順序は誤りです。

まとめ

この問題の条文の中には、テキストや問題集に載っていないことがあるため、文章自体で判断するのが難しい場合もあります。そのような時は、時代ごとのキーワードを探して文章を推測してみましょう。

また、問題文に出てきた条文は必ずチェックしておくことが大切です。

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02

日本古代の法整備は、中国から学びながら徐々に整えられていきました。

 

 

問題の3つの条文を見ていきます。

 

Ⅰ 凡そ調の絹・絁・糸・綿・布は、並びに郷土の所出に随えよ。
これは養老令(ようろうりょう)の内容です。
757年に施行された法律で、税として納める品物は、その土地でとれたものにするよう決めました。

 

 

Ⅱ 国司・国造、百姓に斂ることなかれ。国に二の君なし、民に両の主なし。
これは憲法十七条(けんぽうじゅうしちじょう)の内容です。
聖徳太子(しょうとくたいし)が604年に定めたもので、役人が民衆から勝手に税を取り立ててはいけない、というルールを定めています。

 

 

Ⅲ 凡そ諸国の調・庸の米・塩は、令条の期の後、七箇月の内に納め訖えよ。
これは延喜式(えんぎしき)の内容です。
927年に完成した法律の補足的なルール集で、税(米や塩)を納める期間が定められています。

 

 

以上のことから、正しい順番は、 Ⅱ ― Ⅰ ― Ⅲ
となります。

選択肢1. Ⅰ ― Ⅱ ― Ⅲ

誤りです。

選択肢2. Ⅰ ― Ⅲ ― Ⅱ

誤りです。

選択肢3. Ⅱ ― Ⅰ ― Ⅲ

正しいです。

選択肢4. Ⅱ ― Ⅲ ― Ⅰ

誤りです。

選択肢5. Ⅲ ― Ⅰ ― Ⅱ

誤りです。

選択肢6. Ⅲ ― Ⅱ ― Ⅰ

誤りです。

まとめ

日本の法律は聖徳太子の憲法十七条から始まり、次に養老令、そして延喜式へと整備されていきました。

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