大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問67 (地理B(第1問) 問2)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問67(地理B(第1問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

世界の自然環境と自然災害に関する次の問いに答えよ。

地球上の寒冷な地域には、永久凍土と氷河・氷床が分布する。次の図3は、北緯30度から80度における、緯度ごとの陸地に占める永久凍土と氷河・氷床の割合を示したものである。図3に関することがらについて述べた文として適当でないものを、後のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 北緯30度から45度における永久凍土の分布は、チベット高原やヒマラヤ山脈などアジアの高山地帯が中心である。
  • 北緯45度から70度にかけて永久凍土の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど日射量や年平均気温が低下することがあげられる。
  • 北緯60度から80度にかけて氷河・氷床の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど降雪量が多くなることがあげられる。
  • 北緯70度から80度の氷河・氷床に覆われていない陸地では、ほとんどの地域で永久凍土が分布する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正しくない記述は「北緯60度から80度にかけて氷河・氷床の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど降雪量が多くなることがあげられる。」で、これが正答になります。

 

緯度が高くなるほど雪が多くなるという考えは誤っており、極高圧帯下では非常に乾燥した気候が広まっています。

現在見られる高緯度地方の氷河・氷床は、約10万年前から始まったビュルム氷期(最終氷期の最寒冷期)に形成されたもので、地球規模の気候変動サイクルによるものです。

選択肢1. 北緯30度から45度における永久凍土の分布は、チベット高原やヒマラヤ山脈などアジアの高山地帯が中心である。

正しい記述で、誤答です。

 

ヒマラヤ山脈やコーカサス山脈、天山山脈などの8000m級の高地で永久凍土が見られます。

気温は100m上昇するごとにおよそ0.6度ずつ低下します(気温逓減率)。

選択肢2. 北緯45度から70度にかけて永久凍土の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど日射量や年平均気温が低下することがあげられる。

正しい記述で、誤答です。

 

高緯度ほど太陽の日射角度が低くなり、平均気温が低下します。

選択肢3. 北緯60度から80度にかけて氷河・氷床の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど降雪量が多くなることがあげられる。

誤った記述で、正答です。

 

これらの氷河・氷床は数万年以前に形成されたものです。

現在の気候状況では、高緯度地域ほど非常に降雨・降雪量が少なく、南極大陸などは意外かと思われますが乾燥帯にあたります。

選択肢4. 北緯70度から80度の氷河・氷床に覆われていない陸地では、ほとんどの地域で永久凍土が分布する。

正しい記述で、誤答です。

まとめ

氷河や氷床、永久凍土は、現在温暖化によりその面積を急激に減らしています。

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02

北緯30度から80度の地域で、永久凍土と氷河・氷床の割合を分布した緯度別分布の読み取り問題です。適当でないものを選べという記述を読み飛ばさないようにしましょう。

永久凍土は長い年月をかけて低温状態の地域に形成されます。凍っているのは土に含まれている水分なので、地中深くなると地表の気温の影響を受けないので凍ったままの状態になるわけです。ですから、高緯度になるほど多く分布しています。

また、氷河・氷床は、降雪量が多い高緯度で多くみられますが、高緯度ほど降雪量が多くなることはありません。特に、北極・南極付近は極高圧帯(きょくこうあつたい:両極地方に存在する、年間を通して発生する高気圧の地帯)です。この地域は寒冷な大気が下降するために、年間を通して降水量は非常に少なくなっています。

この問題は、「高緯度側ほど降雪量が多くなる」が誤っているので、正解は「北緯60度から80度にかけて氷河・氷床の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど降雪量が多くなることがあげられる。」になります。

選択肢1. 北緯30度から45度における永久凍土の分布は、チベット高原やヒマラヤ山脈などアジアの高山地帯が中心である。

グラフをみると北緯が30度から45度には永久凍土が約20%分布しています。永久凍土は、大部分は北半球の高緯度地域に存在していますが、緯度が低い地域の高山地帯でも分布しています。アジアでは、チベット高原やヒマラヤ山脈が当たりますので説明は合っています。

