大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問29 (世界史B(第5問) 問2)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問29(世界史B(第5問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

世界史上の人権侵害や差別について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

ヨーロッパ研修旅行で、ドイツ南部のダッハウ強制収容所跡の展示施設を訪れた学生二人と教授とが会話をしている。

教授:ここダッハウ収容所は、ナチ政権の成立と同年に開設され、この政権が終わる年まで稼働しました。この博物館の展示を基に、歴史的思考の実践をしてみましょう。
平沢:今まで、強制収容所と言えばアウシュヴィッツのイメージしかありませんでした。しかし、ナチ強制収容所の歴史には大きく三つの段階があり、「労働を通じた矯正」、「労働を通じた殺戮(さつりく)」、「ガス殺などを通じた絶滅」の段階があったと知りました。
教授:一般に流布したイメージの刷新も歴史的思考の一つですね。「労働を通じた矯正」という初期の段階の背景には、( ア )という法の成立があります。この法の制定をきっかけに、他の政党が排除されていき、( イ )が確立しました。これがダッハウ収容所設立と結び付くのです。「労働を通じた殺戮」の段階は、1938年3月のナチス=ドイツの領域拡大の時期と一致します。
秋山:次の最終段階では、スターリングラードの戦いで知られる東部での戦争が開始されると、労働のために大量の収容者が必要とされながらも、「ガス殺などを通じた絶滅」が実行されました。この矛盾した状況を、展示から理解できました。
平沢:展示を見て知ったのは、「強制労働」とは、a 移動の自由や職業選択の自由などの人権が制限された労働だと定義されているということです。
教授:歴史的思考には、歴史上で培われてきた価値を理解し、現代に応用することも含まれます。この「強制労働」の定義を、世界史上の出来事にも応用して考えてみましょう。

下線部aに関連して、移動の自由や職業選択の自由を含む人権の歴史について述べた文として誤っているものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
  • 国際連盟に、国際労働機関が付置(付設)された。
  • 日本で、基本的人権を尊重する憲法が公布された。
  • ドイツ民主共和国が建国された後、ベルリンの壁が構築された。
  • アパルトヘイト(人種隔離政策)が撤廃された後、南アフリカ共和国が成立した。

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この過去問の解説 (1件)

01

人権の歴史について問われた問題です。

選択肢1. 国際連盟に、国際労働機関が付置(付設)された。

国際連盟に、国際労働機関が付置(付設)されたことに誤りはありません。

選択肢2. 日本で、基本的人権を尊重する憲法が公布された。

1946年に公布された日本国憲法では基本的人権が尊重されているので、誤りはありません。

選択肢3. ドイツ民主共和国が建国された後、ベルリンの壁が構築された。

ドイツ民主共和国が建国されたのは1949年であり、ベルリンの壁が構築されたのは1961年なので、誤りはありません。

選択肢4. アパルトヘイト(人種隔離政策)が撤廃された後、南アフリカ共和国が成立した。

南アフリカ共和国が成立したのは1961年で、アパルトヘイトが撤廃されたのは1991年のことなので、順番が誤っています。よって、これが正解です。

まとめ

アパルトヘイトは、南アフリカ共和国で行われていた人種差別・隔離政策です。1970年に非白人は選挙権を奪われ、翌1971年にはアフリカ系住民は市民権を奪われました。激しい反対運動の結果、アパルトヘイトは法的に撤廃されました。

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