大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問57 (日本史B(第5問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問57(日本史B(第5問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、幕末維新期に活躍をした人物たちについて関心のあるアカネさんとタケルさんとの会話である。この文章を読み、後の問いに答えよ。(史料は、一部省略したり、書き改めたりしたところもある。)

アカネ:歴史を題材にしたドラマや小説の中でも、a 幕末維新期に活躍した人物を主人公にしたものは、人気があるよね。
タケル:そうだね。例えば、土佐藩出身の坂本龍馬は、歴史ドラマなどでもよく取り上げられる人気の人物だよね。
アカネ:だけど、龍馬は1867(慶応3)年11月に暗殺されていて、その後の明治維新の歴史に関わっていないよ。なのに、なぜ人気が高いのかな。
タケル:龍馬と言えば、薩摩藩と長州藩との同盟を仲介したことが有名だけど、その外にも、海援隊という組織を率いて、海運やb 貿易の事業にも携わったと言われているよ。
アカネ:なるほど、政治や経済など、様々な分野で活躍をした人物だったと言えそうだね。
タケル:龍馬の活躍と言えば、1867年6月に作成された「c 船中八策」も、後の明治日本の国家構想につながったと言われているよね。
アカネ:その「船中八策」だけど、この史料については当時の原本が確認されていないこともあり、歴史学でも議論が続いているようだよ。
タケル:それは、とても興味深いね。龍馬に関する研究で言えば、1883年に連載が始まった龍馬を主人公とする小説「汗血千里の駒」は、龍馬を通じて、高知の自由民権運動をアピールしようとしたd 政治小説というジャンルだと説明する本を読んだことがあるよ。
アカネ:そうなんだ。その小説の事例のように、歴史を題材にしたドラマや小説などの作品は、後の時代の価値観が反映されている場合が少なくない、ということに留意して鑑賞したほうが良さそうだね。

下線部cに関して、次の史料は「船中八策」であり、後のメモは、アカネさんとタケルさんが、この史料について気になった点をまとめたものである。この史料及びメモについて述べた後の文X・Yについて、その正誤の組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

史料
一、天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令宜(よろ)しく朝廷より出ずべき事。
一、上下議政局を設け、議員を置きて万機を参賛せしめ、万機宜しく公議に決すべき事。
一、有材の公卿諸侯及び天下の人材を顧問に備え、官爵を賜い、宜しく従来有名無実の官を除くべき事。
一、外国の交際広く公議を採り、新に至当の規約を立つべき事。一、古来の律令を折衷し、新に無窮の大典を選定すべき事。
一、海軍宜しく拡張すべき事。
一、御親兵を置き、帝都を守衛せしむべき事。
一、金銀物貨宜しく外国と平均の法を設くべき事。
(『坂本龍馬全集』)

メモ
・「船中八策」は1867年6月9日作成とされるが、その時に作成された原本は確認されておらず、坂本龍馬に同行していた海援隊書記の長岡謙吉が記した日誌にも、「船中八策」に関する記載はない。
・1883年に『土陽新聞』紙上で連載が始まった坂崎紫瀾の小説「汗血千里の駒」では、「船中八策」の存在について触れていない。
・1896年に弘松宣枝が著した坂本龍馬の伝記『阪本龍馬』(注)では、「船中八策」に文言も内容もよく似た文章が初めて紹介されたが、条文の数や細かい文章表現は、上の史料と異なる部分がある。
(注)『阪本龍馬』:表記は原典通り。

X  史料では、議会の設置や法典の整備が求められており、実際に明治新政府は、政体書によって将来的な議会設置と立憲政体確立とを宣言した。
Y  メモからは、「船中八策」は1867年6月の時点で作成されておらず、龍馬の死後に、龍馬の史料として作成された可能性がうかがえる。
  • X:正  Y:正
  • X:正  Y:誤
  • X:誤  Y:正
  • X:誤  Y:誤

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