したがって不正解です。

選択肢2. 北緯45度から70度にかけて永久凍土の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど日射量や年平均気温が低下することがあげられる。

北緯45度から70度は、ロシア、カナダ、ヨーロッパの北極圏の地域で、日照量も低く年平均気温も低くなります。

グラフをみると北緯70度を頂点に永久凍土の割合が上昇しています。この地域で永久凍土の割合が増加しているのは、緯度が上昇するほど日射量の低下や低温状態になることが原因ですから、説明は合っています。

したがって不正解です。

選択肢3. 北緯60度から80度にかけて氷河・氷床の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど降雪量が多くなることがあげられる。

高緯度ほど降雪量が多くなると説明していますが、北緯60度から80度の地域は気温が低く乾燥しているので降雪量は多くありません。氷河・氷床は降り積もった雪が固まってできたものですが、両極地帯は、極高圧帯で地域は寒冷な大気が下降するために、年間を通して降水量は非常に少なくなっています。

ですから、「氷河・表層の割合が増加する原因は、主に高緯度側ほど降雪量が多くなることがあげられる」という説明は間違っています。

この選択肢が正解となります。

選択肢4. 北緯70度から80度の氷河・氷床に覆われていない陸地では、ほとんどの地域で永久凍土が分布する。

70度から80度の分布をみると、永久凍土の割合が北緯70度の地域が約80%で、氷河・氷床の割合が約70%です。約80%から約70%を差し引いた地域は、氷河・氷床に覆われていない地域になります。

グラフを見ると、覆われていない地域でも永久凍土が分布していることが分かりますので、説明は合っています。

この選択肢は不正解となります。

まとめ

永久凍土は低緯度でも高山地帯には分布しており、高緯度になるほど割合が増えます。

氷河・氷床は高緯度になるほど分布の割合が多くなりますが、降水量が少ない地域にも分布しているので、高緯度になるにしたがって降雪量が多くなることが主な原因ではありません。

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03

適当でない記述は、
「北緯60度から80度にかけて氷河・氷床の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど降雪量が多くなることがあげられる。」です。
 

高緯度ほど一般に降水量は少なく、氷河・氷床の広がりは低温による融解の抑制や標高・地形の影響が大きくなります。

選択肢1. 北緯30度から45度における永久凍土の分布は、チベット高原やヒマラヤ山脈などアジアの高山地帯が中心である。

チベット高原・ヒマラヤ、コーカサスなど標高が高い地域に点在し、緯度が低くても気温が低い高山で凍土が成立します。

図の30–45度で割合がわずかに示される点と一致します。

選択肢2. 北緯45度から70度にかけて永久凍土の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど日射量や年平均気温が低下することがあげられる。

緯度が上がるほど平均気温が下がり、地表が長期にわたり凍結するため永久凍土域が広がります。

図でも実際に50–70度で凍土の比率が大きく伸びています。

選択肢3. 北緯60度から80度にかけて氷河・氷床の割合が増加する原因には、主に高緯度側ほど降雪量が多くなることがあげられる。

高緯度ほど寒冷で空気中の水蒸気量も少なく、降水量はむしろ減る傾向があります。

氷床が大きいのは低温で融けにくいことや、長期の雪氷の蓄積と地形条件によります。

降雪量の多さを主因とする説明は適切ではありません。

選択肢4. 北緯70度から80度の氷河・氷床に覆われていない陸地では、ほとんどの地域で永久凍土が分布する。

グリーンランド沿岸部やシベリア北部の平地など、氷床がない場所でも地中は通年で凍結しており、図でも凍土比率が70–90%程度に達しています。

記述は妥当です。

まとめ

高緯度域で氷河・氷床が広がる主因は「融けにくい低温環境」にあり、降雪量の多さを挙げた説明は的を外しています。

 

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